TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamは、9月9日(木)から12日(日)にかけてギリシャ中部で開催される、WRC第9戦「アクロポリス・ラリーギリシャ」(グラベル)に、セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネンの、3台のヤリスWRCで参戦する。また、TGR WRCチャレンジプログラムの勝田貴元は前戦ベルギーに引き続き、負傷で治療中のダニエル・バリットに代わりコ・ドライバーにキートン・ウィリアムズを迎えて参戦する。
(以下チームリリース)
TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamは、9月9日(木)から12日(日)にかけて中央ギリシャで開催される、FIA世界ラリー選手権(WRC)第9戦「アクロポリス・ラリー・ギリシャ」に、セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組(ヤリスWRC1号車)、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)の、3台のヤリスWRCで参戦。2013年以来のWRC開催となる伝統のグラベル(未舗装路)ラリーで、今季7回目の優勝と、ドライバー/コ・ドライバー選手権およびマニュファクチャラー選手権のリード拡大を目指します。
今シーズンのWRCは、19年ぶりに伝統のサファリ・ラリー・ケニアがシリーズに復帰しましたが、アクロポリス・ラリー・ギリシャも非常に長い歴史を誇る1戦です。ラリーが初めて開催されたのは1951年であり、WRCがスタートした1973年からシリーズに組み込まれ、以降毎年のように開催される人気の高いイベントでした。2013年の大会を最後にWRCとしては行われていませんでしたが、今年8年ぶりにカレンダーに復帰することになりました。
以前のアクロポリス・ラリーは、大きな石が転がり、凹凸も多い非常に荒れたグラベル路面を走行し、また気温もかなり高くなることから、大きなダメージを負うクルマがとても多く「カーブレイカー・ラリー」と呼ばれていました。年々路面は良くなっていき、特に今年は主催者が力を入れて路面を整備したことにより、比較的良好なコンディションの道での戦いになることが予想されます。それでも、通常9月のギリシャは日中気温が非常に高くなるため、タイヤとエンジンにとって過酷なラリーになる可能性があります。
8年ぶりのWRC開催となるため、このラリーにトップカテゴリーのクルマで出場した経験を持つドライバーは限られていますが、オジエは2011年の大会で総合優勝を果たしています。オジエは現在ドライバー選手権で首位に立っており、ライバルと同ポイントで2位につけるエバンスに対し、38ポイントのリードを築いています。また、第7戦ラリー・エストニアでWRC史上最年少優勝を果たし、第8戦イープル・ラリー・ベルギーで総合3位を得た20歳のロバンペラは、ドライバー選手権4位につけています。また、チームは2位のライバルに41ポイント差をつけてマニュファクチャラー選手権首位に立っており、このラリーでも好結果を残しさらなるリード拡大を狙います。なお、TGR WRCチャレンジプログラムの勝田貴元は、今回もヤリスWRCで出場し、前戦に続きキートン・ウィリアムズがコ・ドライバーを務めます。
ラリーは9日木曜日の夕方に首都アテネでスタート。古代都市アクロポリスの城塞下でセレモニアルスターが行われ、その後アテネの中心部であるシンタグマ広場の周辺で短い市街地ステージが行われます。10日の金曜日はアテネを出発して西に移動し、有名なコリントス運河の近くにあるビーチリゾート「ルートラキ」の周辺で2本のステージを走行。そのうちSS2の「アグヒ・テオドリ」のみ午後に再度SS4として走行し、その後北に移動。ラミアのサービスパークに向かう途中でさらに2本のステージ、SS5「テーベ」とSS6「エラティア」が行われます。11日の土曜日は最も長い1日となり、日中のサービスを挟んで6本合計132.56kmのステージを走行。そのうち「パヴリャニ」と「エレフテロホリ」は各2回走ります。最終日12日の日曜日は、有名な「タザン」と、今大会最長となる33.2kmの「ピルゴス」を走行。最終ステージとなるタザンの2回目、SS15はトップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーにボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されています。ステージは全部で15本、合計292.19km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1285.85kmという、4日間に渡るタフな戦いとなります。
ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)
ギリシャで再びWRCが開催されるのは素晴らしいことだと思います。最後にWRCとして開催されたアクロポリス・ラリーでは、私が優勝しましたし、個人的に大好きなイベントです。路面はところどころ荒れているかもしれず、タイヤの摩耗も非常に激しいので、よく考えて運転しなくてはなりません。ラミアに近いステージの中には16年間使われていないものもあり、現役のドライバー達にとっては全く新しいステージになります。主催者がかなり力を入れて道路の整備を続けてきたことは知っていますし、路面のコンディションは以前よりも良くなっているようです。とはいえ、多くの滑りやすいグラベルが道の表面を覆っているため、一番手の出走順でステージに臨むのは難しいチャレンジになるでしょう。今回もまた新しいラリーになりますが、我々のチームにはかつてアクロポリス・ラリーを経験した者もいますので、その経験が活き、いい結果が得られることを期待しています。
セバスチャン・オジエ
WRCがギリシャに戻ってくるのは嬉しいことです。アクロポリス・ラリーはWRCの歴史を作ったイベントの一つですが、ここ数年は開催されていませんでした。ギリシャは大好きな国なので、また訪れるのが楽しみです。もちろん、過去の経験からどんなことが起こり得るかある程度予測できますが、全員が新しいペースノートを作成しなければならないという意味では、新しいイベントであるとも言えます。1番手でステージを走ることが難しいラリーだとは思いますが、選手権で首位につけているのは素晴らしいことですし、このリードを保つために全力を尽くすのが我々の目標です。
エルフィン・エバンス
2012年に一度だけアクロポリス・ラリーに出場したことがありますが、その時は二輪駆動車でした。ですので、WRカーでアクロポリスに臨む今回は、間違いなく前回とは大きく異なる体験になるでしょうし、新たに多くのペースノートを作成しなくてはなりません。スコットの方がやや経験が多いとはいえ、私にとっては全く新しいラリーに出場するようなものです。今回は一度しか走らないステージが多くあり、それが他のラリーと異なる点です。そのため、通常ドライコンディションのグラベルラリーで強いられる、路面のルーズグラベルを掃き飛ばしながら走る機会が、いつも以上に多くなります。どのような展開になるのか予想できませんが、最高の結果を得るために、いつもと同じように臨みます。
カッレ・ロバンペラ
今回もまた、歴史的なWRCイベントに出場できることを嬉しく思います。以前のアクロポリス・ラリーは、非常にタフなイベントだったと理解しています。映像を見る限り、今年の大会の路面コンディションは以前よりも良くなっているようですので、面白いイベントになりそうです。ただし、一度しか走らないステージが多くあるため、路面が滑りやすい最初の走行時にマッチしたセットアップに仕上げることが重要ですし、その点を重視して事前のテストを行いました。今回もまた表彰台を狙えるようなペースで走りたいですが、まずはクリーンにラリーを戦い、どのような結果を得られるのか様子を見たいと思います。