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全日本ラリー北海道:初日を終えてGRヤリスの勝田範彦が首位。2番手はWRX STIの新井大輝

©Jun Uruno

9月11日(土)、全日本ラリー選手権第9戦「RALLY HOKKAIDO」の競技初日が行われ、トヨタGRヤリスの勝田範彦/木村裕介が首位に立った。9.2秒差の2番手には第2戦新城以来の出場となる新井大輝/小坂典嵩、20.6秒差の3番手には鎌田卓麻/松本優一がつけ、2台のスバルWRX STIが勝田を追いかける展開となっている。

RALLY HOKKAIDOは、2002年に国内で初開催されたFIAアジア・パシフィックラリー選手権の第1回大会以来、今年で20周年を迎える。当初は、20周年記念イベントとしてかつてのラリージャパンを彷彿させる帯広駅前の平原通りで行われるセレモニアルスタートやラリーショーなどの記念イベントを予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により緊急事態宣言が発令されたことを受け、主催者は無観客での開催を発表。予定していたこれらの記念イベントを中止するとともに、大会のスケジュールを当初の11SS(SS総距離105.21km)から9SS(86.04km)に短縮して行うことに。これにより、クラス別得点の係数は1.5から1.2となったが、各クラスのチャンピオンの行方に大きく影響するシリーズの天王山となることは、今年も変わりはない。

競技初日は、道幅が狭く前半はツイスティ、後半は海外のステージを彷彿させる3次元的なうねりのあるハイスピードセクションが連続するヤムワッカ・ショート(14.54km)、ツイスティでテクニカルなコーナーが連続するリクベツ・ロング(4.63km)、フラット路面で中高速コーナーとストレートで構成されたヌプリパケ(10.51km)という、それぞれキャラクターが異なる3SSを2ループする計6SSが設定された。路面コンディションは、前々日に降った雨の影響がステージの一部に残ったものの、ステージ全体は概ねドライ。だが、SS6ヤムワッカは霧雨が路面を濡らし、ウエットコンディションとなった。

JN1クラスは、SS1「ヤムワッカ・ショート1」とSS2「リクベツ・ロング1」でスバル勢の新井大輝が新井敏弘を0.9秒リードする親子での勝負を展開するなか、SS3「ヌプリパケ1」では前戦のカムイを制したGRヤリスの勝田範彦が新井大輝に0.9秒差の2番手に浮上するというスプリント勝負となった。さらに、SS4「ヤムワッカ・ショート2」では新井敏弘がトップに浮上、勝田が0.1秒差の2番手、エンジンに不調を抱えた新井大輝が2.7秒差の3番手にポジションを落とすという息詰まる展開のなか、SS5「リクベツ・ロング2」で新井敏弘のエンジンルームから突然出火。SS4でトップに立ちながらも、SS5で戦線離脱するという結果に終わった。

新井敏弘の離脱によりトップに立った勝田は、初日最後のSSとなるSS6「ヌプリパケ2」でエンジン不調に苦しめられながらも2番手を追走する新井大輝とのタイム差を9.2秒差に広げ、初日を折り返した。3番手には「できるかぎりのことはやったつもりだけど、高速ステージにGRヤリスの軽さが活きているんでしょうね。明日もペースを維持して頑張ります」というスバルWRX STIの鎌田がつけ、4番手にはSS4でコースオフを喫した影響が残った福永修/齊田美早子が、5番手にはSS4でホイールを破損し、タイヤがリム落ちして外れるというトラブルに見舞われた柳澤宏至/保井隆宏のシュコダ・ファビアR5勢がつけている。また、トヨタGRヤリスの奴田原文雄/東駿吾は、SS1で柳澤と同じくホイールにトラブルを抱えたことが原因で出遅れ、6番手で初日を折り返している。勝田のチームメイトの眞貝知志/箕作裕子(トヨタ・GRヤリス)は、SS1でミッションケースにトラブルを抱き、SS2フィニッシュ後のサービスででレグ離脱となった。SS4でリヤダンパーに違和感を感じながらも初日をトップで折り返した勝田は、「トラブルを抱えながらもここまで順調に来ているので、明日は苦手なオトフケを克服して頑張ります」と、グラベル2連勝に向けて、気持ちを引き締めた。

シリーズを大きくリードするトヨタGT86 CS-R3のヘイキ・コバライネン/北川紗衣が、SUPER GTとスケジュールが重なっているために不参加となったJN2クラス。展開次第ではコバライネン不在のままチャンピオンが決まる可能性があるなか、今季1勝を挙げている石井宏尚/竹下紀子がシトロエンDS3 R3-MAXで初のグラベルラリーに挑むものの、SS1の約5kmでコースアウトし、あえなくレグ離脱という波乱の幕開けとなった。そのなか、前戦のカムイでは、コバライネンに25.7秒差をつけながらも首位でコースアウトリタイアとなった上原淳/漆戸あゆみ(ホンダ・シビック・タイプRユーロ)が、4本のSSでベストタイムを奪い、2番手の中平勝也/島津雅彦(トヨタGT86 CS-R3)に41.2秒の大差をつけ、初日のトップに立った。昨年も2番手を1分以上引き離しながらも2日目に駆動系トラブルによりリタイアを喫した上原は、「明日は鬼門のオトフケを2回走るので、ちょっと不安です(笑)。タイトル争いには絡めないけど、来年に備えるためにも、明日もしっかり走ります」と、前戦カムイと昨年のリベンジを狙う。

今回は欠場ながらも、シリーズランキングトップに立つ鈴木尚(スバルBRZ)と、同5位の曽根崇仁(トヨタ86)までがわずか8.6点差という激戦区のJN3クラスは、前戦のカムイを制した大竹直生/藤田めぐみ(トヨタ86)が快走。新井敏弘のアクシデントにより全車スルーとなったSS5以外すべてのSSでベストタイムを重ね、2番手の曽根に42.4秒差をつける首位で初日を終えた。3番手には、今季1勝を挙げている長崎雅志/秋田典昭がつけている。
「順位的には満足なんですが、思ったようにクルマが動いてくれず、我慢のラリーでした。明日はセッティングを変えて挑みますが、経験値が少ないので、クルマを壊さないようにマージンを活かしながら走ろうと思います」という21歳の大竹に対し、「今回は大竹選手とタイム差が離れているので、最終戦までタイトル争いに生き残れるように、順位をキープすることが最優先」と言いながらも、虎視眈々と逆転を狙うベテランの曽根。両者とも、ローアベレージながらも過去にリタイアが多い「オトフケ」が勝負どころと目論んでいる。

JN4クラスは、香川秀樹/松浦俊朗(ホンダ・シビック・タイプRユーロ)が、「悪くないペースで走れています」と4SSを制して初日のトップに立った。須藤浩志/新井正和(スズキ・スイフトスポーツ)は、SS1で前走者に追い付きタイムロスするという不運がありながらも、「クルマのセッティングを変えて動きが良くなったが、それがタイムに結びつていない」という須藤浩志/新井正和(スズキ・スイフトスポーツ)は、SS1で前走車に追い付くアクシデントも重なり、香川に34.6秒差の2番手。3番手には、「シリーズチャンオンを獲得するために、とにかくリタイアしないように完走ペースでしっかり走っています」というシリーズランキングトップの西川真太郎/本橋貴司がつけている。

JN4クラスは、「タイトルが決まる大事な1戦なので、無理をしない程度にコントロールしながら走っています」という天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツ)が、SS1は全日本ラリー2戦目となる若手の笠原彰人/宗片さおり(トヨタ・ヴィッツ)にベストタイムを奪われるものの、最終的にはその笠原に42.4秒差の首位に立つ盤石のラリ−を展開している。2番手の笠原は、かつてRALLY HOKKAIDOの拠点となっていた音更町で生まれ育ち、「小学生の頃から憧れていました」と、RALLY HOKKAIDOに特別の想いを持つ26歳の若手ドライバーだ。3番手には、「SS1を様子見で走ったら、想定以上に大きく遅れました」という小川剛/梶山剛(ホンダ・フィットRS)が、SS2以降は笠原との差を少しずつ詰め、2日目の逆転を狙う構えだ。

JN5クラスと同じく今大会でシリーズチャンピオンが確定する可能性があるJN6クラスは、事実上の開幕戦となった第2戦新城ラリーから5連勝中の吉原將大/石田裕一(トヨタ・ヤリス)が、「初めてのRALLY HOKKAIDOで、スケールの違いを感じましたが、良い流れを続けるのがすべてだと思っています」と、これまでのペースを崩さずにスルーとなったSS5以外、この日すべてのSSでベストタイムをマーク。前戦のカムイでトヨタ・アクアからトヨタ・ヴィッツCVTに乗り換えてきた海老原孝敬/山岸典将に約2分の差をつけ初日をトップで折り返している。

競技2日目はSS7〜9の3SS、SS走行距離は22.64km。初日よりもSS走行距離が短いが、2回走行するSS7/9のオトフケ・リバースは、6.12kmと距離は短いながらも、路面が荒れやすく深い轍が刻まれる難ステージ。過去のRALLY HOKKAIDOでも、駆動系のマシントラブルやコースアウトなど、何度もこのステージで涙を飲んだクルーが多い。ここが最大の勝負どころとなる。

RALLY HOKKAIDO レグ1終了時結果
1.勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス) 40:13.9
2.新井大輝/小坂典嵩(スバルWRX STI) +9.2
3.鎌田卓麻/松本優一(トヨタGRヤリス) +20.6
4.福永修/斎田美早子(シュコダ・ファビアR5) +35.5
5.柳澤宏至/保井隆宏(シュコダ・ファビアR5) +37.8
6.奴田原文雄/東駿吾(トヨタGRヤリス) +50.9
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11.大竹直生/藤田めぐみ(トヨタ86) +4:00.5
12.上原淳/漆戸あゆみ(ホンダ・シビック・タイプRユーロ) +4:18.6
16.天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツGR) +5:17.6
17.香川秀樹/松浦俊朗(ホンダ・シビック・タイプRユーロ) +5:18.3
27.吉原將大/石田裕一(トヨタ・ヤリスCVT) +7:29.2

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