ヒュンダイ・モータースポーツは、来週開催されるWRC第8戦イープル・ラリーベルギー(8月13〜15日、ターマック)で実戦デビューを迎えるi20 Nラリー2の、カスタマーへの初めての供給を完了した。ベルギーでは、ヒュンダイ・モータースポーツ・カスタマー・レーシングのジュニアドライバー、オリバー・ソルベルグとヤリ・フッツネンがステアリングを握ることになっている。
このラリーはERCとして開催された5年前、i20 R5がコースカーとして初めて公の場に登場するというチームにとって節目となったイベントでもある。
WRCベルギーに向けて、ソルベルグとフッツネンは万全の準備を整えたという。一方で、i20 Nラリー2の過密な開発スケジュールにおいて、中心メンバーとしての役目も担ってきた。実戦デビューに向けてチームとの最後の準備として、本戦の拠点となるベルギーのフランダース近郊のコースで数日中にテストが予定されている。
量産車のi20 Nをベースとしたi20 Nラリー2は、世界各国のプライベートチームやドライバーを想定してまったく新たに設計された競技モデル。ゼロからプロジェクトを始めたカスタマー・レーシング部門のデザイナーとエンジニアは、i20 R5の疑いのないアドバンテージを活用しながら、5年間にわたる参戦やカスタマーチームの支援から得た教訓も注入したという。さらに2020年後半の初テスト以来、3000km以上を走り込んできた結果、パフォーマンスから信頼性、ハンドリング、ドライバビリティと設計の鍵となるあらゆる面で格段なステップアップを施し、強さに優れたオールラウンドのパッケージに仕上がったと自信を見せる。
充実したテストプログラムを組みヨーロッパ各地のグラベル、ターマック、スノーステージでシャシーに磨きをかけたカスタマーレーシング部門は、WRC2だけでなく、ラリー2カテゴリーが最高峰クラスとなる国際格式シリーズや国内選手権など幅広い舞台のあらゆる路面でも同じように強いクルマを開発することに成功したとしている。
このマシンの開発で明確なターゲットとしたのは、経験のレベルや個々のドライビングスタイルにかかわらず、どんなドライバーがどんなラリーでも優勝が狙えるマシンだという。エンジニア陣は、ソルベルグやフッツネン、WRCのワークスドライバーであるオィット・タナックやクレイグ・ブリーンも含めた多数のドライバーからのフィードバックを参考にした。テストに参加したドライバーたちは新型マシンについてポジティブなフィーリングを口にしており、最終的なパッケージの開発にその足跡を残した。
i20 Nラリー2の実戦デビューと併行して、カスタマーレーシング部門はオーダーを受けたチームに供給するシャシーの製造にも取り組んできた。実戦デビューでその実力が披露された後、この数カ月のうちにカスタマー勢も世界の各地で実戦に乗り出していくことになる。
ヒュンダイ・モータースポーツのカスタマーレーシングマネージャー、アンドリュー・ジョーンズは「i20 Nラリー2の過密なテストスケジュールを経て初めての実戦を迎えるのは、このプロジェクトにとって重要な節目になると感じている」とコメント。
「このマシンの作業を開始して以来、我々のデザイナーやエンジニアたちが注いでくれた努力のおかげで、非常に強いオールラウンドのパッケージになったと自負しており、それをステージで披露する機会がやってきた。テストの段階で重要な役目を担ってきたオリバーとヤリは、イープル・ラリーベルギーに向けて万全の準備を整えている。ラリーのスタートを迎えるまでにさらに走り込むことで、最初のステージに向けてすべてを確実に備えるための最後のプッシュを行っていく。もちろん、イープル・ラリーベルギーは我々がi20 Nラリー2を世界中に送り出す仕事の最初の一歩であり、この新しいマシンを駆るカスタマーへのサポートの始まりにすぎない」