WRCラリートルコでテクニカルトラブルによりリタイアを喫したセバスチャン・オジエ。トヨタは、ヤリスWRCのテクニカルトラブルについて分析を進めているが、初期段階ではエンジンのシリンダーとトランスミッションのマグネットにトラブルの兆候が見られているという。
ドライバーズ選手権争いでは9ポイント差をつけての首位に立ってWRCトルコ戦を迎えていたオジエだったが、この最終日は午前中のSS9でパンクしタイムロス。午後に同じステージを再走したSS11ではエンジン内部の不調でラリーリタイアに追い込まれた。また、オジエは競技2日目にはシフトのトラブルに悩まされている。
「ギヤシフトに使っているシステムは、電子モーターで動いている」とテクニカルディレクターのトム・ファウラーは解説する。
「マグネットはこのモーターのパーツで、そのマグネットにトラブルがあった。これで散々なことになってしまった」
「我々は、このマグネットには製造段階での欠陥があるのだと考えている。これを分析し科学的な実験も行って、具体的に何がトラブルを起こしたのかを調査している。限界レベルでの走行中では順調に動いていた。モーターは、製造メーカーから出荷された段階から不調を起こす運命にあった」
オジエ車のエンジンは、開発と組み立てが行われたドイツ・ケルンにあるTGR-Eに送られている。
「現状、我々が把握していることは唯一、シリンダーのひとつが機能していなかったことだ」とファウラー。
「マシンがステージから戻ってきた時にエンジン内部を調査した。カメラを使ってシリンダーの内部を見てみたが、この時には第1気筒が機能していなかった。あのエンジンを分解して徹底的な調査を行うまでは、内部のダメージがエンジンのトラブルにつながったのか、何かがその不調の引き金となったのか、語るのは難しい」
「このエンジンは、あっという間にトラブル状態になった。一瞬で混乱に陥ったかのようだ。しっかり時間をかけて調査を行わないと、始めたばかりの状態では何が起きたのかはハッキリとは分からない。現在、ケルンでその調査を行っている」
トルコでのリタイアは、オジエにとって2017年のフィンランドでのクラッシュ以来。この第5戦がノーポイントに終わったことで、選手権争いでの首位からも陥落している。現在、チームメイトでトルコを制したエルフィン・エバンスとは18ポイント差がついており、今季の残りイベントは現状、イタリアとベルギーの2戦となっている。