FIAは、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックに鑑みて、FIA格式やFIAが認める国内選手権のモータースポーツイベント開催における健康面でのリスクを分析・管理するためのガイドライン文書を発行した。この「FIAモータースポーツ再開へのガイドライン」は、公衆衛生分野の専門家からの助言をベースに作成されている。
COVID-19の感染拡大の観点から、世界中であらゆるイベントの開催自粛が続いていたが、各国が規制の緩和を始めており、各国、各分野で活動再開に向けてのガイドラインが作成されている。モータースポーツのイベント開催も徐々に再開の見通しが立ち始めるなか、変化する状況に応じてガイドラインも日々アップデートが続いており、FIAも6月上旬にこのガイドラインを発行しているが、今回、その後の状況変化に応じてガイドラインの内容を更新した。
ラリー関連でのガイドラインでの大きな変化は、ラリー開催のフォーマットについて。
FIAは下記の点などを推奨している。
・短いステージを繰り返し使用する
・サービスパーク内でのソーシャル・ディスタンスに対応するためサービス時間を長くする
・様々な場所で競技を行わずにひとつの開催地で複数のイベントを行う
また、サーキットに加えて私有地や軍事施設は「管理しやすい環境の中でラリーが開催できることから、考え得るベストの立地」になり得るとしている。
さらに、リモートタイヤゾーンやリフューエルゾーンを設定せず、サービスパークは1カ所のみとすることが奨励され、マシンをパルクフェルメに入れる際はドライバー自身が運転しなくてはならず、タイムカードは電子操作で行いコ・ドライバーはマシンの中に残ったまま提出できるようにするとしている。また、顔と口を覆うバラクラバの着用も推奨しているほか、ソーシャル・ディスタンスのガイドラインを遵守するために、WRCで近年、各デイの終わりに行われていた「ミートザクルー」は行わず、純粋なメディアブリーフィングとすることなども明記されている。
ラリーに参加する関係者に関しては、ソーシャル・ディスタンスの確保やクラスター発生に備え、例えば大規模なチームでは、クルーと担当メカニックなどチーム内でさらにグループ分けを行い、その場合、イベント前後にCOVID-19の検査を受けることがかなり強いニュアンスで奨励されている。同じ車両に複数の人間が同乗することも「サブグループ」とみなすことが明記されており、ラリーのドライバーとコ・ドライバーや、1台の車両に複数のオフィシャルが同乗する場合などがこれに相当するとみられる。ただし、これも開催地の指針や規定を遵守しなくてはならないとしている。
FIA格式のラリーイベントとしては、直近ではERC戦のラリーディローマ・キャピターレが7月24‐26日に開催を予定している。このイベントでは、クルーやチームスタッフ、オフィシャルから観客まで、ラリー会場を訪れるすべての関係者がデータ登録を行い、アプリを使用してコントロールする体制を敷いて開催に備えている。
FIA公式ホームページ内「モータースポーツ再開へのガイドライン」
https://www.fia.com/fia-return-motor-sport-guidelines