2021年ERC開幕戦ラリーポーランド(グラベル)は6月20日、競技最終日となる6SS・69.64kmの走行が行われ、前日を首位で折り返していた昨年王者のアレクセイ・ルキヤナク(シトロエンC3ラリー2)が順位をキープして優勝を飾った。
2番手で追うアンドレアス・ミケルセン(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo)に30秒近くのマージンを築いてこの日を迎えたルキヤナクだったが、この日最初のステージからベストタイムをたたき出すなどその手は緩めない。ミケルセンも応戦し、ルキヤナクとの差を17.4秒にまで詰めて、首都ワルシャワの市街地に設定された最終ステージを迎えた。しかし、このステージは、ラリーポーランド開催100周年を記念してアイテナリーに追加されたもので、その距離はわずか1.96km。ここでルキヤナクは、ミケルセンを再び1秒引き離して、自身12回目となるERC優勝をラリーポーランド優勝を飾った。現チャンピオンが、翌年の開幕戦を勝利で飾ったのは、2011年のルカ・ロセッティ以来だ。
「ラリー前は映画のように極限状態だったが、強豪ドライバーやとても厳しい道など最もタフなチャレンジを勝利で締めくくることができた」と語るルキヤナクは、火曜日のテストでアクシデントに見舞われ、代替マシンでの参戦を強いられていた。
「今日、トップで終わることができて本当にうれしいよ」
ミケルセンはSS11、SS12でベストタイムをマークしたが一歩及ばず2位フィニッシュ。3位も、前日からの首位を守り切ったミコ・マルチェク(ファビア・ラリー2 Evo)がポディウムに上がった。
一方、元ERC2チャンピオンのボイチェック・シュシュワ(ファビア・ラリー2 Evo)は、メカニカルトラブルに見舞われ、タイムペナルティを受けたことで7位に後退している。
ERC2部門では、スペインの若手、ハビエル・パルドが、スズキ・モーター・イベリカが今季から投入したラリー2(旧R4)キットを装着したスズキ・スイフトR4lly SでのERCデビュー戦勝利を、初参戦のポーランドで達成している。スイフトR4lly Sは、この日部門3番手でスタートしたドミトリー・フェオファノフも、ラリー2キットを装着して自作したトヨタ・ヤリスR4を駆るエンジニアのビクトル・カルティエをかわして2位でフィニッシュしている。スズキ・モーター・イベリカのセカンドドライバー、ファン・ビニエスもステージウインを連発するなど、スイフトR4lly Sがそのパフォーマンスを見せ付けた。
ERC3/ERC3ジュニアでは、サミ・パヤリ(フォード・フィエスタ・ラリー4)が完勝。このポーランド戦で国際格式ラリーでのデビューを飾ったラリー3マシンが対象のERCジュニアでは、Mスポーツ・ポーランドのフォード・フィエスタ・ラリー3を駆るジョン・アームストロングがトップフィニッシュを飾り、ラリー3マシンの歴史に名を刻んだ。同じくフィエスタ・ラリー4で参戦したケン・トーンは、昨年のERC3/ERC3ジュニアタイトルを飾った後に4WDマシンにステップアップしたこのイベントで、序盤の遅れがリザルトに響きながらもステージウインを連取している。
今季から創設されたルノー・クリオ・ラリー5のワンメイクシリーズ、クリオ・トロフィーbyトク・スポーツWRTでは、アルゼンチンのパウロ・ソリアが、前日の首位を守っての優勝を飾った。
ラリー2マシンで参戦する若手ドライバーの育成プログラム、ERC‐ミシュラン・タレントファクトリー計画では、マルチェクが3位で最上位フィニッシュ。エフレン・ラレーナが6位、エリック・カイスが9位でのフィニッシュを果たした。
ERCの次戦、第2戦はラリーリエパヤ(グラベル、ラトビア)が7月1〜3日に予定されている。当初はウインターラリーとして行われていたイベントで、2016年からは秋に開催されていた。2019年は5月下旬に開催されていたが、再び新しい会期で行われるラトビア南部の超高速グラベルラリーでは、主催者はさらにルートを人気のあるタルシ地方まで拡大するなど変更を行うとしており、新たな試練が予想される。
ERCポーランド 最終結果
1 A.ルキヤナク(シトロエンC3ラリー2) 1:48:31.3
2 A.ミケルセン(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +18.4
3 M.マルチェク(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +1:54.7
4 N.ソランス(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +3:06.2
5 N.ヘルチグ(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +3:44.8
6 E.ラレーナ(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +3:46.5
7 W.シュシュワ(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +3:56.0
8 Y.ボナート(シトロエンC3ラリー2) +4:11.7