世界ラリークロス選手権第7戦は10月17日、ポルトガルのサーキット・インターナショナル・デ・モンタレグレでファイナルが行われ、ニクラス・グロンホルム(ヒュンダイi20)が今季2勝目をマーク。ドライバーズタイトルは、四つ巴の争いで、ニュルブルクリンクでのダブルヘッダーを迎える。
予選4ヒートを終えて全体の4番手につけたグロンホルムは、現在25歳。セミファイナルのレース2でロケットスタートを決めると、6ラップのレース中5ラップでリードを握り、昨年王者のヨハン・クリストファーソン(アウディS1)からの猛チャージもしのぎ切った。しかし、この週末のグロンホルムはこれだけではなかった。ファイナルでは1周目でジョーカーラップを選択し、この戦略が見事に的中。前方でティミー・ハンセン(プジョー208)、クリストファーソン、ケビン・ハンセン(プジョー208)の3人が激しいバトルを繰り広げてお互いに牽制し合っていたことから、ジョーカーラップ明けのグロンホルムは先頭集団との差をじわじわと詰めていった。
レース中盤に入り、リードを奪おうとしたクリストファーソンがワイドに滑る痛恨のミス。豪快にグラベルトラップを横滑りし、そのままトラックマーカーを通過していくと、ここでケビン・ハンセンが2番手に浮上する。背後からグロンホルムが迫る中、3人は最終ラップでジョーカーに入ったが、ジョーカーを出る前にグロンホルムが先行することに成功。首位に立ったグロンホルムは、その座を守り切って今季2勝目、世界RXでは自身5度目の勝利を飾った。
「最高の気分だ。予選を終えて、ここまでの結果は予想していなかった」とグロンホルム。
「この週末と、モンタレグレでのレースを本当に楽しんだ。特にグラベルセクションだ。ファイナルでは、最初にジョーカーに入る以外に選択肢はないと思ったが、ティミー、ヨハン、ケビンがみんな、そのまま通常ラップに入ったので少し驚いた。予選よりもペースが少し良かったし、彼らがバトルを始めたので自分がそこに追い付くことができた。後は、できるだけ彼らに近い位置をキープすることに努めた。彼らがジョーカーに入った時、先行できるだけの差がついていたかはよく分からなかったが、幸い、うまくいった。ニュルブルクリンク戦を楽しみにしているし、いい形で今季を締めくくりたい」
選手権リーダーのティミー・ハンセンは最終的に2位でフィニッシュ。予選とセミファイナルでトップタイムを連発したティミーは、モンタレグレでの優勝は逃したものの、選手権争いではリードを17ポイント広げて今季最後の戦いとなるニュルブルクリンクを迎える。クリストファーソンがトラックマーカーを通過したことにより5秒のペナルティを受けたことで、弟のケビン・ハンセンは3位に繰り上がった。一方クリストファーソンは、6位に後退。グロンホルムのGRX-SET のチームメイト、クリスチャン・ザボ(i20)が4位、 クリストファーソンのKYB EKS JCでのチームメイト、エンツォ・イデ(S1)が5位に入った。
ドライバーズ選手権では、現在、首位のティミー(178ポイント)に続き、クリストファーソン(161ポイント)、ケビン(159ポイント)、グロンホルム(149ポイント)までがタイトルチャンスを残している。世界RXは、6週間のブレイクを挟んで、11月27〜28日、ダブルヘッダー開催となるドイツのニュルブルクリンクで最終戦を迎える。このニュル戦では、今季創設されたフル電動マシンによるRX2e選手権の初代チャンピオンも決まる。
世界RXポルトガル ファイナル結果
1 N.グロンホルム(ヒュンダイi20) 3:56.426
2 T.ハンセン(プジョー208) +0:00.537
3 K.ハンセン(プジョー208) +0:01.977
4 K.ザボ(ヒュンダイi20) +0:02.270
5 E.イデ(アウディS1)+0:03.762
6 J.クリストファーソン(アウディS1) +0:05.754