新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を受けて、第3戦ラリーメキシコ以来、キャンセルや中止が続いていた2020年シーズンのWRC。流行はいまも続くものの、FIAが新たなカレンダーを発表し、ひとまず復活の目処がたちました。多くの国で開催が困難になるなか、急遽カレンダーに追加されたのが、再開初戦の第4戦として加えられたラリーエストニア(9月4日~6日)です。
マルコ・マルティン、ウルモ・アーバ、オィット・タナックらの大活躍で、今やラリー大国として知られるようにエストニア。旧ソビエトのバルト三国のひとつで、日本人のイメージとしては、大相撲で活躍した把瑠都関の出身国というのが一番のイメージでしょうか。実はワタクシ、2004年と2011年にエストニアを訪れたことがあります。
2000年代前半、マルティンの大活躍もあって、ラリーフィンランドにはエストニアから大勢のファンがユバスキラを訪れるようになっていました。表彰式で打ち振られる、ブルーとブラック、ホワイトのエストニア国旗は、今やもうおなじみになりましたよね。マルティンの引退後も、アーバ、タナックとトップドライバーが活躍し続けていることもあり、ラリーフィンランドで応援最多勢力はエストニア・ファンだったりします。
日本からは直行便も飛んでいませんし、ちょっと行きにくい印象のあるエストニアですが、フィンランドのヘルシンキからフェリーで気軽に訪れることができます。ヘルシンキからエストニアの首都タリンまでは、なんと片道約2時間。日帰りでちょっと行って帰ってこられる距離なのです。そんなわけで、僕の初エストニアはラリーフィンランド取材のついでに、少しだけ足を伸ばしてみました。
初上陸の時は日帰りだったうえに、タリンの街をひとまわりしたのみ。短い時間でしたが、旧市街にはハンザ同盟時代の建物が残っていたり、統一感ある街並みがすごく美しかったことを覚えています。そして、2度目の訪問となった2011年は、ラリープラスでもお世話になっている在フィンランドのLコネン夫妻と2泊3日でエストニアに滞在したので、当時のことを振り返ってみましょう。
ヘルシンキ~タリン(エストニアの首都)は巨大フェリーが1日10本近くも運行されていて、料金も30~45ユーロと非常にお手頃。しかも、フェリー内にはカジノやら免税店やらが揃っていて、2時間なんてあっという間です。船内は免税になることから、お酒やチョコレートなどを購入するためだけに乗っているフィンランド人もけっこういます。皆さん、ビールを箱単位で爆買いして、さっさとフィンランドへと戻っていきます(笑)。
ユーロ圏に入っているエストニアではありますが、周辺の北欧諸国と比較すると、とにかく物価が安いのが特徴です。ホテル代も2~3割くらい安いし、何よりもレストランがリーズナブル(ここ重要)。ヨーロッパでもかなり食事代が高めなフィンランドから行ったため、余計にそう感じたのかもしれませんが、5ユーロでちゃんとした(ここも重要)ランチが食べられてしまうのですよ。ケバブなどのファストフードではなく、レストランでスープ、サラダ、メインがついて、この値段。しかも、ちゃんと美味い(これまた重要)。当時「エストニア最高!」と思った記憶があります。
とはいえ、最後に訪れてから10年近くが経っているので、色々と変わっていそうですが、旅行サイトをみる限りでは、今でもランチは4~6ユーロ前後で食べられるとのこと。僕が滞在した当時とそんなに変わってなさそうです。これは行きたい。それに、ヘルシンキからフェリーを使わずとも、ヨーロッパの主要空港からタリンにLCCがたくさん飛んでいますし、以前よりもずっと行きやすくなっています。
当時、アーバ(現ラリーエストニアのディレクター!)は、「エストニアで大人気だから、僕の顔が載っているシャンプーが売っている」なんて言っていました(残念ながら発見できず)。アーバですら(失礼)ラベルに登場しちゃってたんですから、今やWRCチャンピオンにまで上り詰めたタナックの現地における知名度や人気はすさまじいことになっていそうです。今回のラリーエストニアも、猛烈に盛り上がることは間違いないでしょう。
余談ですが、旧ソ連文化が大好物の僕にとっては、お土産屋さんでソ連時代の勲章やポスターが格安で売ってたり、そこかしこにソビエト感が残っているのも最高でした(笑)。滞在費は安いし、ラリーは大人気。今はまだ自由に海外ラリー観戦に行ける状況ではありませんが、来シーズン以降もラリーエストニアがWRCカレンダーに残った場合は、確実にオススメの一戦になりそうです。っていうか、僕自身がもう一度行きたい!