Mスポーツ・フォードWRTは新型ラリーカー「プーマ・ラリー1」のプロトタイプを初公開した。22年からのWRCの新しい時代の到来を告げるものである。
イギリスのグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで世界初公開されるMスポーツ・フォードのプーマ・ラリー1は、チャンピオンシップを制覇した1.6リッターターボエンジンと、100kWの電気モーターと3.9kWhのバッテリーをシームレスに組み合わせた次世代ハイブリッド・パワートレインを搭載している。
これはフォードのコンパクトSUV「プーマ」がもたらす「走る楽しさ」を究極のかたちで表現したものであり、電動化を全面的に推進するフォードの姿勢を反映したものである。同社は今年初めに、2026年半ばまでに、ヨーロッパで販売する乗用車の100%をゼロエミッションの電気自動車またはプラグインハイブリッドとし、30年までにはでフル電動化することを発表している。
プーマ・ラリー1プロトタイプの電動性能は7月8〜10日にグッドウッドのヒルクライムにて、WRCドライバーのアドリアン・フルモーとテストドライバーのマシュー・ウィルソンがデモンストレーションを行い、その後22年に向けた開発車両として使用される。フォード・パフォーマンスのグローバルディレクターを務めるマーク・ラッシュブルックは「フォードは将来の電動化に100%コミットしており、白熱した競争は、現在の我々のロードカーに革新をもたらしてきた。Mスポーツ・フォード・プーマ・ラリー1はハイブリッドパワーを究極のかたちで試し、その技術がスリリングなパフォーマンスを実現できることを証明する」と語っている。
今年、Mスポーツ・フォードはWRCにハイブリッド技術を導入するにあたり、3年契約を結ぶことを発表した。洗練された新しいプラグインハイブリッドのパワートレインは競技レベルのパフォーマンスだけでなく、ステージやサービスパーク、街中を移動する際にも電力のみで走行できる能力がある。
プーマ・ラリー1ハイブリッドシステムは、ロードカーのプーマ・エコブースト・ハイブリッドと同様の原理で作動している。パワートレインはブレーキングや惰性走行時に失われるエネルギーをバッテリーに蓄え、電気モーターを駆動してロードカーの燃費を向上させたり、パフォーマンス向上をもたらす。この場合、最大で100kW、競技走行時では最大3秒間のマルチブーストが可能となっている。
Mスポーツのマネージング・ディレクターを務めるマルコム・ウィルソンは次のように語る。
「新時代のWRCカーは、これまでのWRC史上最大級の技術的進歩を遂げている。ハイブリッドの導入は、マシンがよりパワフルになること、それと同時にロードカーに使用されているパワートレインをそのまま反映することを意味している。すでにラリーの歴史に名を残しているプーマへのスイッチはとてもエキサイティングで、ファンタスティックな外観を持ち、22年のモンテカルロラリーに並ぶのが待ち切れない。
モータースポーツカレンダーの中でも象徴的なイベントであるグッドウッドでのローンチも大変特別だ。関係者全員がフォードとの素晴らしいパートナーシップの継続、そして結果を残して新しくエキサイティングな時代の先頭に立てることを楽しみにしている」
フォードとMスポーツは、1997年からのパートナーシップでWRC7冠、1500以上のステージウインを遂げてきた。新しいマシンは2017年に導入され3冠を果たしたフィエスタに代わることになる。