WRC第8戦ベルギーは8月14日(土)のSS16までを終えて、ヒュンダイのティエリー・ヌービルが総合首位の座をキープ。2番手にクレイグ・ブリーンを従えて1-2体制としている。3番手にはトヨタのエルフィン・エバンス。勝田はこの日ふたつめのステージとなるSS10でクラッシュを喫し、リタイアを余儀なくされている。
この日はSS9〜SS16の8SS、SS距離119.92km。ホストタウンであるイープルの南側に広がるエリアで4SSを2回走行する構成となっている。コースはほとんどが前日同様、ハイスピードでナローな農道を走行する。一部では市街地を通過するセクションもあり、一方で最高速が190km/hを越えるセクションもあるなど、チャレンジングなものとなっている。午前中のタイヤ選択は、ヒュンダイのピエール‐ルイ・ルーベがハード4本+ソフト2本、Mスポーツ・フォードのガス・グリーンスミスはハード2本+ソフト4本を選んだ。それ以外のドライバーは全員がハードコンパウンド6本というチョイスでステージに臨む。
オープニングステージのSS9はブリーンがベストタイム。SS2番手にエバンス、3番手にヌービルが続く。前日を総合3番手で終えていたヒュンダイのオィット・タナックはパンクを喫し、SS途中での交換を強いられたため3分以上のタイムロス。これで一気に総合7番手まで後退してしまった。このSSではルーベがコースアウト、ディッチから出ることは叶わずリタイアとなっている。
続くSS10、先頭走者のグリーンスミスに次いでスタートした勝田は左コーナーでアウト側にこぼれ、電柱に衝突。幸いふたりのクルーにケガはなかったものの、ヤリスWRCは大きなダメージを受けており、ここで戦線離脱となった。このクラッシュの影響で電柱がコースを塞ぎ、競技は一時中断。勝田の後にスタートし途中でストップしたオジエにはノーショナルタイムが与えられることとなった。再開したSS10ではブリーンが再び一番時計をマークしている。
勝田はWRC ALL LIVEのインタビューに応えて、次のように語っている。
「SS10でハイスピードなコーナーとバンプがあるところでした。危ないコーナーだということは事前にチェックしていましたが、バンプから着地した時にステアリングが一時的にロックし、アウト側にコースアウトしてしまいました。非常に残念ですが、これもひとつの学びとして、次につなげていきたいです。僕もキートンもケガがなかったことが、唯一の救いかなと思っています」
SS11では、エバンスが今大会初のベストタイムをマーク。総合4番手でエバンスを追うロバンペラとの差を1.3秒から4.0秒に拡大することに成功した。SS12は総合首位のヌービルが制して、背後に迫るブリーンとの差を4.3秒から6.8秒に広げている。最初のループを終えた段階で、総合順位はヌービル、ブリーン、エバンス、ロバンペラ、オジエ。僅差の競り合いとなっているのは、ヌービルとブリーンの6.8秒差、エバンスとロバンペラの2.1秒差。接近した戦いは午後のループでも続きそうだ。
SS13から始まる午後のセクションに向けては、全車がハードコンパウンド6本を選択。ステージは2回目の走行となるため、路肩から掻き出された泥への対処も課題となる。SS13では、トヨタのセバスチャン・オジエとエバンスが1-2。ブリーンとヌービルも僅差で続いた。SS14はヌービルがベスト。サービスでのセッティング変更が功を奏したとSS後のインタビューに応えている。トヨタ勢による3番手争いはさらに接近戦の様相を呈し、10秒間に3台が固まるかたちとなった。そんな中、SS15はオジエが再びのベストタイムをマークし、総合4番手のロバンペラに2.5秒差まで迫っている。
この日最後のSS16を制したのはヌービル。ヒュンダイのふたりはトヨタ勢3台との差を安全に保ちフィニッシュすることを意識しており、総合2番手のブリーンはややペースを落としている。一方のトヨタ勢は、エバンス、ロバンペラ、オジエという順位は変わらないものの、エバンスとロバンペラの差は3.3秒、ロバンペラとオジエの差は1.0秒と、ラリー最終日に向けて目の離せない展開となりそうだ。
競技最終日はSS17〜SS20の4SS、40.52km。イープルから約300km離れたスパ・フランコルシャンサーキットを舞台に、2SSを2度ずつ走行する。いずれもサーキット近郊の村をスタートして、サーキット本コースにつながる設定となっている。オープニングのSS17は日本時間15日の15時30分スタート。
WRCベルギー SS16後暫定結果
1. T.ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC) 2:06:18.8
2. C.ブリーン(ヒュンダイi20クーペWRC) +10.1
3. E.エバンス(トヨタ・ヤリスWRC) +42.4
4. K.ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC) +45.7
5. S.オジエ(トヨタ・ヤリスWRC) +46.7
6. O.タナック(ヒュンダイi20クーペWRC) +3:55.2
7. S.ベドレ(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +10:39.9
8. Y.ロッセル(シトロエンC3ラリー2) +10:40.8
9. P.クラコー(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +11:03.2
10. V.フェルシューレン(フォルクスワーゲン・ポロGTI R5) +11:37.4