TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamは、3月12日(木)から15日(日)にかけてメキシコのレオンを中心に開催される、FIA世界ラリー選手権(WRC)第3戦「ラリーメキシコ」に、セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組の、3台のヤリスWRCで参戦する。
(以下、チームリリース抜粋)
メキシコ中央高原グアナファト州の都市、レオンを中心に開催されるラリー・メキシコは、シーズン最初のグラベル(未舗装路)イベントです。このラリー最大の特徴は非常に標高が高いエリアを走行することで、サービスパークが置かれるレオンの市街地でも1800m以上と高く、ステージの最高地点は2737mに達します。そのためラリーカーは空気が薄い状態に置かれ、エンジンの出力は通常よりも20%程度低下します。また、気温も摂氏30度前後まで上昇することが多く、高い冷却性能が求められるため、エンジンにとって最も厳しい1戦です。
今シーズンよりチームに加わった3人のドライバーにとって、メキシコはヤリスWRCで臨む最初のグラベルラリーです。開幕戦モンテカルロで総合2位に入り、現在ドライバー選手権3位につけるオジエは、過去にメキシコで5回優勝しており、このラリーの戦い方を熟知しています。また、モンテカルロで総合3位に入り、第2戦スウェーデンで優勝したエバンスは、2019年のメキシコで3位表彰台を獲得しています。今回はドライバー選手権のリーダーとして、フルデイ初日となる金曜日のステージに1番手で出走するため、不利な路面コンディションでラリー序盤を戦わなくてはなりません。WRカーでの参戦1年目のロバンペラは、スウェーデンで早くも総合3位に入り、19才で初めてWRCの表彰台に立ちました。過去、メキシコにはR5カーで1度だけ出場したことがありますが、WRカーでの参戦は今回が初となります。
例年同様、ラリーは3月12日(木)の夜に古都グアナファトの中心部で開幕し、全長1.12kmの市街地ステージが2本連続で行なわれます。本格的なグラベルステージは翌日のデイ2からスタートし、「エル・ショコラテ」、「オルテガ」、「ラス・ミナス」という3本の定番ステージを、グアナファトの新ステージ「パルケ・ビセンテナリオ」を挟んで各2回走行。1日の終わりには、レオンのレーシングサーキットで2本のスーパーSSが行なわれます。14日(土)のデイ3は「グアナファト」「アルファロ」「デッラマデロ」という3本のグラベルステージを各2回走行した後、デイ2と同様2本のスーパーSSが行なわれます。そして、1日の最後にはサービスパークのすぐ近くで全長1.62kmのスーパーSSが予定されています。最終日となる15日(日)のデイ4は3本のグラベルSSが行なわれ、そのうちSS22「オタテス」は今大会最長となる全長33.61kmのステージです。また、最終ステージのSS24「エル・ブリンコ」は、トップ5タイムを記録した選手にボーナスの選手権ポイントが付与される「パワーステージ」に指定されています。ラリーは4日間で24本のSSを走行し、その合計距離は324.85km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は959.25kmとなります。
トミ・マキネン(チーム代表)
「チーム全員にとって素晴らしいシーズンのスタートになりましたが、もちろん、その勢いがメキシコでも続くことを期待しています。高地が舞台となり、気温も高いこのラリーは、クルマにとって厳しい1戦であることを我々は理解しており、参戦初年度からその対策と改善に多くの力を注いできました。昨年、冷却系に関しては全く問題が起きず、速さも充分にありました。ですので、今回も3クルー全員が力強く戦えると確信していますし、ここまでのところ、彼らはチームと非常に上手く仕事を進めています」
セバスチャン・オジエ
「メキシコに行くのを、いつもとても楽しみにしています。ラリー・メキシコには多くの良い思い出があり、2008年に初めてWRCに出場しジュニアカテゴリーで優勝したのもメキシコでした。そして、それ以降何度も良い結果を残しています。このラリーのために、最近スペインで2日間のテストを行ないましたが、グラベルでのクルマのフィーリングはとても良いものでした。開幕2戦はそれなりに良いペースで走れましたが、まだ勝利を手にしていないので、メキシコでの目標はもちろん優勝です。走行距離を重ねて、ヤリスWRCがどんどんと自分のものになってきていると感じています。3番手というSSの出走順は悪くないので、優勝を目指し全力で戦いたいと思います」
エルフィン・エバンス
「チームが素晴らしい1年のスタートを切ったのは明らかですし、シーズン最初のグラベルイベントに臨むのがとても楽しみです。ある点において、メキシコは開幕2戦とよく似ています。なぜなら、それぞれ固有の難しさがあり、それに上手く適応しなければならないからです。そして、今回に関しては、新しいクルマで走る最初のグラベルラリーとなります。それでも、開幕2戦ではクルマにとても良いフィーリングを感じたので、メキシコでもそうなることを期待しています。ドライバー選手権をリードする立場になったことで、金曜日のステージでは出走順が1番になります。そのため簡単には行かないとは思いますが、そのことはあまり考え過ぎず、ただ自分がすべき仕事に集中しなくてはなりません」
カッレ・ロバンペラ
「スペインでのプレイベントテストは、自分にとってヤリスWRCでの初グラベル走行でしたが、さらにクルマに慣れ、フィーリングを掴むことができました。いくつか異なるセッティングを試し、良い妥協点を見つけられたと思います。ラリー・メキシコには2年前に出場しましたが、標高が高い環境にドライビングスタイルを適応させなければならないことが、最も難しく感じました。スウェーデンは自分にとって本当に良いラリーになりましたが、経験があまりないメキシコは今季最大の難関ラリーになると思うので、様子を見ながら戦う必要があります」
■2019年のラリー・メキシコ
2019年のラリー・メキシコで、オィット・タナックは土曜日が終了した時点で総合3位につけていました。しかし、最終日に総合2位に順位を上げ、チームは初めてメキシコのポディウムを獲得しました。その結果、タナックとチームは選手権のリードを拡大しました。クリス・ミークは一時首位に立ちましたが、パンクで順位を落とし総合5位でフィニッシュ。ヤリ-マティ・ラトバラは、金曜日に電気系のトラブルでデイリタイアとなりましたが、土曜日に再出走し総合8位で完走しました。