WRCは4月22〜25日、第3戦クロアチアラリーを開催。シリーズ初開催の国でWRCコンペティターはまったく新しいチャレンジに臨むことになる。
クロアチアの首都ザグレブを本拠地とするこのイベントは、1974年に初めて開催されたデルタラリーがルーツ。このイベントは、2007年、2013年にはERCとしても開催されている。今季のWRCとしては初めて迎える純粋なターマックラリーとなり、ステージは摩耗の激しい路面やスムーズな路面がミックスされているうえに、高速路やテクニカルセクションも組み合わされている。
ドライバーズ選手権では現在、弱冠20歳のカッレ・ロバンペラが史上最年少の選手権リーダーとしてクロアチアを迎える。フィンランドの新鋭であるトヨタの最年少ドライバーを4ポイント差で追うのは、ヒュンダイのティエリー・ヌービル。ロバンペラのチームメイトであるセバスチャン・オジエとエルフィン・エバンスがさらに4ポイント差のタイで並んでいる。2019年チャンピオンであるヒュンダイのオィット・タナックは、前戦アークティックで優勝を飾っており、首位に12ポイント差の5番手につけている。
ヒュンダイはサードカーのドライバーにクレイグ・ブリーンを起用。ブリーンにとっては、2018年以来のWRCターマックラリーとなる。Mスポーツ・フォードからはフランスの若手、アドリアン・フルモーがWRC2からステップアップを果たし、WRカーで初めてのWRC参戦に挑む。チームからフル参戦で戦うガス・グリーンスミスは、今大会からエリオット・エドモンソンに替えてベテランのクリス・パターソンをコ・ドライバーに迎える。トヨタからは、日本の勝田貴元が4台目のトヨタ・ヤリスWRCで参戦。ピエール・ルイ・ルーベは、ヒュンダイ2Cコンペティションからヒュンダイi20クーペWRCで参戦する。
激戦となっているWRC2部門では、現王者のマッズ・オストベルグがシトロエンC3ラリー2で今季初参戦。同郷ノルウェー出身で選手権リーダーのアンドレアス・ミケルセン(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo)との戦いに臨む。Mスポーツ・フォードからは、WRカーでエントリーするフルモーに代わってテーム・スニネンがフォード・フィエスタ・ラリー2 MkIIをドライブ。チームメイトに、昨年のジュニアWRCチャンピオン、トム・クリステンソンを迎える。さらに、ニコライ・グリアジンがモビスポーツからフォルクスワーゲン・ポロGTIで登場。チームメイトのエンリコ・ブラゾッリ、トク・スポーツから参戦するマルコ・ブラシアはファビア・ラリー2 Evoで参戦する。
WRC3には、15台がエントリー。開幕戦モンテカルロでクラス優勝を飾ったヨアン・ロッセルが選手権首位に立っている。同郷フランスのニコラ・シャミン、オーストリアのハーマン・ノイバウアー、ベルギーのセドリック・デ・チェコに加え、ERCを3回制し、2019年はWRC2でシリーズ2位に食い込んでいるポーランドの強豪、“カイト”ことカエタン・カエタノビッチもエントリーしている。2019年のERCチャンピオン、英国のクリス・イングラムは、不遇の2020年を経て今季、ついに参戦プランを獲得。このクロアチアでWRC3デビューを飾る。さらに、2020年の全日本チャンピオン、新井大輝(#36)もフォード・フィエスタ・ラリー2 MkIIでWRC3に登場。日本のラリーファンとしては遠くヨーロッパで奮闘する若き全日本王者の奮闘も期待したい。
このクロアチアでは、今季のジュニアWRCが開幕。フォード・フィエスタ・ラリー4のワンメイクとなるこのシリーズには今回、2020年で選手権2位に入ったラトビアのマルティン・セスクを筆頭に8人がエントリーしている。
■ラリールート
WRC初開催となる今回のクロアチアラリーには、20SS・300.32kmのステージが設定されている。4月22日木曜日にシェイクダウンを行った後、ラリーは23日金曜日の午前、ザグレブ展示場に設置されるサービスパークをスタート。この日は南西部に設定される4SSを、日中サービスを挟んで2ループする。24日土曜日は同じ流れで4SSを2ループ。最終日はザグレブを北上し、2SSを2回ずつ走行。最終ステージとなるSS20 Zagorska Sela-Kumrovec 2(14.09km)はパワーステージに指定されている。
■ラリーデータ
開催日:2021年4月22-25日
サービスパーク設置場所:ザグレブ
総走行距離:856.05km
総ステージ走行距離:251.08km(SS比率29.33%)
総SS数:10
■開催選手権
WRC
WRC2
WRC3
JWRC
■マニュファクチャラーズ選手権ノミネートドライバー
[トヨタ・ガズーレーシングWRT]
セバスチャン・オジエ (#1)
エルフィン・エバンス (#33)
カッレ・ロバンペラ (#69)
[ヒュンダイ・シェル・モビスWRT]
オィット・タナック(#8)
ティエリー・ヌービル(#11)
クレイグ・ブリーン(#42)
[Mスポーツ・フォードWRT]
アドリアン・フルモー(#16)
ガス・グリーンスミス(#44)
[ヒュンダイ2Cコンペティション]
ピエール・ルイ・ルーベ(#7)