2020年シーズンに臨むTOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのドライバーに話を聞く特別インタビュー企画。ふたり目はチーム最年少19歳で自身初のWRカーでのフル参戦に挑むカッレ・ロバンペラだ。
チーム代表のトミ・マキネンが絶大な期待を寄せる逸材、ロバンペラは、元WRCドライバーのハリ・ロバンペラを父に持つ。2019年、新たに発足したWRC2プロ選手権(マニュファクチャラーからの支援を受けるR5が対象)でシュコダ・ファビアR5を駆り、初代王者に輝いた。WRカーでの参戦は初めてとなるが、類い稀な速さに周囲からの評価は高い。
──TGRチームの雰囲気はどうでしょうか。
「とてもいいチームだ。フレンドリーだし、僕らはフィンランド出身のクルーだから、多くのフィンランド人がチームにいるのでそれもあるね。雰囲気もいい」
──WRカーへのステップアップをフィンランドのチームで始められることは、助けになりそうでしょうか?
「役に立つこともあるけれど、基本的に重要な点はすべて英語で行っている。エンジニアやチーム関係者はフィンランド以外の人が多いからね。でもメカニックの多くはフィンランド人だ」
──日本のマニュファクチャラーチームで走った経験のある父親のハリ(名古屋に少し住んだこともある)とは、今回のトヨタ入りについて何か話をしましたか。
「多少はアドバイスをもらった。自分も日本には以前、休暇で来たことがあるし、すでに知っていることもある。父からは、今回ではなくだいぶ前に、日本の文化など普通のことについて教えてもらったことがあった。すごく重要な点というよりは、ちょっとしたことなどをね」
──テストはすでに何回か行っていると思いますが、R5からの乗り換えはスムーズにいきそうでしょうか。ヤリスの印象を聞かせてください。
「いい印象だ。マシンを存分に楽しむことができた。慣れているR5と比べるととても速く感じるので、慣れるのには少し時間がかかると思う。でもドライブしやすいし、とにかく速い」
──長年、シュコダ・ファビアR5に乗ってきて、一番大きな違いと感じるのはどういった部分でしょう?
「パワーももちろんだが、ドライビングに影響をするという点で最も重要なのはダウンフォースだ。それからアクティブセンターデフも。WRカーの方が、格段にドライブしやすい。それ以上に速いので、簡単ではないけれどね。でも、基本的には、WRカーの方がドライビングがしやすいという印象だ」
──R5からWRカーをドライブするにあたり、フィジカル面での厳しさなどはありますか?
「詳しくは分からないが、ダウンフォースが強くなる分、Gフォースがよりかかるのだと思う。特にターマックなどのハイスピードセクションではね。でも、特別トレーニングを増やしたり、さらなる努力が必要になるわけではないと思う」
──フィジカルトレーニングは、どの程度行なっているのでしょう。
「トレーナーと一緒に、多くのトレーニングを行っている。それは他のドライバーも同じはずだ。頻度としては週に、4回か5回くらいかな」
──自分としては『慣れるのに時間がかかるため忍耐強くいく』タイプでしょうか。それとも『状況が許せば速く走りたい』タイプでしょうか。
「その時の状況に左右されるので、難しい質問だね。もちろん速さを見せるために全開で走ることもできるが、すべてを把握していないマシンでそのようなことをすれば、ミスをする確率は高まる。速度を管理していく方が難しい」
──新型GRヤリスの印象はいかがでしょう。
「とても好きなタイプのクルマだ。あのようなクルマを開発するというのは、とてもいいアイデアだと思う。きっと楽しいドライビングができるのではないかな。ラリースピリットが詰まったクルマだと思う。まだ乗ったことはないが、乗れることを楽しみにしている。新しいクルマに乗るのは、いつでも楽しいものだからね」
──多くのファンが集まった東京オートサロンの雰囲気はどうですか?
「ビッグイベントであるという話は聞いていたので、ある程度気持ちの準備はできていたが、想像以上に大勢のファンたちが来てくれて、とてもうれしかった。僕らは新しいクルーだが、日本のファンの皆さんが僕らの応援をしてくれるのは、とても心強く思うよ」
(後編は近日公開 Interview/Keiko Ito)