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エストニア、WRC開催決定の影にあった危機

©RALLY ESTONIA

7月2日はエストニアにとって、WRCを開催するという名誉を与えられた33番目の国となった日として歴史に残ることになるだろう。

ソーシャルディスタンスもしばし忘れてマスクを外したまま握手を交わすほどの興奮は、この10年間の苦労が結実したことを如実に表している。
エストニアの首都タリンにあるステンボック・ハウスではエストニア首相のユリ・ラタスが大役に臨み、同国にとって最大級のモータースポーツイベントの契約が結ばれたことが公に伝えられた。

この日の記者会見では触れられなかったCOVID-19に関する対策は、9月4‐6日に学園都市タルトゥでラリーが開催される際には最も重点が置かれるであろう。だが、元WRCドライバーのウルモ・アーバ、タルモ・ホーブ、シルバー・クット率いるイベント主催チームがこの問題に悩まされることはなさそうだ。この3人は、このイベントを立ち上げに際し、政府からの支援を取り付けているからだ。初年の2014年にはERCとして開催。そして、ラリー界のトップチームやWRCの首脳陣に、大規模ラリーイベントの開催が可能であることを証明した。

このイベントの指揮を執るアーバは、常にWRC開催の野望を胸に抱いていた。2016年までの3年間をERCとして開催したが、その後ERCから外れることを選択し、自分の夢を達成することに軸を置いた。2018年にはシトロエンとヒュンダイ、トヨタからのワークスエントリー招致を成功させ、2019年には公式WRCプロモーショナルイベントとしてのステータスを獲得する。この年、オィット・タナックが世界チャンピオンとなったことも、WRC昇格への機運を高める大きな後押しとなったはずだ。

だが実際のところ、今年7月24‐26日に予定されていた2回目のWRCプロモーショナルイベント開催には暗雲が立ちこめていた。

エストニアのASNであるエストニア・オートスポーツユニオン(EAU)との紛争により、開催申請料が“5000%以上”も引き上げられたからだ。しかし、COVID-19による開催キャンセルが相次いだためにWRCプロモーターが代替イベントを必要としていたことから、アーバと主催チーム、EAUはその溝を埋め、わずか2カ月前には考えもできなかったような偉業を達成したのだった。

これによりWRCは、ラリーフィンランドと同じスタイル、かつ同じように優れた開催能力を持つイベントを手に入れた。アーバ、ホーブ、クットの3人はは、今後その大きな功績を認められることになることだろう。
(Graham Lister)

RALLY ESTONIA



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