TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamは、8月13日(金)から15日(日)にかけてベルギーのイープルで開催される、WRC第8戦「イープル・ラリーベルギー」(ターマック)に、セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネンの、3台のヤリスWRCで参戦する。また、TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの勝田貴元は今回のコ・ドライバーとして、負傷で治療中のダニエル・バリットに代わりキートン・ウィリアムズを迎えてヤリスWRCで出場する。
(以下チームリリース)
TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamは、8月13日(金)から15日(日)にかけてベルギー西部のイープルを中心に開催される、FIA世界ラリー選手権(WRC)第8戦「イープル・ラリー・ベルギー」に、セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組(ヤリスWRC1号車)、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)の、3台のヤリスWRCで参戦。WRC初開催となるベルギーの伝統的なターマックイベントで、今シーズン7回目の優勝と、選手権のさらなるリード拡大を目指します。
今シーズンは多くの新規イベントがWRCのシリーズに加わりましたが、イープル・ラリー・ベルギーもそのひとつです。ベルギーではこれまでWRCが開催されたことはなく、今回が記念すべき初WRCとなりますが、イープル・ラリー自体は1965年の初開催から長年高い人気を保ち続けてきた、伝統あるラリーです。本来は昨年WRCとして行われる予定でしたが、コロナ禍により大会が中止となり、今年満を持してWRCを迎えます。
ベルギー西部の都市イープルを中心とするこのイベントは、ターマック(舗装路)ラリーであり、農場内の幅が狭い道を走るのが特徴です。一般的なターマックラリーとの大きな違いは、峠道のようにコーナーが続くステージよりも、直線とジャンクション(曲がり角)が連続するステージが多いことで、ジャンクションでは多くのクルマがイン側の路肩にタイヤを落としながら走る「インカット」を多用します。そのため、路肩部分の土や砂利が舗装路にかき出され、何台かのクルマが走ると路面のグリップは著しく低下します。また、道の脇には排水溝や電柱があり、道幅も狭いため、小さなミスが大きなアクシデントに繋がりやすい難しいラリーとして知られています。
イープルは以前、ERC(ヨーロッパ・ラリー選手権)や、IRC(インターコンチネンタル・ラリー・チャレンジ)として開催されたことがあり、近年のイベントには数名のWRCトップドライバーが出場しています。しかし、トヨタの全ドライバーが今回初出場となるため、ライバルとの経験差をいかに埋めるかが大きなテーマとなります。第7戦が終了した時点でドライバー選手権ではオジエが2位のエバンスに37ポイント差をつけて首位を守り、エストニアでWRC初優勝を飾った20歳のロバンペラは選手権4位に順位を上げました。また、チームはマニュファクチャラー選手権で2位のライバルに59ポイント差を築いています。初めて挑む今回のラリーはドライバー達にとっても、チームにとっても難しいチャレンジになることが予想されますが、タイトル争いを有利に進めるためにも非常に重要な1戦です。なお、TGR WRCチャレンジプログラムの勝田貴元は今回もヤリスWRCで出場しますが、前戦ラリー・エストニアのジャンプの着地で首を痛めたコ・ドライバーのダニエル・バリットはしばらく静養する必要があるため、今回はキートン・ウィリアムズが勝田のコ・ドライバーを務めます。
ラリーは、イープルの中心部であるグローテ・マルクトのサービスパークを中心に行われます。競技は13日(金)の午後からスタートし、夜にかけて4本のステージを各2回走行します。2日目の14日(土)は4本のステージを各2回走り、最終日の15日(日)は早朝、約300km東側に離れた「スパ・フランコルシャン・サーキット」に移動。F1グランプリも開催される伝統的なサーキットを起点に、2本のステージを各2回走行します。そのうち、サーキットを走る最終のSS20「フランコルシャン」は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーにボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されています。ステージは全部で20本、計295.78km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は949.49kmが予定されています。
ヤリ-マティ・ラトバラ(チーム代表)
WRC初開催となるイープル、そしてベルギーに行くことがとても楽しみです。私自身は出場経験がありませんが、幅が狭い道を走るハイスピードなターマックラリーであることは知っています。イン側をカットして走るコーナーが多くあり、そのため大量のダートがステージ上にかき出されます。ミスを冒しやすく、その代償も非常に大きいイベントであると理解しています。そのようなステージでの経験豊富なライバルを相手に戦うのは大変だと思いますが、我々のクルマはターマックラリーで非常に競争力がありますし、ドライバー達もクルマに慣れています。また、我々は選手権でいい位置につけており、それによって出走順が早く、最もクリーンな状態の路面を走ることができることも、きっと自信に繋がるはずです。
セバスチャン・オジエ
新たなるターマックラリーとして、イープルがWRCのシリーズに加わることに興奮しています。非常にチャレンジングなラリーとして知られているので、初めて出場し、どのようなステージであるのかを探ることが楽しみです。もちろん簡単には行かないと思いますが、先週は少し雨が降る難しいコンディションで良いテストを行なうことができましたし、ベストを尽くして準備を進めました。イープルのステージは全体的に路面のグリップが頻繁に変化し、このラリーへの出場経験がない我々にとって、限界を見極めることが最大の難題になると思います。現在、チャンピオンシップを少しリードしており、いい状況にありますが、イープルのような難しいラリーがまだいくつか残っているので、集中力を切らさないようにしなければなりません。
エルフィン・エバンス
他の多くのドライバーと同様、私もイープルへの出場経験はなく、全く新しい挑戦となるため、どのようなことが待ち受けているのかを完全に予想することはできません。再びターマックラリーに出られるのは嬉しいですが、前回のクロアチアとは大きく異なるイベントです。コーナーが少なく、直線やきつい曲がり角が多いため、最初は比較的単純な道に見えます。しかし、路面の変化、グリップの変化、そしてインカットが多くあるということが、事前のテストで明らかになりましたし、本番ではそのような状況に遭遇する機会はさらに多いでしょう。ここ数戦は望んでいたような成績を残せていないので、何としてもいいリザルトを狙いたいと思います。
カッレ・ロバンペラ
エストニアで初めて優勝し、初勝利を待ち焦がれる必要がなくなったことはもちろん嬉しいですし、今はイープルをとても楽しみにしています。WRCとしての開催は初めてですが、ラリー界では誰もが知っている伝説的なイベントです。テストの段階で既に、トリッキーなコンディションであることがわかりました。通常、ドライバーはコーナーを大きくインカットするので、道には多くの泥やグラベルがかき出されます。そのため路面コンディションが非常に難しく変わりやすいのが特徴です。今回、このラリーに初めて挑むにあたっては、路面のグリップレベルを把握し、その情報をいかに正しくペースノートに反映させるかが重要なポイントになります。