2020年のWRC開幕戦ラリーモンテカルロに姿を現した各ワークスチームのマシンをチェックするシリーズ。第1回目はトヨタ・ヤリスWRC。
続いてはエンジン、内装、サスペンションをチェックしてみよう。
エンジン・内装
エンジンは「スペック8」と呼ばれる新型を投入。見た目上、配管などのとりまわしについては昨年から大きく変更されてはいない様子だ。鼻先のトヨタロゴの部分から吸気が行われている。インテークマニホールドのカバー(GRのロゴがついたカバー)の上に見えるシルバーのパイプは、バルクへッド側のターボから車両前部のインタークーラーへと吸気を導くもの。
助手席側から見たヤリスWRCのコクピット。センタートンネル上にはいくつかのモニターとスイッチ類が配されている。助手席と運転席の高さの違いにも注目したい。コ・ドライバーという“重量物”は、できるだけ低く、車体の重量バランスを考えた位置に“搭載”されているのだ。
車体側面には乗員保護用の衝撃吸収パッドが装着されている。シフトパドルはステアリングに向かって右側に装着されており、手前に引くとシフトアップ、奥に押すとシフトダウン。左側のアルミレバーはウインカー。2019年型では当初ランドクルーザ用の黒いプラスチックレバーを流用していたが、昨年後半からオィット・タナックのマシンで先行投入していた。
スペアタイヤのほか、応急処置用のジャッキや工具などを搭載するラゲッジルーム。左右サスペンションのストラットタワーの高さはWRカーならではだ。燃料タンクはリヤシートの下部に埋め込まれている。
サスペンション
写真は左フロントサスペンション。ヤリスWRCはフランスBOS製のショックアブソーバーを使用している。ストラットは車体後方に向けて後傾搭載され、トラベルを稼ぐ。ブレーキシステムはアルコン製。ハブは4輪とも改良型で、軽量化が施されている。
写真は左リヤサスペンション。ほぼ垂直にストラットが取り付けられる。ブレーキキャリパー冷却用エアは、リヤクオーターガラス付近に設けられたダクトから採り入れられる。
次ページ:ヤリスWRCはこんなマシン