2021年WRC第1戦モンテカルロは競技3日目を終えて、トヨタのセバスチャン・オジエが逆転し総合首位に立っている。総合2番手にはエルフィン・エバンス、3番手にカッレ・ロバンペラがつけており、トヨタ・ヤリスWRCによる1-2-3体制となった。勝田は難しいコンディションの路面を走り切り、総合6番手につけている。
競技3日目はSS9〜11の3SS、SS総距離57.1km。再び夜明け前のスタートとなり、上位陣は全車がスタッドタイヤを選択してステージへと挑む。前日最後のSSでクラッシュを喫したヒュンダイのピエール‐ルイ・ルーベは戦線に復帰、先頭走者を務める。アイスパッチが点在し一瞬も気の抜けない路面のなか、ベストタイムをマークしたのはオジエ。SS2番手のエバンスに17.8秒差をつける力走を見せて、総合順位でも一気にエバンスを抜き去って首位に立ってみせた。これでふたりの差は10.4秒となっている。また、このSSでタナックは左フロントタイヤをバーストさせてしまい、ホイールのみでの走行となったため大きくタイムロスを強いられることに。これでタナックは総合5番手までポジションダウン。代わってロバンペラが総合3番手とヌービルが総合4番手とそれぞれ順位を上げた。
続くSS10は、昨年タナックがクラッシュを喫したステージで、その場所にはシケインが設けられている。しかし今年はスタートからスノーコンディション。凍ったアスファルトの上に雪が乗っているような状況で、コーナーによっては時速30km以下までスピードを落とす必要も。各車とも慎重なアクセル/ステアリングワークでステージをクリアしていく。このSSでベストタイムをマークしたのは初コンビで臨んだヒュンダイのティエリー・ヌービル。SS2番手にはピエール‐ルイ・ルーベ、3番手にソルドが続き、ヒュンダイ勢が上位を占める形となった。一方、タナックは再びパンクに見舞われ、ステージの途中でタイヤ交換を余儀なくされる事態に。このSSだけで8分50秒以上を失い、勝負権を手放すこととなった。この結果、ソルドが総合5番手、勝田が総合6番手にポジションを上げている。
この日のサービスはラリーの最終サービスとなる。この日最後のSS11を終えたクルーは一路モナコへと向かい、最終日朝のタイヤフィッティングゾーンを経て残る4SSを走り切らなければならない。SS9と10でパンクを喫したタナックはスペアタイヤを1本しか持っていなかったためリタイアを喫することとなった。大会ルールにより最終日の再出走は不可とのことで、タナックの開幕戦はここで幕を閉じることとなった。
SS11はSS9の再走ステージ。日中になって路面はウエットコンディションに変化しているが、標高の高いセクションや日影の部分は氷に覆われたところも多く残っている。さらに1回目の走行で掻き出された泥があちこちに乗っているなど、難易度の高さは変わらず。このステージはエバンスが制し、SS2番手にオジエ、SS3番手にロバンペラが続く。
この結果、総合首位はオジエ、2番手にエバンス、3番手にロバンペラと、トヨタがトップ3を占めている。対するヒュンダイのヌービルは4番手、ソルドが5番手。難しい路面できっちりと生き残った勝田は総合6番手につけている。ラリー終盤になりそれぞれのタイム差は開きつつあるが、首位オジエと2番手エバンスの差は13秒。3番手ロバンペラと4番手ヌービルの差は7秒と、残る4SSでもドラマが起きる可能性は十分にあると言っていいだろう。
24日(日)はいよいよ最終日。残されたステージはSS12〜15の4SS、SS総距離54.48km。SS12は日本時間24日16時30分スタート。
WRCモンテカルロ SS11後暫定結果
1. S.オジエ(トヨタ・ヤリスWRC) 2:16:31.9
2. E.エバンス(トヨタ・ヤリスWRC) +13.0
3. K.ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC) +56.8
4. T.ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC) +1:03.8
5. D.ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC) +2:11.3
6. 勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC) +4:43.1
7. A.ミケルセン(シュコダ・ファビア・ラリー2EVO) +5:22.7
8. G.グリーンスミス(フォード・フィエスタWRC) +6:14.6
9. A.フルモー(フォード・フィエスタ・ラリー2) +7:36.5
10. E.カミリ(シトロエンC3ラリー2) +7:54.1