世界ラリークロス選手権第3戦は9月5日、フランスのロエアックでファイナルが行われ、 ティミー・ハンセンがトップでフィニッシュ。弟のケビン(いずれもプジョー208)も2位に入り、ハンセン兄弟が開幕から3戦連続で1‐2フィニッシュを達成し、プジョーの母国イベントに集まった2万5000人の観衆を沸かせた。一方、前日トップに立っていたヨハン・クリストファーソン(アウディS1)は、今回も運に恵まれずファイナル進出を逃した。
前日、Q2を終えた時点でティミーとケビンは4番手、5番手に留まるなどペースをつかむことに苦戦していたが、決戦のこの日はセッティングを変更したほかタイヤ戦略も当たり、よりコンペティティブなパフォーマンスを披露した。
選手権争いでは6ポイントのアドバンテージを握っての首位で今戦を迎えていたティミーは、Q4では気合い十分のスタートを切ると、目覚ましい速さを見せつけてトップタイムをたたき出し、セミファイナルのレース1ではクリストファーソンとともにフロントロウに並んだ。
クリストファーソンは、予選の4セッション中、2回でトップタイムをマークして、予選をトップ通過していたが、セミファイナルではドライブシャフトのトラブルに見舞われ、最終ラップでハンセンとティモ・シャイダー(セアト・イビザ)のパスを許してしまった。クリストファーソンはなんとか3位でこのレースをフィニッシュしたものの、ファイナルをスタートするための制限時間までにギヤボックスの交換が完了できなかったため、スタートラインに並ぶことができなかった。
セミファイナルのレース2では、ケビンがスタートで出遅れたニクラス・グロンホルム(ヒュンダイi20)を退けてトップフィニッシュを飾り、ファイナルのフロントロウにはハンセン兄弟が並んだ。このファイナルでは、教科書どおりに後続を引き離して逃げ切った兄弟は、ティミーがチェッカーを受け、ケビンが後に続いて3戦連続の1‐2フィニッシュを達成した。
「なんて素晴らしいシーズンになっているんだろう! 開幕から3戦連続で1‐2フィニッシュを決めたなんて、これからのキャリア、自分の人生の中でも忘れられないと思う。魔法のようだよ」とティミーは喜びを語る。
「たくさんの局面でのラッキーがあってこの勝利をつかめたと言わざるを得ない。ヨハンがテクニカルトラブルに見舞われたのは残念だったが、時にはそんなことも起こるし、今日は自分に流れが向いた。ラリークロスは、純粋な速さ以上に求められるものがある。自分もキャリアのなかで、速さはあったがリザルトにつながらなかったレースがたくさんあった」
「ファイナルではケビンがものすごく速かった。ずっと自分のバンパーにノーズを当ててきていたので、自分もできる限りハードなプッシュを続けなくてはならなかった。今回も弟とこの結果をシェアできたのは素晴らしいこと。この勝利は100%、前日から調整してマシンをコースに戻すために必死に取り組んでくれたチームで勝ち獲ったものだ。ひとりひとりのメンバーの働きを、心からうれしく思う」
一方、ケビンは「今回は、これまで以上に激戦だったように思う。たくさんのドライバーがトップタイムを争ったが、自分たちはこの戦いを通してマシンの中でいい感触を感じていた。ファイナルのスタートでは、ティミーも自分も、あんなに長い間、サイドバイサイドの戦いをするつもりはなかったんだけど、とてもいい形でフィニッシュできた!」とコメント。
「ふたりともペースがよくていいタイヤも残していたし、自分もとても速く走れていると感じていたので、チームからは無線でティミーの後についていくよう伝えられた。これまで、自分たちが自由に戦えるチャンスなんてなかった。二クラスだけは少し自分たちに近いところにいてリスクがあったので、最終的には今回も1‐2フィニッシュを決めることに専念した。それができれば素晴らしいと思ったからね。この先は、さらにペースを上げて、次戦のリガに合うようなマシンにするために必死の作業を続けていかなくてはならない。次も勝利を目指していきたいね」
ハンセン兄弟の後続では、Q1でトップタイムをたたき出していたもののセミファイナルでの苦戦でファイナルは最後列からのスタートとなったグロンホルムが、ポディウム圏内でフィニッシュ。今季、ここまで苦戦が続いていたが、ようやく結果に繋げた。
「今日は優勝のチャンスもあったので、少し残念。開幕2戦は浮き沈みが激しく苦戦が続いたが、ようやく上位常連のドライバーたちに追いついた手応えを感じていた」とグロンホルム。
「Q1はいい内容になったが、Q2、Q3は選択が裏目に出てしまったのかもしれない。その後は、いいセッティングを見つけてプッシュしやすくなった。このままいい調子を続けられると思っていたが、残念ながらセミファイナルのスタートでストールしたことで今回のチャンスが消えてしまった。ファイナルで勝ちたければ、いいグリッドポジションが絶対に欠かせないからね。挽回するために全力を尽くしたし、最後列からのスタートで3位に入れたのはまずまずの結果だと思うが、今回は優勝を狙っていた。マシンもペースがあった。ただ、ほんの少し運に恵まれなかった。でも、目指しているリザルトは、必ずやってくる」
前戦で3位に入っていたケビン・アッブリング(ルノー・メガーヌRS)は2戦連続のポディウムを狙っていたが、クラッチが滑ったことで望みは絶たれたものの4位に食い込んだ。クリスチャン・ザボ(i20)は、今季ここまでの3戦すべてでファイナルに進出する記録を続けており5位でフィニッシュ。今季初めて世界RXに参戦したシャイダー(セアト・イビザ)が6位だった。
今季から始まったフル電動マシンのワンメイクシリーズ、RX2eでは、シリーズ初参戦ながら前日トップに立った地元フランスのドリアン・デスランデスが、デビューウインを飾った。デスランデスはまだ18歳の若手だが、セミファイナル、ファイナルでも卓越したパフォーマンスを披露。ポールポジションからスタートしたファイナルでも、4WDマシンのデビュー戦とは思えない圧巻の走りで見事勝利を収めた。
世界RXの次戦は、9月18〜19日、ラトビアのリガで第4戦、第5戦のダブルヘッダーイベントで行われる。
世界RXロエアック ファイナルリザルト
1 T.ハンセン(プジョー208) 3:44.217
2 K.ハンセン(プジョー208) +0.652
3 N.グロンホルム(ヒュンダイi20) +2.235
4 K.アッブリング(ルノー・メガーヌRS) +4.729
5 K.サボ(ヒュンダイi20)+4.968
6 T.シャイダー(セアト・イビザ) +12.702
RX2e
1 D.デルランデス 3:51.971
2 R.ニッティス +0.334
3 G.デリダー +0.730
4 J.カリオ +1.353
5 C.マルテル +2.115
6 I.ソクビスト +3.752