2016年のFIA世界ラリークロス選手権チャンピオン、マティアス・エクストロームが率いるEKSと、同じくラリークロスタイトル獲得経験を持つJCが合同で新たにEKS JCチームを立ち上げ、アウディA1クワトロ・ラリー2を製作したことを発表した。今季中の実戦参戦も計画しているという。
スウェーデンを拠点とするEKSは、2014年にすべて内製のアウディS1 EKS RXクワトロを製作して世界RXに参戦。エクストロームがドライバーを務め2016年にタイトルを獲得したほか、17年、18年もシリーズ2位に食い込んでおり、世界RXのなかでも最も成功を収めたマシンとしての実績を誇る。
「次世代のアウディA1がローンチされた時、それで何かのマシンを作って参戦したいという気持ちを持っていた。自分のラリーへの情熱をみんなが知っていたので、それがラリーマシンを作ることなのだということがすぐにクリアになった」と語るエクストロームは、先日開催されたWRC第2戦アークティック・ラリーフィンランドではWRC3部門にシュコダ・ファビア・ラリー2 Evoで参戦、部門5位でフィニッシュを果たしている。
EKS JCが今回製作したアウディA1クワトロのラリーマシンは、南アフリカのラリーマシン製作会社のラリーテックと連携し、ラリー2キットを使用。FIA基準に合致しているため、国際格式の競技参戦にも適合する。
「今の段階でマシンの製作は終わっており実戦にも参戦できる状態だが、まだセッティングの細かい詰めの作業が残っている」と語るのは、EKS JCチームマネージャー、ジョエル・クリストファーソン。
「これからスノーとグラベルスペックのテストを始め、今季終盤にはターマックスペックのテストにも専念していく」
ラリー2仕様のアウディA1クワトロは、1.6ターボエンジンを搭載した4WDのラリーカー。263馬力を発生し、5速シーケンシャルギヤボックスを装着する。
「元ジュニアWRCチャンピオンのエミル・ベルクビストがテストドライバーを務め、近いうちにテストセッションを開始する。また今年のうちにローカルラリーや国際格式ラリーにも参戦する計画を立てている」とクリストファーソン。ベルクビストは、エクストロームがWRCアークティック戦に参戦した際に、コ・ドライバーを務めている。
「今は、マシンは自分たちが使うためだけのものだが、満足のいくパフォーマンスが出せるようになれば、ほかのコンペティターへのレンタルや販売も提供していくつもりだ」とエクストロームはコメント。
また、ラリーテクニックのディレクター、クリス・コーツは「EKS JCとこのプロジェクトでコラボレーションができることを、とてもうれしく思う。ラリー2キットはコンペティターに、独特のコストパフォーマンスバランスのとれる参戦方法を与えてくれるキットだが、今回のプロジェクトではさらに、伝説のブランドと栄光のボディという夢のコラボレーションだ」と語っている。