2019年にERCタイトルを獲得したものの、2020年は参戦チャンスに恵まれなかった英国のクリス・イングラムが、今季からWRCに2年間参戦するプランを発表した。
現在26歳のイングラムは、2021年はベルギーのSXMコンペティションが走らせるシュコダ・ファビア・ラリー2 EvoでWRC3部門に6戦参戦、2022年にはWRC2ジュニア部門のタイトルを狙う。コ・ドライバーは、2019年にERCタイトルを獲得した時のパートナー、29歳のロス・ウィトックが務める。
2019年にERCタイトルを獲得したイングラムだったが、2020年は参戦プランが白紙となり、ERC最終戦のラリーカナリアス(ターマック、スペイン)にトク・スポーツからルノー・クリオ・ラリー5でERC3部門に参戦するだけに留まっていた。
「ここまで本当に厳しい状況が続いたが、自分はWRCドライバーだ、と言うことができるのは本当に特別な気持ちだ」とイングラム。
「このチャンスを得るためにすべてを尽くした。本当にたくさんの人のおかげで実現できたので、とてもうれしいよ」
イングラムは、地元マンチェスターを拠点とするカーファイナンス247をメインスポンサーとして獲得した。さらにクルーン・オイルも、イングラムに資金を提供している主な支援者だ。
「2019年にERCタイトルを獲得したことで門戸が広がり、2020年は本当にいい形で参戦できることがほぼ決まっていた」とイングラムは説明する。
「しかし、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックにより、すべての扉が閉じてしまった。それでも自分はあきらめることなく、自分の夢は必ず叶うと信じることを絶対に止めなかった」
イングラムは、4月22〜25日に開催されるWRC第3戦クロアチアラリーから今季の活動を始める。その後、5月6〜8日にERC戦のアゾレスラリー(グラベル、ポルトガル)に参戦した後、今回発表されたとおりWRC3の残り5戦に臨む。
「2年間のプログラムであるという事実を見失ってはいけない」とイングラム。
「自分が最後にトップレベルのラリーマシンをドライブしてから18カ月近く経ってしまっているので、自分の自信を高め、一戦一戦を学び、選手権争いに対応しなくてはならない。自分としては、これまでで最も大きなプログラムだからね。WRCのレベルは異次元。全力で臨んでいく」
SXMコンペティションのボス、フレデリック・ミクロッテは「クリスとロスのことは前から知っているが、とても素晴らしいクルーだし、一緒にいい仕事をさせてもらっている。我々はみんな、自分たちのポテンシャルを見せ付けたいと思っているし、だからこそ彼らにここまでの信頼を寄せている」と語る。
カーファイナンス247の共同創設者、ルイ・リックスは、これまで予算やメンタル面での問題に苦しんできたイングラムに触れ「彼のひたむきに打ち込む姿やスキル、逆境に打ち勝ってみせるという意欲に、我々はずっと刺激を受けてきた」と付け加えた。
(Graham Lister)