FIAは3月5日に開催したワールドモータースポーツカウンシルの会合で、すでに開催延期や中止が相次いでいるFIAラリー地域戦のカレンダーについても、修正カレンダーを発表した。
FIAアジア・パシフィックラリー選手権(APRC)に関しては、すでに第1戦として2月4〜7日に日本で予定されていたラリーオブ嬬恋(スノー)が開催を断念しているが、カウンシルでは嬬恋ラウンド以外のアジアカップ3戦、パシフィックカップ2戦、タイトルを決定するファイナルをオーストラリアのコフスハーバー(パシフィックカップ併催)で開催する暫定カレンダーを発表した。
しかし、それぞれの開催国が海で隔たれておりロジスティックの多くを海運に委ねなくてはならない環境から、新型コロナウイルスの感染流行にAPRCが受ける影響は大きく、FIAの見通しとAPRCのワーキンググループとの間での認識や感覚には、昨年から温度差があるようだ。
編集部の取材に対し、APRCのシリーズメディアを担当するランス・ヘスティは「現段階で、予定されているAPRCラウンドの多くが開催されないことを示唆している」と実情を語った。
「イベントを開催できない場合、各戦の開催国のASNがファイナルへの参戦を希望するエントラントのリストを提出する形式を取ると見られている。その場合でも、ファイナルに進出するエントラントにはAPRCのシリーズエントリー費用を支払う必要は出てくる。その後、ファイナル一戦のみのエントリーリストが発行され、予定どおりにファイナルを開催することになるだろう。しかし、それも、エントラントたちが自由にエントリーして参戦できる状態になるかどうか、という課題が解決されるか次第だ」
一方、既報どおり、FIAは3月のワールドモータースポーツカウンシルで今後の世界のラリースポーツのヒエラルキーとなる「ラリースポーツピラミッド」を発表し、2022年からWRCとERC間での連携を強めてステップアップの道筋を明確にすることを発表している。FIAラリーディレクターのイブ・マトンは「将来に向けての考えとしては、この“ラリースポーツピラミッド”を世界中で適用させたいと構想している。そうすれば、すべてのFIA選手権で同じ形式を取ることができる。しかし、選手権によっては、ラリー3マシンがトップカテゴリーとして適切でそれ以上は必要ないという地域があることも理解している」と語っている。
このラリースポーツピラミッドに関してヘスティは、「APRCにいつ適用されるか、また、どのような形式をとるかについての指示は、現状では受けていない。シリーズ関係者には、明確な発表をすることができるようになり次第、伝えたいと考えている」と語った。
FIAが発表している2021年APRC開催カレンダー
(3月5日時点)
APRCアジアカップ
サウスインディアラリー 4月23〜25日(当初の3月26〜28日から延期) インド
ラリー北海道 9月10〜12日 日本
ラリー龍遊 10月22〜24日 中国
APRCパシフィックカップ
アデレードヒルズラリー 10月15〜17日 オーストラリア
コフスハーバーラリー 11月27〜28日(当初の11月20〜21日から延期) オーストラリア
APRCファイナル
コフスハーバーラリー 11月27〜28日(当初の11月20〜21日から延期) オーストラリア