WRC第4戦ラリーポルトガル(グラベル)のWRC2部門は、モビスポーツからフォルクスワーゲン・ポロGTI R5で参戦したエサペッカ・ラッピが圧勝を飾った。ラッピは、第2戦アークティック・ラリーフィンランドに続いて今季2度目のWRC2参戦で、いずれも勝利を飾っている。
ポルトガルのWRC2は、選手権リーダーのアンドレアス・ミケルセンが新型コロナウイルスに感染したために欠場、そのミケルセンと同じイベントに参戦していたことを申告しなかったオーレ・クリスチャン・ベイビーも参戦ができなくなるなど、ラリー前から波乱含みの展開となった。ラッピは、金曜日のデイ1はラフなコンディションを限界まで攻めることができなかったものの、Mスポーツ・フォードからエントリーするテーム・スニネン(フォード・フィエスタ ラリー2 MkII)と同タイムで初日を終えた。しかし、ラッピはカブレイラ山脈が舞台となった翌デイ2の1回目のループをベストで揃え、スニネンとのギャップを一気に広げる。そして、スニネンがアマランテのステージでパンクにより21.1秒をロスしたことで、優勝争いへのプレッシャーがなくなると、ラッピは最終日はクリーンな走行で勝利を飾った。
これでラッピはWRC2部門での選手権争いで、首位を維持したミケルセンに9ポイント差の2番手に浮上した。
「とても力強いラリーを展開できたし、チームは素晴らしい仕事をしてくれた。マシンには何の問題もなかったし、今回のような荒れたラリーは最高だね。すごく満足だ」とラッピは勝利の喜びを語った。しかし次回の参戦は未定となっているようだ。
スニネンは、最終日もフェルグエイラスでスピンを喫し、1分以上と致命的なタイムロスを喫したが、パンク以外はほぼミスなく走り切れたことに満足を見せた。スニネンは次戦のサルディニアでは、Mスポーツ・フォードからフォード・フィエスタWRCでの参戦が予定されている。
ディフェンディングチャンピオンのマッズ・オストベルグは3位。初日のステージ中にタイヤ交換を余儀なくされた後からリズムを崩したが、マシンのセッティングを模索したことで調子を取り戻し、最終日の5SS中、4本でステージウインを奪取。スニネンから41.5秒遅れでラリーを終えた。
「すぐにサルディニアがあるので、短い間にベストを尽くすしかない。金曜日のパンクで上位争いができなくなったことが残念だが、少なくともスピードは証明できた」とオストベルグ。
波乱の週末となったニコライ・グリアジンはオストベルグから34.3秒遅れの4位、ヒュンダイi20 R5では初めてWRC2部門にエントリーしたオリバー・ソルベルグが14.9秒差で続いた。ソルベルグはSS14のアマランテのバンクに乗り上げて、1分以上もロスしたことが響いた。
シュコダ・ファビア・ラリー2 Evoで参戦したボリビアのマルコ・ブラシアは、初めてのポルトガルで貴重な経験を積み、6位に入った。首位から4分41秒6と大差がついたが、ここまで参戦したすべてのラリーで完走しており、選手権争いでは首位ミケルセンに23ポイント差の3番手につけている。
この週末はWRC2部門でも、多くの選手がステージに翻弄された。エリック・カミリは、初日の午前にテクニカルトラブルでストップしたほか、トム・クリステンソンも溝にはまってデイリタイアを喫した。いずれも再スタートし、それぞれ部門7位、8位でフィニッシュした。
WRCポルトガル WRC2部門最終結果
1 E.ラッピ(フォルクスワーゲン・ポロGTI R5) 3:48:03.4
2 T.スニネン(フォード・フィエスタ・ラリー2 Mk II) +1:42.8
3 M.オストベルグ(シトロエンC3ラリー2) +2:24.3
4 N.グリアジン(フォルクスワーゲン・ポロGTI R5) +2:58.6
5 O.ソルベルグ(ヒュンダイi20 R5) +3:13.5
6 M.ブラシア・ウィルキンソン(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +4:41.6
7 M.プロコップ(フォード・フィエスタ・ラリー2 Mk II) +10:29.3
8 E.カミリ(シトロエンC3ラリー2) +53:11.7