WRC第7戦モンツァを制したTOYOTA GAZOO Racing World Rally Team。この結果を受け、トヨタ自動車の豊田章男社長がコメントを発表した。
(以下リリース全文)
セバスチャン、最終戦モンツァでの優勝、そしてシーズンチャンピオン獲得おめでとう! チームメンバーから「出発1分前のオジエ選手です」と写真が送られてきました。もう出発という瞬間まで、君はパソコンの画面に向かいコースのデータ確認をしていました。その後、「SSの前のオジエ選手です」という写真も送られてきました。そんな時でも君はいつも通り、貴元の質問に丁寧に答えてあげてくれていました。チャンピオンを獲ってくれたことも本当に嬉しいですが、これらの写真を見て、君がTOYOTA GAZOO Racingを選んでくれて本当によかったと思いました。一緒に戦ってくれてありがとう。
残念ながらチームとしてのタイトルは逃してしまいました。我々のつくったヤリスWRCにも何か足りないものがあり、チームとしても足りないことがあったということだと思います。もしかしたらエルフィンは、チームタイトルを獲れなかったことが、自分のコースオフのせいだと感じているかもしれません。そのコースオフによって、彼は自身のチャンピオン獲得からも遠のきました。一番悔しい想いをしているのはエルフィン自身のはずです。しかし、彼はサービスに戻り、開口一番「チームタイトルに貢献できず申し訳ない」と言ってくれたそうです。チームタイトルを逃したことは悔しいですが、チームのために走ってくれていたこの言葉は嬉しく思いました。
カッレも今年1年で大きく成長してくれました。貴元も本当に頼もしいドライバーになってくれています。モンツァの最終ステージでは全ドライバー中トップタイムを貴元は出してくれました。この選手たちと2020年のシーズンを戦えて本当に良かったと思います。一緒に戦ったドライバー、コ・ドライバー、メカニック、チームスタッフのみんな、大変なシーズンでしたが、本当にお疲れさまでした。本当にありがとう。
そして、今回のラリーは、トミがチーム代表を務める最後のラリーでした。トミ……、君とも一緒に戦って来れて本当に良かったと思っています。WRCに出ることを決意して、そのクルマづくりとチームづくりをトミにお願いしました。実は、当時、少し無理なお願いをしたかなと思っていました。しかしトミは、本当に1年の準備期間でクルマもチームもつくり上げてくれました。しかも、デビュー戦のモンテカルロで2位表彰台、その次のスウェーデンで優勝です。その後、苦しい戦いもありましたが、その経験のひとつひとつを、我々のクルマを強くすることに繋げていってくれました。2018年のフィンランドで優勝して、一緒にヤリスの屋根に上ったのは最高の思い出です。トミがヤリスを強くし続けてくれたおかげで、我々は新たにGRヤリスをつくることもできました。トヨタがラリーへの参戦を通じてクルマづくりを変えて来れたのもトミがいてくれたからこそです。先日発表のとおり、トミはモータースポーツアドバイザーという役割に変わります。引き続き、トヨタのもっといいクルマづくりに力を貸してもらいたいと思います。
最後になりますが、大きな変化の中で臨機応変に7戦のラリーを開催いただいた主催者の皆さま、そして変わらず応援を続けてくださったファンの皆さま、1年間本当にありがとうございました。2021年も世界のあらゆる道でライバルチームの皆さまと共に走れることを願っております。