3月14日に突然、第3戦ラリーメキシコが打ち切り終了となった2020年のWRC。新型コロナウイルス(COVID-19)の感染流行の影響を受けて、シリーズは大混乱に陥った。シーズン中断以降、これまでにシリーズに起きたことをまとめてみよう。
開催中止と新規イベント
当初、2020年に開催を予定していたアルゼンチン、ポルトガル、ケニア、フィンランド、ニュージーランド、ドイツ、ラリーGB、ジャパンが開催を断念。トルコはCOVID-19の影響になんとか対応した。イタリアは会期を変更したが、それも一度ではなく二度の調整を余儀なくされた。シーズンが開幕してから新たにカレンダーに追加されたのは、ラリーエストニアとベルギーのイプルーラリー。これにより、FIAが世界タイトルを与えるのに必要と考える最低7戦が確保できることになる。
イベントの短縮開催も容認
コスト削減とコンパクトなスケジュールを可能とするために、通常のアイテナリーよりも短縮したフォーマットでの開催が認められた。ラリートルコはその一例で、総ステージ走行距離は、2019年の309.86kmから今年は233.40kmの設定となっている。
変更を受けた走行順規定
ラリーエストニアは実質2日間での競技となることから、通常の走行順規定が変更された。プライオリティ1ドライバーの順位をリバースした走行順に変えるタイミングを、デイ1終了時点ではなく、デイ1の“日中”とした。これにより、現在、ドライバーズ選手権でトップ3につけているセバスチャン・オジエ、エルフィン・エバンス、ティエリー・ヌービルにもエストニアでのチャンスが生まれてくる。
WRC2チャンピオンのルーベがヒュンダイのセミワークスで登場、イエーツは欠場
セミワークスのヒュンダイi20クーペWRCでのデビューが遅れていた2019年のWRC2チャンピオン、ピエール・ルイ・ルーベが、エストニアから登場。一方、MスポーツからWRC2に参戦中のレイ・イエーツは、ラリーエストニアをスキップする。JWRCでは、ジョン・アームストロングが欠場。両ドライバーとも2月のラリースウェーデン以来、WRCに参戦していない。
王者タナックはWRC再開前に2勝
ヒュンダイ移籍以降、WRCでは未勝利の2019年チャンピオン、オィット・タナック。しかし、母国エストニアで開催された地元イベントでは、8月のサウスエストニアを含む2戦で勝利を収めており、母国初のWRCでも優勝候補筆頭と目されている。
(Graham Lister)