ラリースウェーデンは、本拠地をさらに北上させたウメオに移し、豊富な雪とマイナス気温環境を整えることで、近い将来にWRCカレンダーに復帰する合意を得た模様だ。
スウェーデン北東部にある学園都市ウメオは、これまでラリースウェーデンが本拠地としていたトルスビーよりも北極圏まで730kmほど近くなり、候補に挙がっていたエステルスンド、ルーレオを抑えて新たなラリー拠点に選ばれた。
主催者ボスのグレン・オレッソンは、WRCが創設された1973年以来、スウェーデン戦の本拠地となっていたバームランド地方を離れることについて「過去の気象データを提供してもらえたことが決め手となった」と説明した。
「ウメオの強みは、安定したウインターラリー向きの気候に加えて、宿泊施設の収容能力、サービスパークとHQとしてノリア見本市会場を使用できることにあった」
ラリースウェーデンとWRCプロモーター間が今回合意した契約は2022年のみだが、先日の発表によれば「詳細についてはまだ合意されていないが、両者とも近日中に署名できることを両者が確信している」としている。
今年の2月にフィンランドのロバニエミで開催されたアークティック・ラリーフィランドが大成功に終わり、FIA総裁のジャン・トッドもこのラリーを「我々に必要だったイベント」とコメント。スウェーデン側は、2020年大会の雪不足での大混乱に続き、世界戦のフルウインターラリーの枠がアークティック・ラリーフィンランドに奪われるのではないかという懸念が高まっていたが、ラリースウェーデンが22年にWRCとして開催されることがほぼ決定したことで、その懸念も払拭されることになりそうだ。
ラリースウェーデンがウメオに移ることでFIAも満足を見せている。FIAのラリーディレクター、イブ・マトンは「ここ何年かの厳しい状況を振り返れば、このイベントを北部に移すことは欠かせない。ラリースウェーデンの主催者が代替地を模索するために奔走して、来年のイベントの拠点として新たにウメオを確保したことを称賛したい」と語っている。
来年のWRCカレンダーは現状の12戦以上に増えることはないと見られていることから、スウェーデンとノルウェーが連戦開催された2007年以来、ウインターラリーが2戦開催される可能性は低いが、選択肢からまったく外れるわけでもない。
一方、ラリーフィンランドの情報筋によれば、今年のイベントが新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大防止による制限のために、8月の上旬から9月の下旬に延期される可能性も出ているという。ラリーフィンランドの主催者であるAKKスポーツに、2度目のWRCアークティックを開催する意欲があるかどうかは未知数だ。
(Graham Lister)