ERC第5戦アゾレスラリー(グラベル)は競技最終日となる9月18日、ポルトガル領アゾレス諸島最大のサンミゲル島でレグ2に設定された7SS、89.84kmの走行が行われ、選手権リーダーのアンドレアス・ミケルセンが逆転優勝。これで今季のERCは、ここまでの5戦すべてで異なる勝者が誕生している。
トク・スポーツWRTが走らせるファビア・ラリー2 Evoにミシュランタイヤを履いて参戦しているミケルセンは、チームMRFタイヤが新たに起用したダニ・ソルド(ヒュンダイi20 R5)に4.0秒差の2番手で初日を終えていた。競技最終日は、序盤から2連続でベストタイムをたたき出すと、ここでソルドに1.9秒差をつけての首位に浮上。するとソルドも、アゾレス名物の火山湖沿岸を走るステージでベストタイムで応戦。続くSS10でもベストタイムを連発して、さらに首位の座に返り咲く。両者わずか0.5秒差でポンタデルガダでの日中サービスを迎えることになった。
しかし午後のループに入ると、手持ちの新品タイヤが少なくなっていたソルドに対し、ミケルセンは残り3SSをベストタイムで揃え、ソルドを14.8秒まで引き離しての今季初優勝を飾った。今回、ミケルセンがコ・ドライバーに起用したエリオット・エドモンソンにとっては初めてのERC優勝ともなり、ミケルセンは選手権リードも34ポイントに広げた。
「ダニとの間に十分なギャップを築けたので、最終ステージはクレバーに行った」とミケルセン。
「チームには心から感謝したい。エリオットも素晴らしい働きをしてくれたし、自分の走りにも満足。本当に素晴らしい戦いだったし、ダニとの争いも楽しかった。すごくいい週末になったし、すごく楽しめたよ」
3位争いでも変動があり、地元アゾレスのトップドライバー、リカルド・ムーラ(ファビア・ラリー2 Evo)が最終ステージで転倒し、左リヤタイヤを打ち付けてしまうアクシデントに見舞われタイムロス。これでエフラン・ラレーナ(ファビア・ラリー2 Evo)がポディウムフィニッシュを飾ることとなった。
「すごくタイトなコーナーで下らないミスをしてしまった。イン側を引っかけて、あとはご覧のとおりだ」と落胆を見せたムーラは、前日は厳しいコンディションの中、SS5までラリーをリードするなど活躍を見せていた。
一方、昨年のERC王者、アレクセイ・ルキヤナク(シトロエンC3ラリー2)は今回も運に恵まれないラリーとなった。前戦チェコではテスト中のクラッシュにより出走を断念しており、タイトル連覇のためにも挽回が求められるラリーだったが、この日最初のSS7で2回のパンクに見舞われリタイアとなってしまった。
「スローパンクが2回起きた」とルキヤナク。
「1回目はステージの中盤だったので、交換することに決めた。その時点で、すごく落ち込んだムードになった。もうポイントを獲得できる争いができなくなったので、プッシュしすぎないと決めた。するとこのステージの終盤で、リヤにまたスローパンクが起きたような感じがしたが、最後のコーナーで間違いなく2回目が起きた。今日はできる限り速い走りをする計画だったから、スペアは1本しか積んでいなかったんだ」
2戦連続でノーポイントに終わったルキヤナクは、選手権争いでは首位のミケルセンに69ポイント差の4番手タイで残り3戦を迎える。
ERC2は、スズキ・モーター・イベリカのハビエ・パルド(スズキ・スイフトR4lly S)、ERC3では、ジャン‐バティスト・フランチェスキ(ルノー・クリオ・ラリー4)がそれぞれ首位を守ってトップフィニッシュを飾った。
ERCの次戦、第6戦ラリー・セラス・デ・ファフェ・フェレグエイラス(グラベル)は10月1〜3日、ポルトガルで開催される。
ERCアゾレス 最終結果
1 A.ミケルセン(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) 2:32:31.5
2 D.ソルド(ヒュンダイi20 R5) +14.8
3 E.ラレーナ(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +1:06.5
4 R.ムーラ(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +1:09.7
5 M.マルチェク(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +3:05.0
6 U.スカンドーラ(ヒュンダイi20 R5) +4:03.0
7 L.レゴ(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +5:19.7
8 B.グエラ(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +6:50.3