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WRC再開に臨むトヨタのエバンス「ヤリスWRCのDNAはハイスピードな道で培われたことを実感」

©Toyota Gazoo Racing WRT

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが深刻化し、3月のWRCラリーメキシコが1日早く終了した時、トヨタのエルフィン・エバンスは総合4番手につけていた。

WRCの公式TVクルーのひとりに陽性反応が出たことで、その同僚たちは自主隔離。一方で、母国に戻るためのフライトには、あちこちでキャンセルが出始めた。レオンに設置されたサービスパークの雰囲気は一気に張りつめた。選手権の中心人物のひとり、セバスチャン・オジエはそもそもメキシコに向かうことを理解できなかったが、それを避けることはできなかった。チームメイトのエバンスは、前月のスウェーデンで快走を見せてタイトル首位に浮上していたが、メキシコが中断となったことで、オジエに8ポイント差の選手権2番手で地元ウェールズに戻ることとなった。

Toyota Gazoo Racing WRT

そしてロックダウンが始まりWRCの開催キャンセルが相次ぐと、チャンピオンが決まらないまま今季は終了してしまうのではないかという不安も出てきた。最悪の事態は免れることになりそうだが、再開後は最低でも5戦は開催したいというWRCプロモーターの望みは叶いそうになく、ラリードイツが中止を決めたことで計7戦のシーズンとなりそうだ。

カレンダーが二転三転する事態を、エバンスは純粋に「どうにもできない」状況だと見ている。
「シーズンが再開することになって、安心している」と語るエバンス。
「できる時にできる限りのことをやらなくてはならない。一戦一戦に参戦し続け、ベストを尽くすしかない。どのような展開になるのか、誰にも分からない。今季は自分にとって最高の滑り出しになっているし、まだチャンスも十分ある」

しかし、エバンスがこの先に迎える4戦にはやや不利なイベントもある。昨年のラリーエストニア(WRC公式プロモーショナルイベントとして開催)では着地でラインを外して頚椎を2本骨折、その結果、その後のWRCトルコを欠場している。さらに、先月、WRCメキシコ以来の競技参戦となったサウスエストニアラリーでも激しいクラッシュを喫している。さらに、ジャパンの代わりにWRC最終戦となったイプルーラリーには、参戦経験がない。

一方で、フィンランドでのテストは有意義に終了し「ヤリスWRCのDNAはハイスピードな道で培われたもの」という事実を実感できたという。
「テストでのマシンのフィーリングはよかった。昨年のエストニアにヤリスWRCで参戦したオィット(タナック)が、なぜあれだけ速かったのか、よく分かった」とエバンスは指摘する。

サウスエストニアの後、トヨタはギリシャでもテストを行っており、ヤリスWRCは速さだけでなく、ラフな道での3日間の走行でより頑丈になっているはずだ。
「とにかく、エストニアで最速になるための努力をしている。それから次のイベントに集中するよ」とエバンス。
(Graham Lister)



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