今週開催されるWRC第9戦アクロポリス・ラリーギリシャ(グラベル)にMスポーツ・フォードは、ガス・グリーンスミスとアドリアン・フルモー、ふたりの若手にフォード・フィエスタWRCのステアリングを託す。
英国拠点のMスポーツは、アクロポリスではこれまでに通算8勝をマークしており、2000〜2002年にはコリン・マクレーが3連覇を果たしている。アクロポリスは2013年を最後にWRCカレンダーから外れたが、その後ERCとして開催された2015年には、Mスポーツが製作したフォード・フィエスタR5を駆るカエタン・カエタノビッチが9度目の勝利を飾っている。
24歳のグリーンスミスにとってアクロポリスは未知のエリアだが、6月には同じく過酷なグラベルラリーであるサファリで自己ベストの4位フィニッシュをマークしており、今回も好リザルトを目指す。コ・ドライバーを務めるアイルランドのクリス・パターソンは、アクロポリスに10回参戦しており、パターソンの経験や知識もグリーンスミスには貴重な武器となる。
「アクロポリスはWRCカレンダーから外れるまで参戦したいと思っていたイベントのひとつなので、長い間、ここでラリーができることを楽しみにしていた」とグリーンスミス。
「自分はラフなラリーを楽しめる傾向があるし、過去の動画を観てどのようなイベントなのかイメージをつかむなど最善の準備を行ってきた。高温になることを想定して、9日間、トレーニング用の加熱室に入ったりもした。現時点の予報では、通常の40度ではなく30度くらいの気温になりそうだけれどね。それでも暑い方だが、いつものアクロポリスほどではなさそうだ」
「荒れた路面でも全力をで攻める覚悟が必要だが、岩盤はサスペンションやタイヤに厳しいので、ある程度はメカニカル部分への配慮も必要となる。通常は、ラフなステージでは何が起きても不思議ではないので、エキサイティングな展開になることもあり得る。ただ、1度しか走行しないステージがたくさんあるので、これまでほどはラフにはならないと思うし、自分たちは走行順にも恵まれている。金曜日は自分たちにはいい状況になるはずなので、このチャンスを最大限に活かしたい。自分たちのマシンはラフなコンディションに強いので、とても強い戦いができる手応えを感じている」
グリーンスミス同様、今回が初めてのアクロポリス参戦となる26歳のフルモー。しかし、同じくラフグラベルのトルコに参戦した経験があり、6月のサファリでは自身初となるWRCでのステージウインもマークしている。
「ほかのイベント同様、今回も自分たちにとって新しいラリーだが、以前プレイステーションで走ったことを覚えているよ!」とフルモー。
「アクロポリスに参戦した経験のあるドライバーもいるが、8年前のことだしマシンも当時からかなり変わった。自分はほかのラリーと同じようにとにかく準備に努め、動画を観て研究したり、体力やメンタルのトレーニングを行うだけ。前戦のベルギーではクラッシュをしてしまったので、シーズンの初めに持っていたポジティブな姿勢を取り戻して、経験を積み続けたい」
「アクロポリスは、来年のWRCカレンダーにも入っているので、すべてのステージでの経験を積む必要がある。暑くて、予想していないところで道の真ん中に巨石があるなどすごくタフなイベントになることは分かっている。ビッグチャレンジになるし、パンクの危険や、メカニカルのダメージも起こるかもしれない。トルコやサファリに参戦した経験を活かしたいし、マシンのセッティングにも役立てられると思う」
「サファリでは、金曜日はマシンを心配して慎重になりすぎたが、荒れたラリーでのマシンの限界については理解が深まっているし、フィエスタはこうしたイベントではすごく強いマシンだ。このタイプのイベントではたくさんのドラマが起こり得ることは分かっているので、自分は自分のラリーに徹し、ベストを尽くして好タイムをマークすることを目指していく。でも、最も重要なのは、トラブルなくフィニッシュしていいリザルトを収めること。Mスポーツがこれまでもいい成績を残してきたイベントなので、2021年も同じような内容にしたい」