11月7日に愛知県豊田市で開催されている「TGRラリーチャレンジ」第12戦豊田において、TOYOTA GAZOO Racingに所属する勝田貴元が、ヤリスWRCでデモンストレーションランを披露。2022年WRCのトップカテゴリーとなる『ラリー1車両』の感触を語ってくれた。
──ヤリス・ラリー1のテストは行いましたか?
1回だけグラベルでドライブしました。まだ距離は乗れていませんが、まったく違いますね。開幕してどうなるかです。ハイブリッドのブーストのかかり方は均一ではなく、ターボともフィーリングがかなり異なります。規定でブレーキングを2.5秒間した後でないと、ブーストが掛からないなど、毎回異なる状況に対処する必要があります。自分が想定していなかった状況でブーストが掛かることもありますし、かなり難しいです。
そして、ラリーカー自体の重さもあるので、グラベルではかなり響きそうです。ターマックではまだ乗れていないですが、まだ開発段階ですし、開幕までにどんどん開発を進めたいですね。もちろん開幕後も開発が進むでしょうし、本当に楽しみです。
──想定していない状況でブーストが掛かるということについて、もう少し詳しく聞かせてください。
ハイブリッドは、自分でボタンを押してブーストを掛けるわけでも、ターボのように一定の回転数でブーストが掛かるわけでもありません。ブレーキングを何%以上・2.5秒使ったら、ブーストが掛かる感じです。なので、意図的にブレーキングしてブーストを掛けるという状況もあるかもしれません。ブレーキング=減速なのでタイムロスするでしょうが、その後に500mくらいの全開直線区間があるならば、ちょっとブレーキングした方が、タイムを稼げるかもしれません。乗ったことはありませんが、WECにおけるハイブリッド車両のドライブのような考え方も必要になる可能性はありますね。
──様々な使用局面を決めておく必要がありそうですね。
マッピングも色々とありますし、チームとエンジニア、ドライバー、コ・ドライバーが、今まで以上にコンビネーションやコミュニケーションが必要になってくるはずです。
──レース的な戦い方になりそうですね。
確かにそうです。かなりスイッチも増えているので、ドライバーとしても難しいですが、新たなチャレンジとして楽しみです。ドライバー全員がイコールなので、最初にこの状況に馴染めた人が速くなると思います。