マキネン「元ドライバーとしてエルフィンの気持ちは痛いほど理解できる」 – RALLYPLUS.NET ラリープラス
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マキネン「元ドライバーとしてエルフィンの気持ちは痛いほど理解できる」

©Toyota Gazoo Racing WRC

今季いっぱいでトヨタのチーム代表としての職を離れるトミ・マキネンは、チームメイトのセバスチャン・オジエに世界タイトル獲得のチャンスを明け渡すことになったエルフィン・エバンスの気持ちに寄り添う姿勢を示した。

ドライバーズ選手権リーダーとして2020年WRC最終戦ラリーモンツァを迎えたエバンスだったが、3番手走行中のSS11にコースオフしてデイリタイアを喫した結果、8ポイント差で初のタイトルを逃すことになってしまった。右コーナーで雪の層につかまったエバンスは、このまま順位を維持できていれば、2001年のリチャード・バーンズ以来となる英国人WRCチャンピオンになれていたところだった。しかし、アクシデント後は、ラリー最終のパワーステージでも3ポイントを追加するのが精いっぱい。選手権では、昨年王者のオィット・タナックを抑えての2位に留まった。

独自の取材に対しマキネンは「エバンスは必ず挽回できる、問題ない。来年も変わらず、チームから最大限のサポートを受け続けるし、我々もできる限り彼を支えていく」と語った。

同じく英国出身のスコット・マーティンと組むエバンスは、このモンツァではオジエ/ジュリアン・イングラシア組に14ポイントのアドバンテージを握ってスタートしていた。しかし、初のタイトルへの期待は、この土曜日の午後、エバンスのトヨタ・ヤリスWRCがスノーバンクにスライドしたことで無情にも打ち砕かれてしまった。

「エルフィンとスコットに起きたことは、本当に辛かった」と語るマキネン自身は、ドライバーとしてWRCタイトルを4回獲得している。
「彼らがマシンの中でどう感じていたか、自分にはよく理解できる。言葉で表すのは難しい。エルフィンは今季、とてもいい活躍を見せていたし、今回のモンツァではやみくもに最速を目指すことなく、うまくペースをコントロールできていた。クレイジーだったのは、コンディションだ。天候もあっという間に変化していたし、このような厳しいコンディションの中では、スピードをコントロールするのがとても難しい。自分の速さが足りているのかを自覚できないんだ。ほんの小さなミスをするだけで、すべてが終わってしまうかもしれないような状況だった」

現在31歳のエバンスは、あのステージでタイトルの夢が消えた瞬間について次のように語っている。
「あの午後は、雪が本格的に降り始めて、難しいコンディションだったが、まずまずのいい走りをしていた。でも、雪が降り始めたことで、基本的には雪に隠れて見えなくなった路面変化につかまってしまっただけのことだった。ノートには明記してあったが、結局はグリップレベルの変化が予想よりも格段に悪く、つまりは次のコーナーに向けて速度を落とすタイミングを失ってしまったということだ」

Toyota Gazoo Racing WRC

このコースオフの瞬間にタイトルの望みは消えてしまったエバンスだったが、すぐに路肩まで駆け上がり、後から走行してくるオジエに危険を知らせた。

「エルフィンがコースオフした場所は、誰がそうなってもおかしくなかった」とオジエも語る。
「あのコーナーのグリップ変化を読むのは、正直、不可能だった。あの瞬間は、彼が気の毒としか思えなかった。最後まで彼と戦いあいたかった。このような形で戦うのは楽しいし、両選手権のうえでもチームにとってもいいことだからね」

一方、このラリーモンツァはマキネンにとって、トヨタのチーム代表としての最後のWRCとなった。56歳のマキネンは来年、トヨタのモータースポーツアドバイザーに就任することが発表されている。

Toyota Gazoo Racing WRC

チームの総代表を務めるトヨタ自動車の豊田章男社長はラリー後にコメントを発信し、次のように述べている。
「WRCに出ることを決意した時、そのクルマづくりとチームづくりをトミにお願いした。実は、当時、少し無理なお願いをしたかなと思っていた。しかしトミは、本当に1年の準備期間でクルマもチームもつくり上げ、デビュー戦で2位、その次のスウェーデンで優勝を飾ってくれた」とマキネンの貢献を称賛した。

エバンスのコースオフは、結果的にヒュンダイのマニュファクチャラーズタイトル連覇につながることになった。トヨタはわずか5ポイント差で、ドライバーズ/コ・ドライバーズを合わせたトリプルタイトルを逃している。
(Graham Lister)



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