小林直樹カメラマンがワールドラリーカレンダー2021の写真を解説します(最終回) – RALLYPLUS.NET ラリープラス
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小林直樹カメラマンがワールドラリーカレンダー2021の写真を解説します(最終回)

©Naoki Kobayashi

11月20日に発売予定の「ワールドラリーカレンダー2021」。写真を撮影した小林直樹カメラマン本人による解説を、4回にわけてシリーズでお届けしています。今回は最終回の10月〜12月分を解説! すでにお伝えしているとおり、今年は取材のチャンスが限られてしまったこともあり、小林直樹カメラマンが選ぶ思い出のラリーということでセレクトしました。A2変形判(縦420mm×横594mm)という迫力のサイズでお届けします。

また、こちらの商品はラリプラメンバーズ特典に含まれています。メンバーズにご入会いただいた皆さまには特典としてお届けいたしますので、お楽しみにお待ちください。

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◆10月
2003年サンレモラリー
スバル・インプレッサWRC2003

Naoki Kobayashi


これはシェイクダウンのスタートに向かうリエゾンですね。当時は、今のリモートサービスみたいな感じで、ホストタウンから離れたシェイクダウンステージにサービスも出張していました。街の中を通過していくんですが、ヨーロッパ的な街並みがすごく良くて、ここで絶対撮りたいなと思って狙った場所です。サービスでは顔写真やディテール、整備風景などを撮る必要があったので、時間的にも全車は厳しかったのですが、スバルは外さないよう狙いました。ごちゃっとした雰囲気もいいなと思っています。

サンレモはこの年で最後でしたね。綺麗な風景もありますが、大変な思い出の方が多いです(笑)。いつだったか、新井敏弘選手と一緒にステージに行くことになって、両サイドをクルマが止まっている枝道をどんどん進んでいったんですが、まったく止めるスペースがなく、ステージまで到達してしまいました。もうバックするしかない。でも後ろからスクーターとかがガンガン来るわけですよ。僕がクルマを降りて交通整理しながら新井選手が運転して、1km以上バックしました。「オレこんな距離をバックしたの初めてだよ〜」って新井選手も言ってましたね。結局、そのステージは撮影を諦めました(苦笑)。

◆11月
1998年ラリーモンテカルロ
トヨタ・カローラWRC

Naoki Kobayashi


このカットは、僕が本格的にWRC取材をスタートさせた年の最初のラリー、初めてのステージで撮ったものです。『イン側からカッコよくカウンターを当てて上っていくカット』を撮りたいと考えていて狙っていたところ、ディディエ・オリオールがちょうどいい感じに来てくれました。当時はフィルムでしたが、『やったな』という実感を得られた一瞬です。構図はほぼ狙いどおり。弱くストロボをあてて、シャッタースピードは1/60くらいです。これは忘れられない写真ですね。

今はこういうカットを撮ろうとしても、クルマがこんな動きをしないんです。ステアリングをイン側に切って曲がっていきますから、せいぜいニュートラルステアがいいところ。この写真みたいに、自分の方にクルマが向いて、カウンターが当たって、リヤを滑らせながら前に進んでいく様子はほとんど撮れないかな。グラベルならまだしも、ターマックは当時と今ではクルマの動きが全然違っていますからね。ここ何年も、こういうところで狙ってはいるんですが、いつも撮れずにガッカリしていました。

たしかこの年は同じトヨタのカルロス・サインツが勝ったんですが、表彰式はけっこう感動的なものだったことを良く覚えています。

◆12月
2000年ラリーモンテカルロ
三菱ランサーエボリューションⅥ

Naoki Kobayashi


これも忘れられないカットのひとつですね。この頃は、夜暗くなってからヨットハーバーで表彰式だったんですよ。クルマを置いて、表彰式を撮りにヨットハーバー沿いを歩いていく時、このゲートの様子が見えたんです。『コレ、後ろから撮ったらすごく綺麗なんじゃないの?』と思って、狙うことにしました。一緒に歩いていた先輩カメラマンには驚かれましたよ。モンテカルロって開幕戦ですし、普通は正面から撮りますよね(笑)。

奥にカメラマンスタンドがあるのですが、『そこのストロボをもらえたらシャンパンが舞って綺麗なはず』と。加えて、モンテカルロの雰囲気も活かせると思いました。シャッタースピードは1/15とかですね。そこまでゆっくりにしないと、ストロボをもらうことは難しいです。1/15でも確実にもらえるかは分かりませんが、ストロボをもらえれば多少ブレは収まりますし。あとはゲートがもう少し高ければ完璧でしたが、これは思い切った判断で撮れたものだと思っています。

もちろん失敗することもありますが、思い切った判断で撮ると、いい写真が撮れることが多いですね。時には定番をあえて外すというのも、今までに見たことがない写真が撮れたり、新鮮さが出ていいと思いますので、ぜひ機会があったらチャレンジしてみてください。

◆第1回
https://www.rallyplus.net/73689

◆第2回
https://www.rallyplus.net/73840

◆第3回
https://www.rallyplus.net/73989

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