2020年シーズンの全日本ラリー選手権権第3戦「Sammy ツール・ド・九州2020 in 唐津」の最終日が、11月28日(土)に9カ所のスペシャルステージを舞台に開催された。2番手からスタートした新井大輝/小坂典嵩(スバルWRX STI)が、奴田原文雄/佐藤忠宜(三菱ランサーエボリューションX)に10.8秒差をつけて勝利。自身初となる全日本選手権タイトルを獲得した。29.6秒差の3位には、勝田範彦/石田裕一(スバルWRX STI)が入っている。
初日を終えた段階で首位奴田原と2番手新井大輝の差はわずか4.2秒。
「リスクを負ってでも攻めるしかない」と語りスタートした新井大輝は、SS4とSS5で連続ベストを刻み、その差を2.0秒にまで縮めてみせる。すると、続くSS6で奴田原が痛恨のスピン。新井大輝はこのSS6とSS7もベストタイムを並べ、奴田原を一気に突き放し、2020年最後のラリーを勝利で飾った。
この結果、ラリー北海道に続く2勝目を挙げた新井大輝が、自身初の全日本選手権王者に輝いた。
「本当にしびれる展開のラリーでした。特に今日の1ループ目は死にものぐるいで攻め続けました。何回も危ない……と思う瞬間もありました。そんな状況のなかでしっかり走り切れたのは、チームや支えていただいている皆さんのおかげだと思っています。そしてこのタイトルが世界へとつながってくれたら、うれしいですね」と、喜びを語っている。
一方、この日も4度のベストを刻みながらも、SS6でのミスに泣いた奴田原は「やるべきことをやりましたが、ちょっと足りなかったということでしょうね。それでも、タスカ・エンジニアリングが良いクルマを作ってくれたことに感謝しています。最後に勝てなかったことが残念です」と、悔しさをのぞかせた。
3位は優勝争いにこそ絡めなかったものの、勝田は今シーズン初の表彰台フィニッシュ。
「3戦連続リタイアだったので、どうしても完走したいという思いもありました。後半は集中力が切れてしまいましたが、思い切り走れたと思います。そして、今回のラリーで石田(裕一)選手が若手育成に回るため勇退します。そのラリーで3位を獲れて良かったです」と、笑顔を見せている。
JN2クラスは中平勝也/石川恭啓(トヨタGT86 CS-R3)が勝利し、自身初の全日本タイトルを獲得。JN3クラスは曽根崇仁/竹原静香(トヨタ86)が逆転で制し、クラス王座を決めた。JN4クラスは高橋悟志/立久井和子(スズキ・スイフトスポーツ)が勝利し、タイトルは古川寛(スズキ・スイフトスポーツ)が獲得している。
JN5クラスは小濱勇希/東駿吾(トヨタ・ヤリス)がクラス優勝し、天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツGRスポーツ)が連続タイトル獲得記録を更新。JN6クラスは水原亜利沙/高橋芙悠(トヨタ・ヤリスCVT)が、うれしい全日本初勝利を手にした。