今季のWRC開催を見送ったラリーフィンランドを主催するAKKスポーツは8月8日、『ラリーフィンランドeチャレンジ』としてデジタルイベントを開催。現地テレビ局のYle TV2はこの模様を生中継で放映し10万人近くの視聴者を集めたほか、WRCの公式Facebookページでも中継動画が流れた。
このイベントはeWRCの最終戦(この後、グランドファイナルが開催予定。場所は未定)として行なわれたほか、9月に発売が予定されているWRCの公式ゲーム『WRC9』のお披露目となり、WRCやジュニアWRCのほか、WRCゲーム業界のプロプレイヤーも参加した。
この日は13人のドライバーがスタートし、3回のヒートに分かれて各ヒートのトップ2がファイナルに進出。現実のラリーフィンランドから選りすぐりのステージを舞台に、ストレート、コーナー、ジャンプが再現された。このイベントを制したミカ“Mihalo”ライティネンは、わずか0.667秒という僅差で勝利。2020年eWRCグランドファイナルのワイルドカード枠での参戦権を手にした。
「ポディウムの頂点に上がることができて、最高の気分。プロのラリードライバーも手強かった」とライティネン。
「最終的にはeスポーツでの経験が活きた。自分はWRCゲームを4年間プレイしてきて、ワールドファイナルにも2回進出している。目標は、これまでの2位よりもさらにいい結果を出すこと」
ラリーフィンランドeチャレンジのセミファイナル3には、トヨタのカッレ・ロバンペラとともにフィランド在住の勝田貴元もトヨタのユニフォーム姿で登場。序盤はリードしていたが、惜しくも決勝には出場ならず。自身のツイッターで「自分にとって新しいチャレンジだったが、本当に楽しかった! 残念ながらオウニンポーヤで1位走行中にクラッシュし、決勝進出には1.2秒足りませんでした🙈 #WRC9 楽しかったです!」と興奮の模様を伝えている。
そのほか現実のラリー界からは、ジュニアWRCに参戦する若手のサミ・パヤリが2位、ラウリ・ヨーナはトップから2秒差内で3位に入った。しかし、この日の最大のサプライズはMスポーツ・フォードのワークスWRCドライバー、エサペッカ・ラッピ。WRCドライバー勢5人によるセミファイナル3で勝利。母国のWRCラウンドが中止になったものの、eスポーツで好パフォーマンスを見せ視聴者を驚かせた。
「なんだか、現実のラリーよりもこっちの方が自分は向いているみたいだね」とラッピはいつものようにジョークで最後のインタビューを盛り上げた。
チームメイトでカート出身のテーム・スニネンも、eスポーツでもマルチな才能を発揮し、併催されたデジタルレーシングeSMシリーズのファイナルに進出した。
「ファイナルで4位は、自分としてはとてもいいパフォーマンス」とスニネン。
「今年の活動としてはラリーよりもいい順位。いずれにしてもいいイベントだったし、リラックスしたムードでコンペティターに会うことができてよかった。来年は、この光景をWRCで見たいね」