ダカールラリー2020でのトヨタ車及び日野自動車勢の活躍に対して、トヨタ自動車の豊田章男社長がコメントを発表した。2020年のダカールは、大会史上初めて中東のサウジアラビアを舞台に開催。1月17日、同国キディヤでフィニッシュを迎えた。
トヨタは、ワークスチームとしてTOYOTA GAZOO Racingから4台のハイラックスをエントリー。前回覇者のナッサー・アル-アティヤ/マシュー・ボーメル組が激しい優勝争いの末、総合2位でフィニッシュしたほか、ジニエル・ド・ヴィリエール/アレックス・ハロ組は総合5位、ベルンハルト・テン・ブリンク/トム・コルソール組が総合7位と3台がトップ10に食い込んだ。さらに、初出場の元F1パイロット、フェルナンド・アロンソ/マルク・コマ組も総合13位と健闘。エントリーした4台全てが過酷なルートを走破した。
トヨタ車体のチームランドクルーザー・トヨタオートボデーからは、2台のトヨタ・ランドクルーザー200が出場。クリスチャン・ラヴィエル/ジャン・ピエール・ギャルサン組、三浦昂/ローラン・リシトロイシター組がそれぞれ総合29位、33位で、市販車部門7連覇を1−2フィニッシュで飾った。
日野チームスガワラからは、菅原照仁/染宮弘和/望月裕司組の日野レンジャー(HINO 500)ベースの1号車がトラック部門10位でフィニッシュし、排気量10リットル未満部門11連覇を達成した。塙郁夫/塙雄大/毛塚麻由美組(HINO 600)は途中リタイアを喫した後、賞典外の「ダカールエクスペリエンス」で走行を続け、ロールケージに破損が及び安全上の理由からラリー離脱を決断するまで貴重なデータを収集した。
ダカールラリー2020に対する豊田社長コメント
2020年のダカールラリーがゴールを迎えました。
8000キロもの道に挑戦したチームの皆さまお疲れ様でした。
そして完走を果たした皆さまおめでとうございます。
ハイラックスで挑戦し総合2位を獲得してくれたアル-アティヤ選手、ボーメル選手おめでとう!
ラリー前に約束してくれた2連覇は叶わなかったけど、追い上げでトップに迫った後半戦の走りは印象的でした。
私の部屋にある2019年トロフィーの横のスペースは、もう1年空けておきたいと思います。
同じくハイラックスで挑戦してくれたド・ヴィリエール/ハロ組、テン・ブリンク/コルソール組、そしてアロンソ/コマ組、完走おめでとう。
フェルナンド(アロンソ)は、ちょうど1年前のデトロイトで彼が私に夢を語ってくれたことが、このダカール挑戦のきっかけだったと思います。
今回の挑戦においてはパーツの破損や横転などトラブルも沢山あったと聞きました。横転した時は、ひび割れたフロントガラスを外して走り続けてくれていました。
トヨタではフロントガラスのある車に乗ってくれていましたが、それ以前の彼はフロントガラス無しのクルマに乗るのが得意だったと聞いています。
もしかしたら、ガラスが無しの方が速く走れるからと、フロントガラスを外したんじゃないかと、そこからの追い上げを期待して見ておりました。
それは冗談ですが、道中、自らの手でクルマを修理するなど、厳しい戦いの中で、ラリーの魅力も体で感じてもらえたんじゃないかと思います。
日野チームスガワラの皆さんもお疲れ様でした。
1号車、菅原選手、染宮選手、望月選手、クラス優勝、そして11連覇おめでとうございます!
新型の2号車のリタイアは悔しいですが、そこに込めた新たな挑戦に敬意を表します。
“もっといいトラック”を目指し努力してくださったチームの皆さまに感謝申しあげます。ありがとうございました。
トヨタ車体チームランドクルーザーの皆さんもお疲れ様でした。
ワンツーフィニッシュでのクラス7連覇おめでとうございます!
クリスチャン、ジャン・ピエール優勝おめでとう!
三浦くん、ローランも2位おめでとう。だけど、やっぱり2位は悔しそうだったね。
三浦選手からはゴール直後に連絡をもらいました。
彼のコメントを(彼には無断ですが)紹介させていただきます。
「前回開催地のペルーの方がステージ(砂丘)の難しさはありました。一方で、サウジは、普段クルマが走っていないような道をコースに使用しています。そのため荒れていたり、大きな石が転がっていたり、クルマを壊してしまうリスクが大きかったです。そのため、1日中、気を抜くところがなく大変でした。近年の南米開催に合わせてスピードが上がったペースに身体もクルマも合わせてきてしまったので、とにかくパンクを多くしすぎたのが反省点です。速さより、タフさが求められるラリーだったと思います。その意味でランクルには相応しいステージでした」
「でも、今回の一番の収穫は本気でクリスチャンに勝負をかけたということです。チームで競うことに良くないという意見もあるかもしれませんが、一年前から決めていました。それによって、今までとは全く違う集中力、研ぎ澄まされた感覚の中で、いかにクルマを速く、スムーズに走らせるかをずっと考えながら乗っていました。その中で運転の仕方をアレンジしたり、クルマのセッティングを考えなおしてみたり… 本当の意味でランクルの限界と初めて向き合えた気がしています。目の前にある化け物のような砂丘は恐怖にも近いものでしたが、今回は常にアクセルをあけながら前に進めた感覚があるので、楽しかったですし、ランクルの更なる可能性も感じました! いいダカールでした」
「道がクルマを鍛える」「モータースポーツという極限の状況の中でクルマも人も育つ」まさにその言葉を感じる彼のコメントでした。
トヨタ自動車、およびトヨタグループは引き続き、モータースポーツを通じて、もっといいクルマづくりを進めてまいります。
皆さま、応援よろしくお願いいたします。
トヨタ自動車株式会社 代表取締役社長 豊田章男
トヨタ自動車株式会社 マスタードライバー モリゾウ