ニュージーランドラリー選手権(NZRC)が2020年シーズンの開催をキャンセルしたことを発表した。新型コロナウイルス(COVID-19)の世界流行を受け、ニュージーランドでは国内ロックダウンの措置が取られているなか、ASNであるモータースポーツ・ニュージーランドと選手権プロモーターは国内ラリーが今後、健全に開催を続けられることを考慮し、今回の決断を下した。
今季予定されていた選手権イベントのうち、オタゴとワンガレイはすでに延期となっているが、残るイベントについても開催ができる見通しは立っていない。また、自宅待機の時間が長く続いていることでCOVID-19による経済的な影響も大きく、参戦者がどれだけ集まるかも不透明な状況も重なっている。
話し合いを重ねた末に、苦渋の決断に至ったNZRC。将来に持ち越されてしまう経済的なリスクを負うよりも、ここでリセットして、2021年、世の中が通常の状態に戻り、より恵まれた状況での開催を選択したかたちだ。
選手権のタイトルスポンサーであるブライアン・グリーン・プロパティは2021シーズンのスポンサードについても承諾しており、COVID-19のダメージから迅速に立ち直りを図ることを目指す。このスポンサードの確約も、来年の仕切り直しに向けての大きな後押しとなっていることを選手権は伝えている。
「本当に辛い発表だが、一方でラリーが末長く続けられることが一番であることも我々は理解している」と選手権コーディネーターのブレア・バルテルスはコメント。
「我々はラリーを愛している。熱い情熱を注いでいるのがラリーであり、今年の選手権をキャンセルすることを伝えるのは本当に辛いが、見通しの立たない状況のなか、実利を重んじる決断をしなくてはならない。経済的なダメージは相当大きくなると見られており、今季、各イベントがナショナル選手権のレベルを維持できるだけの参戦数を確保するのは現実的ではない。特に、このシリーズのコンペティターは小規模経営者が非常に多い。国内にはクラブイベントもあるほか、ワンオフイベントを数戦開催したいという考えもあるので、前向きな可能性も残されている」
モータースポーツ・ニュージーランドのモータースポーツ・ジェネラルマネージャーのエルトン・ゴーナンも同様の考えを示しており、収束後までを視野に入れることが、ラリー界を強くする鍵であるとしている。
「COVID-19は世界中で甚大な影響を及ぼしている。モータースポーツも例外でなく、残念ながらNZRCにしても同様だ」とゴーナン。
「どのスポーツでも同じように、我々には人々の健康や安全について配慮するだけでなく、この競技自体の存続についても責任がある。NZRCの今回の決定については正しい決断を行ったという自信を持っているし、2021年、しっかりとした開催をできることを楽しみにしている。我々の競技と関係者は、立ち直る強さを持っている」