FIAのラリー3技術規定に基づく競技車両としてMスポーツ・ポーランドが製作した新型フィエスタ・ラリー3が正式にホモロゲーションを取得し、フィンランドで行われたアイス&スノーのOKオートラリーで見事な競技デビューを果たした。
ラリー新時代の幕開けを告げるとともに、ステージを攻める新たな武器として、コストパフォーマンスに優れたAWDのフィエスタ・ラリー3は初めてラリー3車両公認を取得した車両であり、なおかつ現在唯一のラリー3車両である。Mスポーツ・フォードの“Ladder of Opportunity”を正式に完成させるとともに、FIAのラリーピラミッドに属すすべてのラリーカテゴリーをサポートするという、Mスポーツの重要なコミットメントを体現するものだ。
ラリー3カテゴリーは、フィエスタ・ラリー4のような2WDのラリーカーからステップアップし、4WDのラリードライビングを学びたいと考えている若手ラリードライバーにとって、重要な足がかりとなる。若手ドライバーの支援はMスポーツの根底にある価値観であり、それは2020年にERC3とERC3ジュニアチャンピオンを獲得したケン・トーンがフィエスタ・ラリー3の公式戦デビューのドライバーに選ばれたことで、さらに強調された。トーンは総合11位でフィニッシュし、経験豊富な地元勢を相手に、初走行ステージでトップ10タイムをたたき出してみせた。トーンはOKオートラリーの最終2ステージを7番手で終えて自信を深めた。この最終2ステージで、トーンはどのグループNマシンよりも速く、ラリー2勢との対決となり、SS6ではラリー2最速タイムにわずか10秒差にまで迫った。
Mスポーツのマネージング・ディレクターを務めるマルコム・ウィルソンは、「Mスポーツ・ポーランドにとってもラリーにとっても重要な出来事だ。史上初のラリー3マシンがホモロゲーションを取得し、Mスポーツの名前を冠している。このカテゴリーは若手ドライバーや国内選手権の参戦ドライバーに多くのチャンスをもたらすと確信し、レギュレーション草案の当初から支援することを決断していた。ドライバーのスムーズな成長のため、そしてより低い参戦費用で4WDマシンで参戦する機会をうかがっているドライバーたちにとって、持続可能でコストパフォーマンスの高いマシンが今まで以上に求められている。今後より多くのマニュファクチャラーが参入してくることに期待している。我々を駆り立てるのは競技であり、ラリー3カテゴリーのステージでスリリングな戦いを目にしたいものだ。この競争心があるからこそ、フィエスタ・ラリー3は今日も準備万端であり、我々の経験を積み重ね、カスタマーやドライバーをサポートするべく、さらに学ぶことにつながっている」と、手応えを語っている。
「クラクフのファクトリーでは絶え間ない努力が続けられている。COVID-19のパンデミック以降、さまざまな困難に直面してきたチームの面々には感謝しきれない」と語るのは、Mスポーツ・ポーランドのディレクターを務めるマチェク・ボダ。
「フィエスタ・ラリー3に注ぎ込まれた彼らの決意と貢献が、結果に反映されている。Mスポーツ・ポーランドのメンバー全員が、チームとフィエスタ・ラリー3の功労に値する。マシンのテストや開発に携わったドライバーにも同じことが言える。ニル・ソラン、カエタン・カエタノビッチ、マシュー・ウィルソン、ケン・トーン、イーゴン・カウアー、そして直近ではトム・クリステンソンに心から感謝している。まったく新しいカテゴリーのために、同じくまったく新しいマシンを設計し製造するのは、参考とするべきものがないため、非常に困難なタスクだった。だからこそフィエスタ・ラリー3の制作がエキサイティングなものとなったが、あらゆる面でやり残しがないように自分たちを追い込むことにもなった」
「フィエスタ・ラリー3はフィンランドにおいてケン・トーンとともに公式戦デビューを果たした。OKオートラリーは経験豊富な地元勢がいる速度域の高いラリーであり、ラリーの道路状況に詳しくないドライバーがテストするには絶好の機会だった。ケンはフィエスタ・ラリー3が乗りこなすことが容易で、グループN車両と戦えるクルマであることをすぐに証明してみせた。好調なリズムに乗って、ステージのトップ10タイムを何度もたたき出し、最終2ステージではすべてのグループNを打ち負かしたばかりか、複数のラリー2ドライバーとも互角の勝負を繰り広げた。ケンとともにチーム全体が素晴らしい仕事をしてくれた」