ダカールラリーを主催するASOは5月11日、2022年1月2〜14日にかけてサウジアラビアを走行する2022年大会のルートを、スペインのアンダルシアで発表した。ダカールラリーは44回目の開催となり、サウジアラビアで行われるのは3回目。ハイルからスタートし、リヤドでの休息日を経て、ジェッダでフィニッシュを迎える。主催者は南東方面をたどるルートを設定し、より砂地に近い路面でのラリーを計画している。
2022年大会では炭素排出量削減に積極的に取り組む施策として、このリサーチを試みるプロトタイプとしてT1-Eカテゴリーが導入される。2021年大会で初めて行われたビンテージカーによるアベレージラリー方式のダカールクラシック部門は、1980年代や90年代の4×4の愛好家に好評で参戦が増加。ハイルでのスタート台数は2倍の規模になると見られる。
2020年、初めてサウジアラビアで開催されたダカールは、2021年は特殊な環境の中でコンペティターたちはこの地の理解を深めており、22年はさらに開拓を続けることになる。同国の地図で存在感を示すのは、「エンプティクォーター(何もない空虚な一角)」と呼ばれるルブアルハリ砂漠。この広大な砂漠は、フランス本土に相当するほどの面積を誇り、サウジアラビアの南東部を占めている。デイビッド・キャステラが与える試練は、砂丘だけのステージを3本も設定するなど砂地での対応力が問われる内容となっている。アベレージタイムの低下は岩場のステージで多くのクルーがパンクを喫することばかりが原因とは言えず、こうした難所では、砂丘やオフロードでのクルーのナビゲーション能力によってコンペティターが淘汰されていくだろう。
戦力の均衡化を目指して導入された電子ロードブックは、四輪車、SSV、トラック部門すべてで引き続き採用される。エリートライダーに対してはバイクとクワッドのバージョンが用意される。さらにダカールは2030年までに代替エネルギーのみを動力源としたイベントを開催する計画を立てており、2022年はその第一歩となる。内燃エンジンの廃止は、技術的進化に応じて段階的に行われていく。当初は低炭素排出のプロトタイプとしてT1-Eカテゴリーが設定される。多くのコンストラクターはこうしたタイプのマシンの競技力を引き上げることを目指して開発に取り組んでいるが、2022年は、まずはアウディが挑戦を開始する予定。電気自動車がダカールに参戦する日も近いようだ。
テレビやソーシャルメディアを盛り上げたダカールクラシックはいくつかルールの変更が行われた。アベレージ走行スタイルで行われる部門だが、2022年はそれだけが判断基準ではなくなり、ルートの約20%はタイムは無関係でナビゲーションのみで判定し、超過した距離によりポイントが配分されることになる。
5月12〜16日にはクロスカントリーラリーのアンダルシアラリーが開催を控えており、今回の発表セレモニーには、カルロス・サインツやナッサー・アル‐アティヤなどダカールの常連強豪ドライバーも出席。エントリーは5月17日から始まる。