FIAは12月4日、パリで世界モータースポーツ評議会(WMSC)の会合を開催し、様々なカテゴリーの方針を定めた。WRC関連では、今年6月に発表された次世代WRCのビジョンを受け、ラリー1(旧WRC)クラスの2022年技術規定の基本方針を承認。この技術規定の詳細は、2020年第1四半期に仕上げることを目指すという。
この規定にはハイブリッド技術のほか、ボディについての詳細が盛り込まれる予定だ。既報のとおり、ラリー1マシン(ワールドラリーカー)は『量産車ベースのボディシェル』か『パイプフレーム構造』を選択することができる。車両サイズ自体は現行ワールドラリーカーのガイドラインを継続するものの、“スケーリング”と呼ばれるシステムで拡大・縮小することが可能となる。ベース車両の選択肢を増やすことで、今後参入を検討するマニュファクチャラーに対し門戸を拡大することが狙いのひとつと言えるだろう。
また、現行のWRカーで大規模なテストを行うなど、FIAと各マニュファクチャラーが密接に協力して定義した衝撃吸収構造の基準は、さらなる安全性の向上とチームの開発プロセスの簡素化を目指すとしている。エアロパーツなどのアグレッシブな外観は、次世代マシンにも引き継がれる。
動力性能については、内燃機関は現行のスペックをベースとするが、開発コストを抑え、100kWハイブリッド電気モーターでパワーを補助する。このユニットは、ハード・ソフトともに各チームで共通のものを使い、市街地では電気モーターのみで走行できるようにし、SSではモーターの力を活かした「パワーブースト」を使えるようなものとする。
新たなドライバー参戦のチャンスを広げるために、マニュファクチャラーは1台のチーム(one-car team)を追加でエントリーできるようにする。しかしこのチームは個別のコンペティターとして扱われ、WRCワークスチームのマニュファクチャラーポイントを獲得することはできない。