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全日本ラリー新城:競技初日はスバルの鎌田卓麻が総合首位

©Jun Uruno

2021年全日本ラリー選手権第2戦「新城ラリー2021 supported by AICELLO」の初日が3月20日(土・祝)に行われ、鎌田卓麻/松本優一(スバルWRX STI)が総合首位に立った。2番手には柳澤宏至/保井隆宏(シュコダ・ファビアR5)、3番手には新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI)が入っている。

新型コロナウイルス感染拡大防止のために2020年大会と同様、無観客での開催となったラリーは、青空のもとスタート。この日の舞台となるのは、テクニカルな船着(SS1/3)とハイスピードの鬼久保(SS2/4)という両極の性格をもつ計4SS、29.66kmだ。朝9時、ラリーカーはサービスパークの置かれる新城総合公園からステージへと向かっていった。

シュコダ・ファビアR5やトヨタGRヤリスなどがラインナップに加わり、大きく車両の顔ぶれが変わったJN1クラス。福永修/齊田美早子がオープニングのSS1から3連続ベストタイムを並べる好走でラリーをリードするが、この日最後のSS4でパンクを喫してしまい、大きくタイムを失うことに。それまでのマージンをすべて吐き出してしまい、総合5番手でこの日を終えることとなった。代わってトップに立ったのはスバルの鎌田。格上のR5車両を相手に、SS1/3ではベストタイムの福永にそれぞれ0.1秒、0.4秒差という僅差で食らいついていたことが奏功した。続く2番手にはファビアR5の柳澤宏至/保井隆宏、3番手に新井敏弘、4番手に新井大輝/小坂典嵩(スバルWRX STI)というオーダーとなった。注目のGRヤリスは山本悠太/立久井和子が6番手。勝田範彦/木村裕介はSS1で、眞貝知志/安藤裕一はSS2終了後にそれぞれトラブルでラリー続行を諦めている。
この日を首位で終えた鎌田は「午前中は思っていたよりも路面がきれいで、グリップが薄い印象でした。昼のサービスでセットアップを変更してコントロール性も向上し、午後は2本とも悪くない走りができたと思います。ここまでは順調ですが、明日は雨が降りそうなので、雨用のセットアップに変更して臨みます。鬼久保(SS6/8)はR5勢が速いので、雁峰北(SS5/7)をいかにうまく攻められるかでしょうね」と、テクニカルコースの雁峰北がカギになると語った。

バラエティ豊かな車種が参戦するJN2クラスには、久々の全日本ラリー参戦となるヘイキ・コバライネン/北川紗衣(トヨタGT86 CS-R3)が登場。レクサスRC Fの石井宏尚/竹下紀子、前年度チャンピオンの中平勝也/行徳聡(トヨタGT86 CS-R3)、上原淳/漆戸あゆみ(ホンダ・シビック・タイプRユーロ)らが鎬を削る。初日午前中は石井が2SSとも一番時計を刻み、ラリーをリード。しかし午後になるとコバライネンがペースアップを果たし、2SS連続ベストタイムをマークした。石井はそれでも2番手コバライネンに対して5.6秒のマージンを残して初日を終え、首位の座を守り切ることに成功。3番手には中平、4番手にトヨタ・ヴィッツGRMNの中村英一/大矢啓太がつけている。
石井は「ちょっとミスをして縁石にヒットしてしまいましたが、なんとか被害を最小限にできたかなと思っています。鬼久保も1本目でミスしたところは修正できたと思うんですが、やはりコバライネン選手の追い上げには負けてしまいました。力は出し切れたかなと思います。明日は天候次第なんですが、タイヤがウエットに強いはずなので、なんとか頑張りたいなと思います」と初日を振り返っている。

JN3クラスは9台のトヨタ86と3台のスバルBRZがエントリー。初日の主導権を握ったのは、BRZを駆る竹内源樹/木村悟士だった。この日の4SS中3SSでベストタイムをマークし、2番手の鈴木尚/山岸典将(スバルBRZ)に6.9秒差、3番手の曽根崇仁/竹原静香(トヨタ86)に10.8秒差をつけて、首位の座を守り2日目に挑む。鈴木、曽根ともにSS3でのペースアップを果たしたものの、竹内を捉え切ることはできなかった。
竹内は「午前中は抑えていたなかでは、よく走れていたと思います。去年の唐津からアップデートをかけて、足まわりのセットアップも見直してきましたが、その感触が良く出ていますね。午後は2本ともベストを獲れましたし、明日は明日でしっかり走れればいいかなと思います」とコメントした。

JN4クラスはスズキ・スイフトスポーツ4台と、ホンダ・シビック・タイプRユーロ1台のバトル。初日はスイフト勢3台が上位を占める結果となった。トップの須藤浩志/廣田幸子を西郷匡瑛/大倉瞳、西川真太郎/本橋貴司が追いかける展開に。西郷は2019年以来の全日本ラリー。当時はBRZでJN3クラスに出場していたが、今回はスイフトスポーツでの参戦となる。
2番手の西郷に8.1秒差をつけて首位を走る須藤は初日を終えて、「なんとかトップで帰ってきました。西川選手がライバルだと思ったら西郷選手が追いついてきて、ちょっと脅威になってきましたね。クルマは舗装仕様が煮詰まってきて走りやすくなりましたが、明日は雨でまったく違うラリーになってしまうと思います。けっこうタイヤが決め手になるとは思っているんですが、経験値を活かして粛々と行くしかないかなと」と、初日を振り返った。

トヨタ・ヤリス、ヴィッツ、マツダ・デミオが鎬を削るJN5クラスは、SS1で大倉聡/豊田耕司(トヨタ・ヴィッツCVT)が天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツGR SPORT)を0.1秒上回る接戦でスタート。しかしその後は天野が3SS連続で一番時計を叩き出し、初日を首位で終えた。2番手には大倉、3番手に3番手にスイフトスポーツからスイッチした内藤学武/小藤桂一(トヨタ・ヤリス)が続く。4番手にはヤリスCVTでエントリーした清水和夫/山本磨美がつけた。
「なかなかここまでの僅差で争うことはないので、とても楽しかったです」と天野。「ただ、明日がすごく荒れると思うので、今日の4.7秒というリードはないようなものです。雁峰ではどのくらいマージンを取るかで10秒単位での差になると思うので、そういったところも含めて明日が勝負ですね。気が抜けないですし、ヤリスも速いですね。1戦ご1戦ごとに速くなってくるでしょうね」と警戒する。

トヨタ・ヤリスが主力車種となるJN6クラスには今回、GRヤリスRSが登場。ステアリングを握るのは、久々の全日本ラリー参戦となる村田康介。コ・ドライバーは梅本まどかが務める。初日トップは、前年度チャンピオンの明治慎太郎/里中謙太(トヨタ・ヤリスCVT)。2番手には全日本ラリー初参戦の吉原將大/佐野元秀(トヨタ・ヤリスCVT)、3番手に村田というトップ3となった。
首位の明治は、「昨年の唐津でクルマを壊してしまって、ラリー前に直ってきたので、セットアップもない状態で走っています。無理せず走っているのですが、それが良かったと思います。明日は雨なのでちょっと難しいですね。今日のリードはないものだと考えて、しっかり走ります」とコメント。全日本初参戦の吉原は「気負ってしまったところもありますが、少しずつ緊張もほぐれてきました。明日は雨でリスクが大きいと思うんで、ちゃんと走り切ってマイルを稼ぎたいと思います」と、初日を振り返った。

最終日はSS5〜8の4SS、43.02kmが予定されている。テクニカルな林道として知られる雁峰北(SS5/7)と、初日でも使用した鬼久保(SS6/8)を走行する。降雨の予報が出されており、各車ともにサスペンションセッティングなどを調整して臨むこととなる。

新城ラリー2021 supported by AICELLO レグ1終了時点結果
1.鎌田卓麻/松本優一(スバルWRX STI) 20:23.2
2.柳澤宏至/保井隆宏(シュコダ・ファビアR5) +3.6
3.新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI) +5.1
4.新井大輝/小坂典嵩(スバルWRX STI) +12.1
5.福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビアR5) +19.5
6.石井宏尚/竹下紀子(レクサスRC F) +22.2

9.竹内源樹/木村悟士(スバルBRZ) +1:13.9
14.須藤浩志/廣田幸子(スズキ・スイフトスポーツ) +1:35.4
23.天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツGR SPORT) +1:56.3
34.明治慎太郎/里中謙太(トヨタ・ヤリスCVT) +3:06.2
※タイム差は編集部調べ



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