世界ラリークロス選手権はダブルヘッダー開催となったラトビアのリガの2戦目、第5戦のファイナルが9月19日に行われ、昨年王者のヨハン・クリストファーソン(アウディS1)がついに今季初勝利をマークした。
今季は開幕戦で3位に入ったものの、その後2戦連続でファイナル進出を逃していたクリストファーソン。前日の第4戦はファイナルをフロントロウからスタートしたが、第1コーナーで同じく先頭列からスタートしたニクラス・グロンホルム(ヒュンダイi20)と接触してスピンを喫するなど、ここまで運に恵まれてこなかった。
しかし、その24時間後、クリストファーソンはその悪い流れを自ら断ち切った。予選セッションではQ1〜Q3まで珍しく一度もトップタイムをマークできなかったが、それでも中間リザルトは2番手に立つと、セミファイナルのレース2でポールトゥウインを飾った。ともにファイナルのフロントロウに並んだのは、くしくも前日のファイナルスタートで接触を喫したグロンホルム。しかし、この日はクリストファーソンがスタートで先行した後、第1コーナーでは果敢にアウト側から飛び込みリードを握ると、フィニッシュまでその座を譲らなかった。
クリストファーソンにとっては世界RXでの25勝目となり、ドライバーズ選手権でも首位との差を20ポイントにまで詰めてシーズン後半戦を迎える。
「今季は厳しい滑り出しとなり、ペースは出ていたがとにかく流れが向かなかった。だから、ようやく勝利を手にすることができたのは、KYB EKS JCチームのみんなにとっても素晴らしいこと」とクリストファーソンは喜びを見せた。
「みんな、信じられないほど必死に作業を進めてきたし、昨晩も長い夜を過ごしたので、みんながこの勝利にふさわしい。今年は自分たちがマージンを築くことはなかったが、今日は自分たちが流れに乗っていたし、最高の気分。ようやく、この時が来たよ」
「ファイナルはとてもいいスタートができて、ターン1ではリスク覚悟でリードを奪いに行った。最初の数コーナーでは、コックピットではいろいろなことが起きていて、ターン2ではパワーステアリングがロックしてスピンするかと思ったが、2021年はこんなことがよく起きていたから自分も慣れたものだよ! その後はいいペースだったし、まだタイトルの望みももちろんある。獲れるポイントがあるなら争っていかなくてはならないし、自分たちも最後までそれに挑んでいく」
2位でフィニッシュしたグロンホルムは、前日の優勝と合わせて、2戦開催のこの週末に最もポイントを獲得した。3回の予選のうち2回でトップタイムをマークして中間リザルトで首位に立つと、ファイナルでもクリストファーソンを追い続けた。
選手権リーダーのティミー・ハンセン(プジョー208)は、この週末、今季初めての世界RXに臨んだ元世界RX王者のマティアス・エクストローム(セアト・イビザ)とファイナルでポディウム争いを演じた。開幕3戦をすべて1−2フィニッシュで並べてきたハンセン・ワールドRXチームは、このリガ大会ではプジョー208のペースを最大限に引き出すことに苦戦していたが、2019年の世界RX王者であるティミーはこの日のファイナルではエクストロームを0.125秒引き離しで3位フィニッシュを飾った。
そのエクストロームは、この日はQ1でトップタイムをマークしたが、Q3ではスタート前にプロペラシャフトにトラブルが発生し、スタートすることができなかった。ALL-INKL.COM ミュニッヒ・モータースポーツのチームメイト、ティモ・シャイダー(イビザ)もファイナル前に同じトラブルに見舞われており、2番手からリタイアに追い込まれた前日に引き続き、この週末は運に見放された形となった。
5位にはケビン・ハンセン、6位はシェイダーの不運により繰り上げでファイナルに進出したグロンホルムのGRX-SETのチームメイト、クリスチャン・ザボ(i20)が入った。
世界RXの次戦、第6戦は10月9〜10日、ベルギーのスパ・フランコルシャンで開催が予定されている。
世界RXリガ(第5戦)ファイナル結果
1 J.クリストファーソン(アウディS1) 4:59.316
2 N.グロンホルム(ヒュンダイi20) +0.920
3 T.ハンセン(プジョー208) +2.149
4 M.エクストローム(セアト・イビザ) +2.274
5 K.ハンセン(プジョー208) +5.525
6 K.ザボ(ヒュンダイi20) +8.161