ベルギーのイプルーラリーが、早ければヨーロッパ時間の今週水曜日にも2020年のWRCカレンダーに追加されることが確定しそうだ。
情報筋によれば、ラリートルコが現状の会期として予定されている9月24‐27日を1週間早めることに合意したという。これにより、トルコの地中海沿岸にあるマルマリスを拠点とするグラベルイベントは9月17‐20日に開催、オールターマックのイプルーラリーが10月2‐4日に入ることになる。そもそもトルコのマルマリスからベルギー北西部に位置するイプルーに移動するためには、フェリーと陸路で3日間必要であり、さらにイプルーラリーはサービスパークとなる市街地広場の使用がこの週末(9月24‐27日)に限られるため、トルコが会期を前倒すことになったというわけだ。
イプルーがWRCカレンダーに入ることになれば、ひとつの歴史が生まれることになる。ラリーは、最初の2日間は歴史的商業都市であるイプルーを拠点とし、レグ3は舞台を約250km離れたスパ・フランコルシャンに移す。そのスパでは、同じ週末に世界ラリークロス選手権ベネルクス戦が行われるのだ。世界ラリークロスのコースがどのようにアイテナリーに組み込まれるかはまだ明かされていないが、WRCが別のFIA世界選手権と併催されれば史上初となる。
このイプルーラリーを率いるのは、ヒュンダイのWRCチームマネージャーでもあるアラン・ペナスだ。ERC戦として長く開催を続けてきたこのイベントとERCとの関係に終止符を打ち、ツアー・ヨーロピアンラリーシリーズ(TER)、英国ラリー選手権の海外戦としての開催を選んだペナスの決断は結果的に裏目に出てしまったものの、ここ3シーズンは地元の英雄であるティエリー・ヌービルやヒュンダイのワークスドライバーをイプルーに参戦させるという武器を大いに活用してきた。ヌービルは2019年6月のイプルーラリーマスターズでヒュンダイi20クーペWRCをドライブ、クレイグ・ブリーンはメインイベントでフォルクスワーゲン・ポロGTI R5を駆り、優勝を果たしている。
その後、ヒュンダイ・ワークスドライバーとなったブリーンは、ヌービル、世界王者のオィット・タナックとともにイプルー連覇のチャンスを期待したいところだろう。
「そうなれば、素晴らしいチャレンジになる」とブリーン。
「10月の開催は格段にトリッキーでマディになる。ディッチやコースサイドは少しソフトになるし、1年のこの時期は農業車両の往来も増えるので、その面でも自分が知っているよりトリッキーなイプルーになるだろう」
「ティエリーは昨年のこのイベントをWRカーで走っているが、かなり速度域が高かった場所をいくつかチェックしていた。R5よりも信じられないほど速くなるというから間違いなくチャレンジングになるので、どうなるのか見てみたいね。まだ何も決まっていないが、ぜひ参戦したい」
新型コロナウイルス(COVID-19)の状況が依然として不透明ではあるが、この話が実現し、すべてのラウンドが計画どおりに開催されれば、今季のWRCはここまで終了した3戦に加え、エストニア、トルコ、ベルギー、ドイツ、イタリア、ジャパンという全9戦でのカレンダーになるはずだ。
(Graham Lister)