10月3日(日)、WRC第10戦ラリー・フィンランドの最終日デイ3が、フィンランド中部ユバスキュラのサービスパークを起点に行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのエルフィン・エバンス/スコット・マーティンが優勝した。エバンスは第4戦ラリー・ポルトガル以来となる、今季2勝目を獲得。また、セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシアは総合5位でフィニッシュし、ドライバー選手権首位を堅持。前日のデイリタイアを経て再出走したカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネンは、背中の痛みもありながら総合34位で完走した。
(以下チームリリース)
2年ぶりの開催となったラリー・フィンランドの最終日は、サービスパークの東側エリアで、2本のステージをサービスを挟むことなく各2回走行。4本のステージの合計距離は45.74kmと、3日間で最短の1日でした。最終日を迎えたユバスキュラ周辺は、久々に上空に青空が広がり気温も日中15度前後まで上昇。爽やかな天気の下、最後の戦いが繰り広げられました。
デイ2で首位に立ったエバンスは、オープニングステージのSS16を2番手タイムで走行し、その後は3ステージ連続でベストタイムを記録。9.1秒だった総合2位のライバルとの差を14.1秒に拡げ、今シーズン2勝目を飾りました。また、ボーナスの選手権ポイントがかかる最終のパワーステージも制したことにより、優勝による25ポイントに加え、ボーナスの5ポイントも獲得。オジエが総合6位でフィニッシュするも、パワーステージでのボーナスポイント獲得はならなかったため、ドライバー選手権における首位オジエと2位エバンスの差は、24ポイントに縮まりました。また、今回の結果によりタイトル獲得の権利を有するドライバーはオジエとエバンスのふたりに絞られ、チームは3年連続でワールドチャンピオンを輩出することが決まりました。残り2戦で獲得できる最大ポイントは60ポイントであり、オジエとエバンスによるタイトル争いは次戦も続きます。
デイ2でデイリタイアを喫したロバンペラは、チームがサービスで修復したクルマで再出走。エバンスとオジエのいずれかに何かが起きた時に、マニュファクチャラーポイントを獲得できるようにと、チームの一員として最後まで戦い抜きました。なお、チームは今回の結果によりマニュファクチャラー選手権首位を堅持。2位のライバルとの差を61ポイントに拡げました。
ヤリスWRCは現行規定のWRカーにとって最後のグラベル(未舗装路)ラリーとなった今大会で通算25勝目を飾り、デビューイヤーの2017年からラリー・フィンランドでは負けなしの四連覇を達成。また、今回の優勝により、トヨタは通算200回のWRCポディウムを獲得した、3番目のマニュファクチャラーになりました。
なお、プライベーターとしてヤリスWRCをドライブしたエサペッカ・ラッピは、4本中3本のステージで3番手タイムを記録し、総合4位でフィニッシュ。TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムによりヤリスWRCで出場の勝田貴元は、前日のデイリタイアを経て再出走。パワーステージを含む2本のステージで4番手タイムを記録するなど速さを示し、総合37位で完走しました。
ヤリ-マティ・ラトバラ(チーム代表)
ラリー・フィンランドでの優勝は常に特別なことですが、我々のチームにとってはなおさらのことなので、このラリーで再び勝つことができて嬉しく思います。今年は競争が非常に激しかったですが、エルフィンのパフォーマンスを見れば、我々のクルマが速かったことはわかると思います。正直なところ、彼は優勝候補ではなかったかもしれませんが、この週末最速のドライバーだったことが証明されました。本当に素晴らしい仕事をしてくれました。金曜日の夜、暗闇の中で行われたオィッティラのステージで、彼は何かを掴んだのか大きな自信を示し、その後トップに立つと最後まで順位を守り抜きました。今回の勝利を、彼はとても誇りに感じることでしょう。ドライバー選手権に関しては、チャンピオンの権利を持つのはセブとエルフィンの2人に絞られ、マニュファクチャラー選手権についても、非常に有利な状況になりました。
セバスチャン・オジエ
今日は、パワーステージでポイントを獲得することが目的でしたが、残念ながら、スタート直後にトラブルが発生してしまい、良いタイムを出すことができませんでした。今回は自分たちのラリーではありませんでしたが、そういうこともたまにはあります。とにかく、前を向いて進まなければなりません。チャンピオンシップではまだいい位置にいますし、次のスペインとターマックラリーがとても楽しみです。そこでどのように戦うべきかは、理解しています。エルフィンは今週末素晴らしかったですし、良くやったと思います。
エルフィン・エバンス
チームのホームラリーで優勝することができて、特別な気分です。似たような特徴を持つラリー・エストニアでは困難な戦いを強いられましたが、それもあって今回このような結果を残すことができて本当に良かったです。事前のテストではクルマにいくつか変更を加え、金曜日の早い段階から大きな自信を得ることができました。チームのみんなの働きに感謝しています。この週末は、本当に楽しんで走ることができました。このクルマでフィンランドの道を走れて幸運だったと思いますし、その上で優勝できたのは特別なことです。また、チャンピオンシップに関してもポジティブな結果になりました。ドライバーズタイトルは依然難しい状況ですが、これからの全てのイベントでベストを尽くして戦います。
カッレ・ロバンペラ
今日は、ステージを全て走りきることに徹しました。昨晩、チームは素晴らしい仕事でクルマを直してくれましたが、それでもダメージはかなり大きく、100%の状態ではなかったので、ジャンプをしたり、クルマにストレスをかけないように気をつけて走らなければなりませんでした。また、自分自身も昨日から背中に痛みを感じていたので、必要な状況となった時にマニュファクチャラーポイントを獲得できるように、ステージを走りきることだけに集中しました。エルフィンは素晴らしい仕事をしましたし、彼の優勝を祝福したいと思います。私にとっては、多くを期待していただけに難しい週末になりましたが、次のスペインを楽しみにしています。
ラリー・フィンランド デイ3の結果
1 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ ヤリス WRC) 2h19m13.7s
2 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +14.1s
3 クレイグ・ブリーン/ポール・ネーグル (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +42.2s
4 エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム (トヨタ ヤリス WRC) +58.8s
5 セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア (トヨタ ヤリス WRC) +2m54.4s
6 ガス・グリーンスミス/クリス・パターソン (フォード フィエスタ WRC) +5m02.3s
7 アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア (フォード フィエスタ WRC) +6m22.9s
8 テーム・スニネン/ミッコ・マルックラ (フォルクスワーゲン ポロ GTI R5) +9m52.1s
9 マッズ・オストベルグ/トルシュテン・エリクソン (シトロエン C3 Rally2) +10m07.8s
10 エミール・リンドホルム/レータ・ハマライネン (シュコダ ファビア R5 Evo) +10m52.8s
34 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ ヤリス WRC) +1h02m51.7s
次回のイベント情報
WRC次戦は、約1週間のインターバルを経て10月14日から17日にかけて、スペインのバルセロナの南側に位置するサロウを中心に開催される「ラリー・スペイン」です。2年ぶりの開催となるラリー・スペインは、近年グラベルとターマック(舗装路)の両路面を走行する「ミックス・サーフェス・ラリー」として行われてきました。しかし、今年に関しては完全なターマックラリーとなり、新たなステージも加わります。スペインのターマックステージは全体的に流れるようなコーナーが多く、また路面もスムーズなため、選手にとっては攻めがいのあるラリーといえます。