今週開幕するWRC第3戦ラリーメキシコは、今シーズン最初のグラベルラウンド。ここを得意とするMスポーツ・フォードは、上位を目指す構えだ。フォード・フィエスタWRCは、このメキシコでポディウムを逃したことはなく、今回も相性のいいイベントで好リザルトを狙う。
ラフグラベルの過酷さだけでなく、標高が高いためにエンジンへの負担も大きいメキシコのステージに向けて最善のプリペアを行うため、チームは昨年末に最先端の気候再現室で2日間の調査と開発を敢行。高地と高温の中で最高のパフォーマンスを発揮するためのエンジンマップを煮詰めた。また、ヨーロッパ外イベントの現地でのテストが制限されていることから、クルーは南スペインでプレイベントテストを実施。パフォーマンスを最大限に引き出すセッティング作業に加え、フィエスタWRCでの初グラベル戦に臨むエサペッカ・ラッピもグラベル路面での走行経験を積んだ。
そのラッピは、チームに移籍した今季ここまで4位、5位と堅調な滑り出しを見せており、メキシコでも好リザルトを目指す。メキシコでのベストリザルトは2018年の11位だが、フィエスタWRCにも慣れてきたラッピは今季、自己記録の更新はもちろん、トップ争いに絡むことも視野に入れている。
「乗るたびにマシンへの理解が深まり、自分のドライビングに合ったセッティングを微調整している」とラッピ。
「スウェーデンではいくつかのことに取り組み、メキシコのプレイベントテストでもそれを続けた。ポディウム圏内と大きく離れてはいないので、メキシコではそこを目指していかなくてはならないと思う。マシンへの自信は高まっているが、もちろんメキシコはトリッキーで独特のイベント。クリーンで効率的なドライビングをすることが求められる。標高が高いためにパワーが落ちるので、小さなミスも取り戻すのには時間がかかる。でも、フィーリングはいいので、どこまでできるか楽しみだ」
チームメイトのテーム・スニネンは2016年のメキシコでWRC2優勝を飾っている。今季は2戦連続で8位に留まっているが、メキシコに9回参戦した経験を持つベテランコ・ドライバーのヤルモ・レーティネンとともに、グラベル戦で勢いを取り戻したいところだ。
「いつも楽しんでいるイベントだし、走るのが素晴らしいステージだが、気温も標高も高いのでチャレンジングなイベントでもある」とスニネン。
「WRカーで走ったとしても酸素が薄いことを感じるし、体力面でもドライビング面でも、そのための対策をしなくてはならない。今季の滑り出しは今ひとつだったが、今はメキシコに完全集中。プレイベントテストでは、うまくセッティングを煮詰めることができたし、これまでの経験でフィエスタがメキシコで速く安定したマシンであることは分かっている。今回は、自己ベストの記録とポイントを持ち帰ることを目指していく」
3台目のフィエスタWRCをドライブするガス・グリーンスミスは、今回が2度目のメキシコ参戦だが、2018年はWRC2部門でポディウムに上がっている。この時は総合でも9位に食い込んでおり、自身初となるWRCポイントもマークした思い出のあるイベントだ。一方、コ・ドライバーのエリオット・エドモンソンにとっては、初めてのメキシコ参戦となる。
「自分はラリーメキシコの大ファン。WRCカレンダーのなかでも、一番気に入っている場所だと思う」とグリーンスミス。
「景観やグアナファトの色彩、熱狂的なファンが、本当に特別な経験をさせてくれる。2018年はとても楽しめたが、今年はまったく違うチャレンジになる。気候再現室で熱さや標高への対策をしてきたので、自分の体がいい状態に仕上がっている手応えがある。パフォーマンスにも必ず役立つと思うので、楽しみにしている」