アイルランドのオリー・オードノバンが、2021年のヨーロッパラリークロス選手権に、プロトン・アイリスRXでスーパーカー部門に参戦することを発表した。世界ラリークロス選手権にもスポットで参戦を予定しているという。参戦すれば、プロトンのマシンが世界RXに登場するのは初めてのこととなる。
オードノバンは、チームRXレーシングからのエントリー。プロトンのラリーマシン開発に定評がありアイリスR5の製作も担った英国の名門ワークショップ、MEMが、長年協力関係にあるトニー・バルディ・モータースポーツと連携してプリペアを担当する。ラリークロス版のアイリスは新たに開発したマシンだが、R5のプラットフォームを活用したという。
「チームはとても盛り上がっている。すでに世界選手権に参戦しているマシンを買えば話は簡単だったが、自分たちは何か違うことをして注目を集めたかった」と語るオードノバンは、ヨーロッパRXではポディウムに上がった経験も持つ。
「トニーとは長年の付き合いで、この業界ではとてもいい仕事をするひとり。彼のラリークロスでの経験とMEMの専門知識を組み合わせることで、本当にいいプロジェクトになると期待している。マシンはアイリスR5をベースとしているが、新たに製作したもの。走らせられるようになるまでまだ膨大な作業が残っているが、テストでこのマシンに乗り、そして世界最高峰レベルを誇る英国のラリークロスサーキットでのレースやヨーロッパ選手権、そして世界選手権で戦う日が今から待ち切れない」
マシンは現在、英国にあるMEMのワークショップで製作が進められているという。
「当初、我々がアイリスR5を製作している時にラリークロスにも向いているかもしれないという気持ちは感じていたので、最初から少し作り込みすぎた部分もあった。オリーとトニーはラリークロスの経験が豊富なので、このプロジェクトで一緒に仕事をできることは、本当にエキサイティングだ」とMEMの代表でプロトン・モータースポーツのチーム代表も務めるクリス・メローズはコメント。
「アイリスは全長こそ短いが、R5マシンの中では最も長いホイールベースを誇るモデルのひとつで、サスペンションのトラベルも十分あり、ベース車の設計のおかげでフロントのジオメトリーも優れている。調整できる部分が多く、ラリークロスのセッティングに最も適するような特殊なコンポーネンツを作る必要があるが、すでに作業はかなり進んでいる。我々は勝ちたいと思って作っているし、だからこそこのプロジェクトに取り組んでいる」
バルディも、チームRXレーシングは注目を集めるために新しいマシンを製作することを決めたのだと同調する。
「プロジェクトを進める上で別のマシンで計画を立てていたが、オリーはみんなと同じようなことは願っておらず、違うことを希望した。自分はじっくり考えたが、時間はかかってもイチから始めてまったく新しいものを製作することを始めた。そして、いざ始めてみれば、長年の付き合いがあるMEMが製作したアイリスは、まさにほかとは違うマシンだった。プロトン初のラリークロス・スーパーカーを作ろうと決めるまでに、そう時間はかからなかったよ」