2020年ERC開幕戦ラリーディローマ・キャピターレは7月24日、競技スタートに先駆けてイベント前記者会見を実施した。新型コロナウイルス(COVID-19)の感染防止のために、屋外に設定されたインタビュースポットで、ひとりずつ順番に応じる方式がとられた。上位ドライバーたちの多くが、チームイメージをデザインしたオリジナルマスクを着用。COVID-19パンデミックの感染が予断を許さない状況ならではの光景となった。
記者会見での主要ドライバーコメント(抜粋)
ジャンドメニコ・バッソ
Q:予選トップ、そして昨年のウイナーだが、今年のこのイベントで目指すものは。
GB:午前のタイムには大満足。ポロでの参戦は初めてなので少し驚いたが、自分の名前の下にたくさんのドライバーの名前が並ぶのを見るのはいいものだね。でも、肝心なのは次の2日間も同じことをすることだ。
Q:イタリア人として、世界中がこの状況の中でのこのラリーの運営をどう思うか。
GB:主催者とFIAは、本当によくやってくれた。世界中がこのような中でスタートするのは、簡単なことではなかった。すべて順調に進んでいる。スペクテイターは観戦することができないなど通常とは異なる点もあるが、ラリー自体はしっかり進んでいる。
Q:今年はエントリー台数が多いが、今年も優勝を果たすための最大の壁は何か。
GB:鍵となるのは、どんな時でもライバルよりもプッシュすることだ。とてもテクニカルなラリーだし、昨年はミスをしたドライバーも多かったので、強い意志を持って最初から最後まで集中をすることだった。今年、同じことができるかどうかだね。
クレイグ・ブリーン
Q:ERCでは5勝をマークしているが、今回はMRFタイヤの開発プログラムとしての参戦だ。経験は豊富だがローマは初めて。どのように対応するか。
CB:いいラリーだ。参戦するのは初めてだが、2年前に観戦に来ている。でも、ステージに出るのは初めてなので楽しみ。MRFと新しいタイヤを開発して、ターマックでは初めてのラリー。ターマックタイヤはまだ開発初期なので、結果には現実的にならないといけないし、できる限り開発を進めたい。今週だけでなく、この先もね。それでも、これはラリーだしタイムも測るのだから、自分たちもベストを尽くすよ。
Q:今週はずっと暑さが続いているが、この気温が続けばブレーキとマシンの全般的なマネージメントは課題になるのでは。
CB:自分個人の管理が大きな問題になるかもね! 外は40度だが、幸い、自分はここ2カ月ほどここにいるので体を順応させることができたが、間違いなく懸念要素ではある。かなりタイヤの摩耗が激しい。ステージはビックリするほど長いわけではないが、気にかけておかなくてはならない。正直、僕らのタイヤは暑さやロングステージには強いはずだと思う。今回のラリーでもどうなるか、期待している。
アンドレア・クルノーラ
Q:7月のローカルラリーで2勝を収めており、昨年のこのイベントでも素晴らしいタイムをマークしている。今年のラリーで目指すのは何か。
AC:もちろん、優勝を目指したいが、予選ステージでも分かったとおり簡単にはいかない。ベストを尽くして、セットアップも最速の走りができるように合わせていくことを目指す。今年は、特にPicoなど昨年と比べてトリッキーなステージもある。すでに、大きくカットされているところもあったので、例年どおりギャンブルになるだろうね。
Q:今年は、ERCを3回制したルカ・ロセッティが昨年ドライブしたF.P.F. Sportのシトロエンでの参戦だ。そのシートに座るのは、どれほど誇らしいことか。
AC:これまでにも挑んだことは何度もあったが、自分は若すぎたのだと思う。ようやく自分の番が来た。今年は選手権のタイトル争いに専念するチャンスがあると思うので、今年はそれが目標だ。
Q:この3週間で2勝を挙げている。サッカー好きならハットトリックを目指すが、ラリードライバーも同じか。
AC:もちろん。でも、簡単ではない。ローマには速いドライバーがたくさんいるので、最初の1mからプッシュして、Picoのステージではトラブルを避けるようにするよ。2017年以来、毎年、あそこでトラブルが起こるので、少し抑えなくてはいけないかもね。
アドリアン・フルモー
Q:ERC初参戦を迎える。今週はERCを存分に体験しているが、感想は。
AF:とても楽しんでいるよ。ここに来るのは初めて。予選ステージのシステムも、自分にはまったく初めての経験だし、ステージではもっとプッシュしなくてはならないと思う。通常、自分はラリーになったらもっとプッシュするが、予選ステージは競技と同じような感じだったので、もっと走りを高めないと。
Q:今晩はローマをパレードするが、ラリーとしては珍しい。楽しみにしているか。
AF:ローマに行くのは初めてなので、まったく新しい経験だしとてもいい機会だ。コロッセウムや有名なスポットを背景にローマを眺めることが出来るので、本当にいい場所。
Q:アンドレアがPicoのステージについて触れていたが、このラリーの最初のステージでとてもタフだ。このラリーの中で、注意しなくてはならない部分はどこだと思うか。
AF:このラリーの2日間は、違いが大きい。1日目はとてもナローでバンピー、ジャンプもある本当にトリッキーなステージだ。2日目はサーキットのような感じで、いいライン取りや正確なマシンさばきが必要なところもあるし、信頼できるペースノートも必要。みんなにとっても、タイヤにもメカニックにとっても、ビッグチャレンジになると思う。
オリバー・ソルベルグ
Q:ポロで本格ターマックラリーに出るのはこれが初めて、もちろんローマも初めてだ。目標は。
OS:答えるのが難しいね。経験を積んで、この素晴らしい道をできる限り学ぶことに尽きる。ドライターマックのラリーは初めてなので、ベストを尽くしてどこまで行けるかを見たい。
Q:キャリアは短いがレッキの経験は豊富だ。レッキでは、どんなことを得ようと努めているのか。
OS:できるだけ一貫性のあるノートを作ること。でも、次に何が来るのか分からないから難しい。だから、少し抑えなくてはならない時もある。2回の走行だけで作るのは大変だが、素晴らしい道なので楽しみにしている。
Q:今回は父のペター・ソルベルグも来ているが、あらゆることを手伝っているようだ。彼が一緒にいることは助けになるか。
OS:何でもやってくれているよ。父であり、エンジニア、広報担当、何でもやってくれている。父が一緒にいるのはありがたいし、いつでも相談できる相手がいるのは安心する。楽しいよ。
Q:予選はオーバーシュートがあった。これでタイムロスにもなったはずだが、振り返ってみて何が悪かったと思うか?
OS:2,3カ所でタイムロスしていると思うし、1回につきコンマ2、3秒はロスしているだろうから、0.5秒はロスしていると思う。すごく難しいので完璧な走りをするのは難しいが、自分の走りには満足している。速いドライバーがいる中で4番手タイムだから、すごくハッピーだよ。
Q:ここで好結果を収めて、その先はどこへ進むのか。
OS:今回は優勝は狙っていない。ベストは尽くすが、最初のステージの様子を見て、気負わずにいくよ。トップ10に入れれば十分。でも、すごく厳しい戦いなので、タフになると思う。
レイチェル・ソマスキーニ
Q:マシンもコ・ドライバーも新しくなったが、難しさは。
RS:とても難しいけど、一緒にベストを尽くしていかなくてはならない。新マシンのプジョー208ラリー4はものすごくいいし、ステアリングはR3よりも格段にいい。でも、ハードにプッシュしなくてはならない。
Q:今年のERCは自分の母国で開幕を迎える。このイベントを開催するための、関係者の働きはどれほど誇らしいか。
RS:本当に誇りに思うし、このラリーが開催されるのはとても感動的。本当に厳しい状況なので、イタリアのこともとても誇りに思う。だから、強さを持ち続けなくてはならない。
Q:このマシンではどれだけ走行したか。
RS:マシンが到着したのは日曜日だったので、ごく数km走っただけ。今日はとても自信があったが、シェイクダウンは道がダーティだったのですごく難しかった。ラリーの間にマシンを仕上げていきたい。
Q:ドライビングとともに、嚢胞性線維症の募金活動も行っている。これについて説明を。
RS:「Racing for Breath」、イタリア語では#CorrerePerUnRespiroというプロジェクトで、自分は嚢胞性線維症を罹患している。世界で多くの人が苦しんでいる疾患で、治療法を見つけるための新しい調査のために活動している。希望を持ちたいが、調査のための資金を集めなくてはならない。詳しいことは、私たちのSNSを見てください。
https://rachelesomaschini.com/en/correreperunrespiro/
Q:SNSも活発に行っているが、あなたのような若手ドライバーにとってどれほど重要なものか。
RS:スポンサーのためには、とても重要。イタリアでは経済が落ち込んでいてスポンサーを見つけるのが本当に大変なので、自分のスポンサーには心から感謝している。自分のSNSでスポンサーのことを紹介したいし、できることはすべてやっていきたい。