WRC第10戦フィンランドは競技初日を終えて、ヒュンダイのクレイグ・ブリーンが総合首位に立っている。2番手には同じくヒュンダイのオィット・タナック、3番手にはトヨタのエルフィン・エバンスという順位になっている。4番手にエサペッカ・ラッピ、5番手にカッレ・ロバンペラとフィンランド勢が続き、首位ブリーンからロバンペラまでは7.9秒差がついている。SS1でベストタイムをマークした勝田貴元は、8番手から翌日以降の浮上を目指す。
ラリーは10月1日(金)の午後、ホストタウンのユバスキラからスタート。オープニングの市街地SSを含む6SS、SS距離89.42kmでの戦いとなった。午前中に行われたシェイクダウンと同じく林道ステージの路面は湿り気を帯びており、グリップをいかに読むかでタイムに差がつきそうだ。フィンランドのタイヤ選択は基本がソフトコンパウンド、最大8本のハードが組み合わせられる。
SS1は勝田がベストタイムをマーク。2.31kmと短いステージのため後続とは僅差だが、アーロン・ジョンストンとの初コンビで幸先のいいスタートを切ってみせた。0.2秒差のSS2番手タイムはヒュンダイのティエリー・ヌービル。0.3秒差でヤリスWRCのエサペッカ・ラッピが続く。
SS2以降は本格的な林道ステージが幕を開ける。SS2でベストタイムをたたき出したのは、ここのところ好調ぶりを見せるブリーン。0.3秒差でSS2番手となったタナックが総合首位に浮上した。勝田は高速左コーナーでアウト側にこぼれかけスピン。マシンをぶつけることなく道の上にとどまったが、エンジンストールもあり20秒近くを失ってしまった。
1ループ目のラストとなるSS3はタナックがベスト、ブリーンが1秒差の2番手で続く。ラッピも好走を見せてSS3番手タイムをマーク、総合順位でも3番手をキープして存在感を発揮している。総合4番手にはエバンス、総合5番手にロバンペラがつけている。途中アンダーステアに悩まされていたヌービルは首位タナックから13秒遅れの総合6番手だ。セバスチャン・オジエは首位から15.6秒遅れの総合7番手。
タイヤフィッティングゾーンを経たSS4は、SS2の再走ステージ。タナックはSS3に続く一番時計でまとめ、ブリーンとの差をじわりと拡大した。ここでSS2番手のロバンペラとSS4番手のエバンスはそろって総合順位を上げることに成功。ロバンペラが総合3番手、エバンスが総合4番手となった。これでSS6番手タイムのラッピは総合3番手から5番手に後退することに。とはいえ3人のタイム差はそれぞれ0.1秒となっており、まだまだ今後の展開は分からない。このSSでは勝田にTCでのタイムペナルティが科されたが、のちに計時ミスとして取り消されている。
SS5はブリーンがこの日2回目のベストタイムをたたき出すが、総合順位で逆転するまでには至らず。タナックはSS3番手タイムで総合首位の座をキープした。トヨタ勢はロバンペラがSS2番手、ラッピがSS4番手、エバンスがSS5番手となり、総合順位ではラッピがエバンスをかわし、4番手に浮上している。
この日最後となるSS6は、各ドライバーが勝負どころとして挙げていたナイトステージ。先頭走者のオジエが走る段階では、開けた場所では微かに明るさが残っていたものの、両側を森に囲まれたセクションではランプポッドの光だけが頼りという状況に。おまけにスライドしながら越えるクレストなど、ライトの照射範囲を超える部分についてはペースノートの正確性がすべてとなる。このSSでベストタイムをマークしたのはエバンス。SS2番手のラッピを1.6秒上まわるタイムで、総合3番手に浮上した。ヒュンダイ勢による首位争いは、SS3番手タイムを出したブリーンに軍配が上がった。ブリーンはSS6番手のタナックをかわして総合首位に。2.8秒差のリードをもって2日目に挑む。
これで上位オーダーはブリーン、タナック、エバンス、ラッピ、ロバンペラに。首位ブリーンから総合6番手のヌービルまでは30秒以上の差が開いており、2日目以降はこの5人による上位争いが展開されていきそうだ。勝田はSS2でのスピン以降は手堅い走りで8番手。翌日以降のポジションアップを目指す。
競技2日目はSS7〜SS15までの9SS、SS距離151.95kmで争われる山場の1日。4SSを2度走行し、ユバスキラの市街地ステージで締めくくられる。ユバスキラから南下したエリアがステージの中心で、SS15の市街地はナイトステージに。オープニングのSS7は日本時間2日(土)の14時16分スタート。
WRCフィンランド SS6後暫定結果
1. C.ブリーン(ヒュンダイi20クーペWRC) 43:51.3
2. O.タナック(ヒュンダイi20クーペWRC) +2.8
3. E.エバンス(トヨタ・ヤリスWRC) +6.1
4. E.ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC) +6.7
5. K.ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC) +7.9
6. T.ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC) +31.3
7. S.オジエ(トヨタ・ヤリスWRC) +33.6
8. 勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC) +46.9
9. G.グリーンスミス(フォード・フィエスタWRC) +1:20.6
10. A.フルモー(フォード・フィエスタWRC) +1:48.9