今週開催されるWRCポルトガル、Mスポーツ・フォードは、今季フル参戦するガス・グリーンスミスに加え、前戦クロアチアでWRカーデビューを飾ったアドリアン・フルモーを2台目のフォード・フィエスタWRCのドライバーに連続で起用する。
今季のWRCはポルトガルからグラベルが4戦続く。Mスポーツは2017年には総合優勝、翌年にはダブルポディウムを飾っているほか、チームはこの国での長い参戦歴を誇る。チームは先週、今季初のグラベルラリーに向けてポルトガル国内でテストを行った。
クロアチアで5位フィニッシュという見事な結果を残したフルモーは、この活躍で連続でのWRカー参戦というチャンスを手にした。フルモーにとってWRカーでWRCのグラベルラリーに参戦するのはこれが初めてとなるが、チーム代表のリチャード・ミルナーはこのフルモーに対しては「経験ゼロの路面で自信をつけることに専念してもらいたいし、ガスにとっては、WRカーでの参戦経験のある初めてのイベントであり、前戦から組み始めたコ・ドライバー、クリス・パターソンとの関係強化と成長を続けてもらいたい」と語る。
24歳のグリーンスミスにとっては、ポルトガルは2019年に初めてWRカーで参戦した思い出のあるイベント。この時は、母国である英国以外でのWRCに参戦したのも初めてだった。ポルトガルに向けては体力面の強化に取り組み、サウナの中でフィットネスバイクに乗るなどのセッションなども採り入れたという。WRカーでグラベルステージを走るのは昨年10月のラリーイタリア・サルディニア以来となるため、テストでは路面に慣れることに費やした。
「このラリーを考える時に思うのは、どれくらいタフかというよりも、どれくらい楽しいか、ということなんだ」とグリーンスミス。
「あれほど情熱的にラリーを愛する国でWRCに参戦するのは本当にクール。だから、シーズンの中でも一番楽しみにしているイベントだ。WRカーで初めて参戦したイベントなので、自分の経験を活かすことができる。かなりルーズになりやすい1回目の走行からグリップを高めトラクションが得られるようなマシンが合っていると思うが、2回目の走行では道がかなりラフになるので、安定性も必要になる」
「自分はいつもトップ5を目標にしているし、それが現実的だと思う、クロアチアでは5位も視野に入っていたが、テクニカルトラブルでタイムをロスしてしまった。でも、とてもいい前進になったし、ポルトガルでも同じようにステップアップしたい。特にクロアチアからコ・ドライバーが変わったことは、とてもポジティブな方向に動いているからね。でも、このレベルの中でトップ5に入るには、すべてが正しい方向で噛み合わなくてはならない。ミスは一切できないから、その点に専念する」
前戦クロアチアでのWRカーデビューを5位で飾ったフルモーは、WRC最高峰マシンで初めてのグラベルラリーに臨む。現在26歳のフルモーはポルトガルは初参戦だが、昨年、フォード・フィエスタ・ラリー2で参戦したポルトガル選手権ラウンド、ラリー・テラ・ドアボボレイラではステージウインを5本獲得している。このイベントには、今回のWRCポルトガルのデイ2で走行するステージ、アマランテのセクションの多くを使ったステージも含まれていた。
「リッチ(ミルナー)から、このラリーに参戦すると聞かされて以来、本当にうれしかったし、スタートが待ち切れなかった」とフルモー。
「2019年のこのイベントにはスペクテイターとして来ていたが、このラリーに参戦するのは初めてだし、ビッグチャレンジになることも承知している。でも、クロアチアの時のように、いいペースで週末を通して楽しみたい。大きな期待はしていないし、自分の目標はクロアチアと同じ。どこかのステージでトップ6か7のタイムが出せれば上々だし、トップ5タイムが出せたら自分にとっては最高のリザルトだ。その自信はあるが、まだ自分は学んでいるところ。自分の好きな路面はグラベルだし、2019年のラリーGBではWRC2部門で2位に入るなど、グラベルラリーではいい結果も残している」
「自分は準備として、ここ数年の動画をWRC+でたくさん観てきた。かなりラフな道もあり、2回目の走行では石も出てくる。1回目の走行はかなりサンディな、すごくソフトなグラベルのステージもある。でも、すべてが素晴らしい感じに見えるし、とてもいいラリーになると思う。そしてもちろん、ファフェのジャンプはシーズンで一番有名なジャンプのひとつだしね」