プジョーが将来的にWRCに復活する可能性があることがまことしやかに語られている。ベースとなるマシンは先頃発表された208だ。
これまで、兄弟会社とも言えるプジョーとシトロエンは、同一カテゴリーでのバッティングを避けてきた。シトロエンがWRCのトップカテゴリーに参戦している間は、プジョーはWRCに参戦することはない。つまり、プジョーがWRCのトップカテゴリーに登場する時は、シトロエンが撤退する時ということだ。
シトロエンとセバスチャン・ローブとの契約が切れるのは、2013年いっぱい。ここから先はあくまでも予想の域を出ないが、その時をもってシトロエンはWRCから撤退し、代わってプジョーがWRCに参戦するという筋書きのようだ。
プジョーがWRCに復帰する際にエースとしてチームを牽引しそうなのが、ベルギー出身のティエリー・ヌービル。現在23歳のヌービルは、2011年のIRCではチャンピオンに迫る活躍を見せ、2012年も引き続きプジョー207S2000でIRCに出場する予定。さらに、シトロエンDS3 WRCでWRC(少なくとも9戦以上)への出場も決まっているなど、非常に注目度の高い若手ドライバーだ。
一方、WRC撤退後のシトロエンがどのカテゴリーに参戦するかは見方が分かれるところだが、ダカールラリーへの復帰が最も有力と言われている。シトロエンは90年代、第13回および第16〜18回のダカールラリー(オート部門)で勝利を挙げており、永らく三菱とフォルクスワーゲンに奪われたダカールの覇権を取り戻すべく
そして、この大きな流れの鍵を握るとされる男が、ナッサー・アル‐アティヤだ。2012年のWRCでシトロエンの3台目を務めるアル‐アティヤは、2011年のダカールラリーでVWを駆り勝利を挙げている。また、今大会でMINIではなくハマーを選んだあたりもシトロエンとの関係をより重視してのことと思われる。もちろんシトロエン側にとっても「ダカール現役王者」の経験は貴重なもののはず。2012年は両者の関係からも目が離せなくなりそうだ。