世界RXで2度のチャンピオンに輝き、今季もドライバーズ選手権首位に立っているスウェーデンのヨハン・クリストファーソンが、2021年から始まるFIA RX2e選手権で使用するマシンをスペインでテストした。今後、若手のラリークロスドライバーが駆ることになるマシンの感触とは。
今回、クリストファーソンがドライブしたのは、QEVテクノロジーとラリークロス界の名門ワークショップ、オルスベルグMSEが共同で開発した新型マシンで、RX2eのアンバサダー兼テストドライバーのオリバー・エリクソンとともにバルセロナ近郊のカラファットテストコースを走行した。
「このマシンの第一印象はかなりいい感じだったが、電動マシンで走るのは初めてだったので、どのようになるのか想像がつかなかった」とクリストファーソン。
「でも、一度走り出して、何度かブレーキを踏み、コーナーをクリアすれば、すぐにガソリン車で行うのと同じように、もっと煮詰めたり細かい部分を自分好みに変更したりするようになったよ。車内でのサウンドはこれまでとは少し違うが、自分の予想とほぼ同じだった。全体的なフィーリングはかなり良かった。根っからのドライバーだから、すぐに改善できるポイントを探し始めてしまうが、これはどんなマシンでも変わらないね」
このRX2eマシンは、RX2インターナショナルシリーズで使用されている既存のスーパーカーライトマシンと比較してパワーが24%、トルクが14%アップしている。クリストファーソン自身もRX2マシンでの参戦を経験しているが、RX2eマシンの方が速くなるだろうと考えているようだ。
「この電動マシンはRX2よりもトルクが格段に太いので、最初からトラクションのコントロールがしやすい。バランス的にはだいたい同じか、重量配分の関係で少し速くなるかもしれない。まだ開発の初期段階だが、すべてが噛み合うようになれば間違いなくRX2よりも速くなる」とクリストファーソン。
世界ラリークロス選手権では2022年から電動マシンが導入されるが、最高峰カテゴリーでも、現行のスーパーカーマシンより速くなると見られている。クリストファーソンは、エントリーレベルのカテゴリーであるRX2eマシンも現行のRX2クラスよりも速くなることが重要で、電動の技術を採り入れることで若手ドライバーにとって参戦に必要な支援を得るチャンスがさらに増えると考えている。
「世界的に電動車両がどんどん発展しているなか、このマシンはRX1(2021年からのスーパーカーカテゴリー)に向けた非常にいい形のステップになると思う。自分がいま心から思うのは、RX2はスーパーカーへの登竜門だということ。新しい電動スーパーカーは現行のスーパーカーよりも速くなり、RX2eはRX2よりも速くなる。そして、ラリークロスを学んでいく、いい段階が形成される。代替マシンとしてとてもいい形になっていると思うし、これが導入されることでよりエコフレンドリーになって、新規のドライバーがより予算を確保できるようになることを願っている。今の時代、エコはあらゆるスポンサーにとって非常にホットな話題だからね」
このRX2eマシンは、世界RXバルセロナの会期中にもデモンストレーションラップを披露しており、この時にはエリクソンがドライバーを務めた。また、参戦チームにも、パドックでマシンを見る機会が与えられている。
シリーズは、マシンの解説や走行の模様を収めた動画も公開している。