エサペッカ・ラッピが、10月1〜3日に開催されるWRC第10戦ラリーフィンランド(グラベル)に、トヨタ・ヤリスWRCでプライベート参戦することを発表した。来季のWRC参戦プログラム獲得につなげる狙いもあるものと思われる。
昨年Mスポーツ・フォードを離れて以来、トップカテゴリーでの参戦から遠ざかっているラッピだが、母国フィンランドで開催されるWRCにトヨタ・ガズーレーシングからトヨタ・ヤリスWRCをレンタルして参戦することを9月2日に発表した。
「これは自分たち自身によるプロジェクトなのでマシンは借りることになるが、マシンはトヨタ・ガズーレーシングのメカニックが担当してくれる」とラッピ。
「だから、彼らの手で走らせてもらうことになるが、カラーリングは自分たちのプライベート仕様になる」
ラッピは2017年にトヨタのワークスドライバーに抜擢され、その年のWRCフィンランドではWRカーでの参戦わずか4戦目にして自身初のWRC勝利を挙げている。2018年いっぱいでトヨタを離れ、その後はシトロエンとMスポーツ・フォードで1シーズンずつ過ごした間に勝利を重ねることはできなかった。
現在30歳のラッピは、来季のWRC参戦でのトヨタ復帰に向けて交渉を行っており、今季いっぱいでフル参戦から退くことを表明しているセバスチャン・オジエとサードカーをシェアする可能性もある。ラッピはWRCラリーフィンランドが開催される週の月曜日にマシンをテストすることになっており、チームの拠点でもある自身の母国でのWRCにヤリスWRCで参戦することが交渉を後押しすることを期待しているが、リザルトに関して周囲の予想には一切関知していないようだ。
「この参戦が来季の交渉を後押しすることを願うが、だからこそ自分は賢明になる必要がある。この参戦が自分にとって助けになるようにしたいし、交渉が無駄になるようなことにはしたくない。だから、自分自身にプッシュをかけすぎたくないし、余計なプレッシャーも抱えたくない」とラッピは付け加えた。
「順位に関しては、どんな目標も掲げることはまったくできない。とにかくステージのタイム、全体の速さ、週末を通しての成長により集中することが必要だと思っている。それが最も賢明な方法なのだと思う。ラリーの初日、自分がどのような速さを出せるのか、まったく予想できないからね。どんな位置につけるのかを把握するのはすごく難しい。自分には継続的な参戦が不足しているのは明白。テストではまたあの速さに慣れ、あのエアロに慣れることが主な作業になると考えている。これは、イベントの間も同じだと思うし、序盤はあのマシンでどれだけ速く走れるかをもう一度理解することに努める。たぶん、あるいは少なくとも、週の終りにはまた速さを出すことができるようになり、いいタイムも出せたらいいなと考えている」
ラッピは今季、フォルクスワーゲン・ポロGTI R5でWRC2に2戦参戦。そのアークティックとポルトガルでは、いずれも部門優勝を飾っている。ヤリスWRCで参戦するラリーフィンランドは、例年の夏の開催から秋に変わることで、特性が大きく変わることになるという。
「もしドライなら(後方からの)走行順は自分たちに有利になるが、10月のフィンランドは通常ドライにならないので、興味深いね。それに金曜日の最後のステージは、自分たちは暗くなってからの走行になるが、先頭走行の時にはまだ日が出ている」とラッピ。
「自分たちでも、夏に開催されるラリーフィンランドのグラベルを夜間に走行したことはないので、ここが違う点。これは少し不利になるが、それほど強調することでもない」
ラッピは8月13〜14日に開催されたフィンランドラリー選手権第5戦トップビルディングラリーにヤリスN5で参戦しており、総合7位、クラス2トップでフィニッシュしている。